2024年10月12日土曜日

ケーブルラック接手(1/2)

自在継手を作る!

ネグロス電工の「上下自在継ぎ金具(ボンディング省略タイプ)」というケーブルラックの接手を作ってみよう!と思い立って、いろいろ継ぎ手について調べてみたら、配管やダクトの接手とは少々異なる設定が必要だとわかったので、ここに記しておきます。


ファミリテンプレートは何を使う?

ケーブルラック接手そのものを指定したファミリテンプレートはないので、「一般モデル(メートル単位).rft」を指定してファミリファイルを作成します。

  1. ファイル>新規作成>ファミリ で一般モデル(メートル単位).rftを選択
  2. 作成タブ>プロパティパネル>ファミリカテゴリとパラメータ
    • カテゴリ:ケーブルラック継手
    • パーツタイプ:チャネル垂直エルボ
  3. 作成タブ>プロパティパネル>ファミリタイプ
    • 継手用の組み込みパラメータが設定されていることを確認する
    • パーツタイプをはしご垂直エルボにすると組み込みパラメータは異なる。
    • これらのパラメータはシステム側から与えられる情報であり、継手ファミリはこれらの値を「指定」するのではなく「利用」すると考えてください。
    • 図A チャネル垂直エルボの組み込みパラメータ

予備知識として。。。

図B

継手ファミリの挿入基点

継手ファミリの挿入基点(「基準点を設定」が✔されている参照面の交点)は、二つのケーブルラックのコネクタ(図BのAおよびB)の延長線の交点(図Bの点O)です。

継手ファミリの角度

組み込みパラメータ以外に重要なパラメータがコネクタにはあります。それは接続したい二つのケーブルラック同士の角度です。角度といっても、なす角ではなく図Bの角度θの値で、この値をケーブルラックコネクタの「角度」にマッピングする必要があります。

自在接手の特徴

自在接手は図Cのように、継手ファミリの原点からコネクタまでの距離が (240-75-75)÷2=45で一定になります。つまり図BでいうとOA=OB=45mmということになります。
図C ネグロス電工HPより

プロファイルの準備

コネクタを配置するフォームが必要です。ケーブルラックと同じ断面をもつスイープを作成するために次の図Dのようなプロファイルを作成し、ファミリファイルにロードしておきましょう。垂直エルボ用なので高さと幅のパラメータの設定位置に注目してください。
ファミリの名前を「プロファイル_ケーブルラック_垂直エルボ」とします。
図D 幅と高さのパラメータの位置に注目

作成手順

パラメータの準備

作成タブ>プロパティパネル>ファミリタイプでケーブルラックの「幅」と「高さ」を示す長さのインスタンスパラメータ、および接続角度(図Bのθ)を示す角度型のインスタンスパラメータ「角度」を作成しておきます。
図E インスタンスパラメータ「幅」「高さ」「角度」

メイン側コネクタ

メイン側のコネクタはX軸上左側の固定された位置(図BのAの位置)に作成します。作成したプロファイル「プロファイル_ケーブルラック_垂直エルボ」を使用して、長さ45mmのスイープを作成します。
次に作成タブ>コネクタパネル>ケーブルラックコネクタ で、左側の側面にコネクタを配置します。
図F スイープを作成してコネクタを配置

プロファイルのパラメータを関連付ける

プロジェクトブラウザ>ファミリ>プロファイルで作成したプロファイルのタイプ名をダブルクリックしタイププロパティダイアログボックスを表示し、幅と高さのパラメータをそれぞれ「幅」と「高さ」に関連付けます。
図G プロファイルの幅と高さを関連付ける

コネクタのパラメータを関連付ける

コネクタを選択し、角度、高さ、幅のパラメータを関連付けます。このとき高さを幅に、幅を高さに関連付けます。これは垂直エルボの特徴の一つです。
図H 幅→高さ、高さ→幅に関連付ける

サブ側コネクタ

サブ側のコネクタは、回転する必要があります。点Oを中心にコネクタを取り付けるフォームを回転させるので、スイープのパスの拘束が重要になります。
  1. 作成タブ>フォームパネル>スイープ
  2. 図のようにパスを作成して、参照面と左端で寸法を作成します。長さも位置も適当でOKです
    図I パスをスケッチして参照面と左端に寸法を作成

  3. パスを選択し、アクティブになった寸法値をクリックして「0」と入力して、かぎアイコンをクリックしてロックします。これをもう一つの寸法に対しても行い、パスの左端を点Oに確実にロックします。
    図J 寸法を使ってパスの左端を原点にロックする
  4. 角度寸法を作成し、角度パラメータと関連付ける。
    図K 角度パラメータと関連付ける

  5. パスをドラッグして長さを45mmにし、モードパネル>✔
  6. プロファイルに「プロファイル_ケーブルラック_垂直エルボ」を選択して、モードパネル>✔
  7. 作成タブ>コネクタパネル>ケーブルラックコネクタ で台座の右側側面にコネクタを配置し、メイン側同様に角度、高さ、幅のコネクタのパラメータを関連付ける
    メイン同様に幅=高さ、高さ=幅と関連付ける

  8. 左側のメインコネクタを選択し、コネクタリンクパネル>リンクコネクタをクリック、右側のサブコネクタをクリック
ここまででケーブルラック継手の主要な部分は作成できました。次回は残りの金具部分の作成です。

2024年10月5日土曜日

注釈の向きを維持

注釈の向きを維持とは?

ファミリパラメータ「注釈の向きを維持」は、「ネストした注釈記号を平面・天井伏ビューにおいて必ず表示する」という機能です。この機能は一般的には電気器具ファミリ(たとえばコンセント)など、面基準ファミリを壁に配置して、平面図に記号を表示するときなどに使用しますが、今回は建築への応用として非常用進入口のファミリを作成してみましょう。

非常用進入口のファミリを作ってみよう

注釈記号ファミリの準備

  1. 「一般注釈(メートル単位).rft」で新規にファミリ作成を開始します。
  2. 作成タブ>塗り潰し領域
    1. タイプ編集をクリック
    2. 名前変更をクリックし、名前を「非常用進入口」に
    3. 前景の塗り潰しパターンを<塗り潰し>
    4. 前景のパターンの色を赤
    5. OK
  3. サブカテゴリパネルより<非表示>を選択
  4. 次の図のように2mm(寸法は縮尺にかかわらず印刷時の長さ)程度の正三角形を作成
  5. モードパネル>✔
    2mmの正三角形

  6. 一般注釈_非常用進入口.rfaとして保存

面ホストでサインを作成

  1. 「一般モデル(メートル単位)、面付き.rft」で新規のファミリ作成を開始
    • 非常用進入口のサイン(シール)はガラス面に張り付けるので、面ホストが便利です。
  2. 管理タブ>オブジェクトスタイル
    1. サブカテゴリ「非常用進入口」を作成
    2. 色を赤に設定してOK
  3. 作成タブ>フォームパネル>押し出し
    1. 次の図のように一辺200mmの正三角形をスケッチ
      一辺200mmの正三角形

    2. モードパネル>✔
  4. 作成したフォームを選択しプロパティウィンドウで
    1. 押出終端:5
    2. 押出始端:0
    3. 表示グラフィックの上書きで次の図のように設定
      これにより3Dビューと立面図のみで表示

    4. マテリアルの関連付けボタンをクリックし、パラメータ「マテリアル」を新規に作成する。
    5. サブカテゴリを「非常用進入口」に設定
  5. 作成タブ>プロパティパネル>ファミリタイプ
    1. マテリアルの<カテゴリ別>をクリックし、[...]をクリックし、マテリアルブラウザを開く
    2. 新しいマテリアルを作成ボタンをクリック

    3. アイデンティティタブをクリック
      1. 名前を「非常用進入口」に
    4. グラフィックスパネルをクリック
      1. シェーディングの色を赤
      2. サーフェスパターン>前景>パターン:<塗り潰し>
      3. サーフェスパターン>前景>色:赤

    5. 外観タブ>このアセットを置き換えます

    6. アセットブラウザで 外観ライブラリ>その他>ベースマテリアル>ベースマテリアル - 不透明 をダブルクリックしマテリアルブラウザに表示
    7. アセットブラウザを閉じる
    8. 外観タブ>このアセットを複製します

    9. 情報>名前:非常用進入口
    10. パラメータ>色:赤

    11. OK
  6. 非常用新入口マーク.rfaで保存

注釈記号をネストする

  1. 基準レベルのビューを開く
  2. 挿入タブ>ライブラリからロード>ファミリロード
    1. 一般注釈_非常用進入口.rfaを選択
  3. 注釈タブ>詳細パネル>記号
    1. タイプセレクタで、一般注釈_非常用進入口が選択されていることを確認
    2. たての参照面 中心(左右)上に配置

  4. ファミリパラメータ「注釈の向きを維持」に✔

  5. 上書き保存

プロジェクトで使用してみる

任意のプロジェクトを開き、作成した「非常用新入口マーク.rfa」をロードします。
  1. 作成タブ>構築パネル>コンポーネント
  2. 任意の窓のガラス面をマウスオーバーする
    1. スペースバーを何度か押して、▼マークの向きを変更する
    2. 正しい向きになったらクリックして配置
      スペースバーで向きを調整する


  3. 平面図を開いて記号が表示されていることを確認する

このファミリは一般モデルで作成したので、ビュー範囲のメイン範囲内にあれば平面図に描画されます。