2024年7月28日日曜日

ARTマテリアル~ガラス

透過とガラスの違い

ARTベースマテリアルには透明の表現として

  • 透明
  • ガラス

の二つがあります。ガラスは透明マテリアルを厚みが薄い建築用のガラスに向けて簡素化したベースマテリアルです。今回はこのガラスマテリアルの使い方についてです。

Autodesk Rendering ヘルプではガラスマテリアルの概念を次の図で示しています。

ガラスマテリアルの概念
一方、透過マテリアルは次の図のようになっています。
透過マテリアル
透過マテリアルに比べガラスマテリアルはオブジェクトの厚さ」と「屈折」を考慮しないことによりパフォーマンス向上を図っていてます。建築の板ガラスなどには最適なマテリアルなのです。

ガラスマテリアルのパラメータ

ガラスマテリアルのパラメータは次の図の通りです。

ガラスマテリアルのパラメータ

重要なのは「可視透過率」の値ですが、この値は透過色と反射カラーの値で自動的に決定されます。可視透過率が高ければ建物内の様子がよく見え、低ければ鏡のように反射します。

透過色をRGB255-255-255とし、反射カラーの値を240-240-240、140-140-140に設定すると、可視透過率はそれぞれ0.129、0.738となります。この状態でレンダリングをかけた結果が次の図です。

左:可視透過率0.129、右:可視透過率0.738

透過率が下がると、鏡のような効果が得られることがわかります。左側のキューブは前景のレンガを反射しながらも、背景のグリッドもわずかながら透過しています。

また右側のキューブでは、背景の白いグリッドはほぼそのまま透過し、前景のレンガはほとんど反射されていません。

ガラスマテリアルの設定方法としては

  1. ガラスの色を透過色に設定
  2. 反射カラーをグレースケールで操作して目標の可視透過率に近づける

の手順でマテリアルを決めるとよいでしょう。

空を反射する

外観のレンダリングをするときに、空の様子をガラスに反射できるかはカメラの角度とガラスのマテリアルによります。

次のモデルはAutodeskサンプルのrac_basic_sample_project.rvtの2階の部分ですが、二つの窓の前には白いバスタブを配置しています。

窓際にバスタブを配置
外観のカメラを見上げるように配置します。
見上げのカメラを配置

二つの窓ガラスに次のように透過率と反射カラーを設定します。
左:透過色 233-233-233、反射カラー 223-223-223、可視透過率0.740
右:透過色 233-233-233、反射カラー 238-238-238、可視透過率0.145
この状態でレンダリングを行うとこのようになります。

左:可視透過率0.74、 右:0.145
右側は内側のバスタブやドアが全くと言っていいほどわかりません。左はよく見るとガラスに雲が反射していることがわかります。
透過率を調整すれば、内側と外側のガラスへの映り込みをコントロールすることができます。
どちらの窓も可視透過率0.442の場合

すりガラス

すりガラスを表現するには、可視透過率を上げておいて、透過と反射の粗さの値を設定します。パラメータには粗さが二つあります。

▼パラメータの粗さは、すべてのマテリアル共通の「粗さ」を示しています。表面の凹凸から得られる結果、つまり反射光の粗さ、分散の度合いを示しています。
▼ガラスの透過の粗さは、透過光のみに作用する粗さです。
ガラスは裏表あるので、二つの粗さに同じ値を設定するとよいでしょう。

次のレンダリング結果は、透過率0.88で、左が粗さ0.35、右が粗さ0.15に設定した結果です。

左:粗さ0.35 右:粗さ0.15

背景(グリッドライン)のぼんやり度が異なりますね。粗さ0.35でかなり背景がぼんやりしてきます。

  • 透過色
  • 反射カラー
  • 粗さ

をコントロールして思い通りのガラス表現をしてみましょう。