パラメータの単位
Revitでは単位は厳密に管理されています。パラメータの型は特殊な例を除き
- Double(倍精度浮動小数点)
- Integer(整数)
- ElementID(要素ID)
- String(文字)
の4つの型で保持されますが、このうちDoubleについては、保持されている数値を指定した単位に変換してUIに表示するようになっています。
管理タブ>設定パネル>プロジェクトで使う単位 |
単位換算は不要
指定した単位にRevitが換算してくれるので、ユーザーは単位換算のための式を設定する必要は一切ありません。例えば、3000mmと3mは同じ値ですが、m表示するために3000÷1000のような式を設定する必要はない、ということです。
表示される単位がことなるだけ |
計算式では単位に注意
このような単純な例はわかりやすいのですが、パラメータの値に式を設定するときはしばしばこの「単位換算不要」の考え方を忘れがちになります。例えば速さを距離と時間のパラメータの値から求める場合は、単純に「速さ=距離÷時間」とだけ考えます。
例として壁の長さを時間で割り算する集計表を作ってみます。時間を表すフィールドをデータ型「時間」で作成します。このとき時間の単位は指定しません。
データ型「時間」 |
データ型「速さ」 |
長さはミリ、時間は秒、速さはkm/h |
単位を補う機能
このように単位コンシャスなRevitですが、単位が合致しない式を立てると、式に含まれる数字に適切な単位の補正を施してくれます。例えば、次のような式があります。
三菱電機HPより引用 |
この式では、単位が一致していないのですが、この式にある「20」がポイントです。スペースの集計表で次のような式のフィールドを作ってみます。
明らかに単位は一致していないが・・・ |
- 必要換気表:㎥/h
- 面積:㎡
- 一人当たりの面積:㎡
で計算式側に ㎥/h が不足しています。しかし、OKを押すとそのまま受け入れられます。もう一度計算式フィールドを編集すると
係数20に不足していた単位が補充されている |
20に㎥/hが補充されています。
単位がない場合は換算式必要
もう一つの例を見てみます。
換気回数(回/h)=1時間の換気量(㎡/h) / 室の容積(㎡)
回/hという単位はRevitにはないので、これを実数で求めてみます。同じようにスペースの集計表で、次のような計算式を作成します。
このままだと単位が一致せずエラーになる |
指定した換気風量は㎥/hで、容積が㎥なので、結果は 1/hとなるため単位が一致せずエラーとなります。そこで、× [h] と補充してくれることを期待して先頭に「1*」を設定すると、エラーにはなりません。
1*を追加し、単位補充を期待する |
換気回数は108÷57.36=1.88…のはずでは??? |
計算フィールドを再度編集してみます。
「1秒」が補充されている! |
すると、先頭に追加した1*が1s*となって、1hではなく1s(1秒)が補充されていることがわかります。Revitからしてみればデータタイプ「時間」が不足しているのだと考えて、データ型時間の基本単位(Revitが内部的に保持している数値の単位)である秒を補充した、ということです。
修正方法は簡単で、1sを「3600s」 または「1h」とするだけです。
1s→3600sに |
正しく計算される |
Revitの単位補充はRevitがもつ単位であればうまくいくのですが、計算の単位がRevitのもつ単位に含まれていない場合は要注意です。値がおかしいなと思ったら、計算式を編集して単位を確かめてください。