2024年5月25日土曜日

共有座標をリセット

共有座標原点の位置を修正したい

前回は敷地プロジェクトに設定した共有座標(座標原点と真北方向)を、建物プロジェクトに公開して共有し、建物プロジェクトを開いて、敷地と建物の関係を修正しました。このため測量点が中途半端な位置になっています。

建物プロジェクト。共有座標原点が変な位置になってしまった。

敷地プロジェクトを開くと、建物プロジェクトで共有座標位置を保存したので、敷地と建物の位置関係は同じになっています。

敷地プロジェクト。共有座標原点を〇の位置に移動したい。

ここで、共有座標原点を〇の位置に移動するために、測量点をクリップしたまま移動すると、座標を共有しているので、建物プロジェクトが相対的に移動してしまいます。

測量点を移動すると建物リンクインスタンスも移動する

これは、座標を共有しているためにおこる現象です。建物と敷地の相対位置を変更せずに共有座標原点を移動するには、いったん共有座標をリセットして、関係を断ち切る必要があります。

共有座標をリセット=削除

建物リンクインスタンスをもとの位置に戻して、管理タブ>プロジェクトの位置>座標▼>共有座標をリセット を選択します。すると、次の図のようなダイアログボックスが表示され、測量点が内部原点位置に移動します。

共有座標をリセットすると測量点が内部原点に移動する

名前は「リセット」ですが、これは「共有削除」とでもいうべきで、共有座標関係を削除してしまいます。

この状態で共有座標原点を〇の位置に移動するために、測量点をクリップしたまま移動すると、建物と敷地の位置関係に影響を与えることなく測量点を移動できます。

共有座標をリセットすれば測量点は自由に移動できる
この状態で、再び 管理タブ>プロジェクトの位置>座標▼>座標を公開 を選択して、建物リンクインスタンスをクリックし、外構を選択することで、新たに座標を共有することができます。

いったん座標を共有すると、互いのプロジェクトの位置関係を強固に守ろうとしますので、関係を修正するには共有座標をリセット(削除)するしかありません。

共有座標リセットの歴史は案外浅く、v2021で追加された機能です。その他にも同時にいくつかの処理を行いますが、詳細はヘルプをご覧ください。

2024年5月19日日曜日

共有座標保存

リンクを管理ダイアログボックス

リンクを管理ダイアログボックスには「共有座標保存」という列があります。今回はこの列の意味について。。。

共有座標保存

英語版だとこの列はPositions Not Savedであり、位置未保存という意味になり、座標公開や、座標取得でリンクファイル間で座標(真北と測量点)を共有している場合に、相互の位置関係を修正して、その関係をまだ保存していない場合に✔がはいるようになっています。いわば警告のような意味なのですがちょっと分かりにくいですね。
具体的に見てみましょう。

座標を公開すると✔

例えば、次のような敷地のプロジェクトを作成し、真北と測量点をBMなどの位置に設定します。

測量点と真北を設定

そこに建物のプロジェクトをリンクし、位置を決定します。

リンクして位置を決定
この時点では、リンクを管理ダイアログボックスは次のようになっており、共有座標保存には✔は入っていません。座標を共有していないので当然といえば当然です。
共有座標保存に✔は入っていない

ここで、管理タブ>プロジェクトの位置パネル>座標▼>座標公開 で、建物のプロジェクトの外構を指定して、敷地プロジェクトの座標を公開します。つまり、建物プロジェクトの指定した外構の真北と測量点を一致させます。これが座標の共有です。

敷地の座標を建物に公開(パブリッシュ)する
この時点で、リンクを管理ダイアログボックスを開くと、共有座標保存に✔が入ります。

共有座標保存に✔が入る
このチェックボックスは、リンクされたプロジェクト(ここでは建物のプロジェクト)が、ホスト(ここでは敷地)のプロジェクトと座標系を共有していて、まだ位置関係が保存されていないことを示しています。

建物の位置を移動すると・・・

では、座標公開後に建物の位置を移動してみます。
建物の位置を座標公開後に移動

このまま保存ボタンを押すと次のようなダイアログボックスが表示されます。
保存ボタンで表示される
これらの意味は
保存:移動後の位置を共有座標としてキープする。
保存しない:最初に座標公開した位置をキープする。
共有位置を無効:座標を共有すること自体をやめる。位置は現状のまま。

一般的には(Revitのダイアログは総じてそうなのですが)一番上の保存を選択し、移動後の建物位置を共有座標として保存します。

この働きは保存ボタン以外にも、リンクを管理ダイアログボックスでも同じ機能があります。リンク名列でプロジェクトを選択すると、ダイアログボックス左下の「位置を保存」ボタンが有効になります。
位置を保存ボタンが有効化される
このボタンを押しても、上記の「位置が変更されました」ダイアログボックスが表示されます。

建物プロジェクトを開くと・・・

いったん敷地プロジェクトを保存して閉じ、建物プロジェクトを開きます。そして、挿入タブ>リンクパネル>Revitリンク をクリックし、敷地のプロジェクトをリンクします。このとき、配置を「自動 - 共有座標を指定」を選択します。
配置に「自動 - 共有座標を指定」
座標系(真北と測量点)が敷地と共有されているので、同じ位置に敷地が設置されます。
敷地が同じ位置に配置される
このとき、リンクを管理ダイアログボックスを見てみると共有座標を保存には✔が入っていません。位置関係は保存済みで問題がないことを示しています。
共有座標を保存には✔が入っていない
ここで、敷地を移動します。
敷地を移動すると警告が表示される
座標を共有しているため、移動後の位置関係を保存するかどうかを尋ねるダイアログボックスが表示されます。今すぐ保存を選択すると、建物と敷地の位置関係が保存されます。OKを押して、いったん保留しても、リンクを管理ダイアログボックスを開くと・・・
位置を保存ボタンが有効に!

共有座標保存に✔が入って、まだ位置関係が保存されていないことがわかります。そこで、リンクファイルを選択すると位置を保存ボタンが有効になり位置関係を保存します。

座標を共有すると、リンク元、リンク先いずれを開いても、相互の関係性を修正して保存することができるようになります。
共有座標保存の列は、「このファイルとは座標を共有していますが位置関係がまだほぞんされていませんよ」という警告の意味なのです。正しい列名は共有座標未保存なのかもしれませんね。

2024年5月12日日曜日

構造フレームの「向き」

「向き」って何?

構造フレームのプロパティ「向き」は普段はグレー(編集不可)になっていますが、どのようなときに編集可能になるのでしょうか?

構造フレームの「向き」とは?

構造フレームは「参照レベル」と「作業面」が必要です。一般に両方ともレベルになっているのですが、勾配面を作成する場合は、作業面を名前の付いた参照面に設定するとその後の勾配調整が便利です。

この場合勾配ベクトルに平行ではない構造フレームの回転を設定するのがこの「向き」プロパティです。

手順と確認方法

立面ビューまたは断面ビューを開き、勾配の付いた参照面を作成して、名前をつけます。ここではAとします。

参照面に名前を付ける

構造伏ビューを開き、構造フレームを作成します。

オプションバーで配置面を"参照面:A"に設定し、勾配に対して直交するように、桁方向に構造フレームを作成します。

配置面として参照面を指定
立面ビューまたは断面ビューを開き、構造フレームが参照面"A"に対して鉛直に配置されていることを確認します。
構造フレームは参照面に直交している
配置された構造フレームを選択すると、インスタンスプロパティ「向き」が編集可能になっているので、値を「水平」に変更します。

「向き」の値を「水平」に
すると、構造フレームが水平になります。
「向き」プロパティ 水平/標準の違い
向きを水平に設定することで、構造フレームが鉛直に保たれます。これは作業面に指定している参照面の勾配を変更しても変わりません。


ウェビナーのお知らせ

2013年に開始したこの「Revit Peeler」を、最初の記事から振り返ってZoomウェビナーで解説することになりました。第1回の配信は5月14日(火)16時です。
詳細や申し込みは下記にて確認してくださいね↓