注釈スケール~付属品編
配管付属品・配管継手・ ダクト付属品・ダクト接手には注釈スケールを使用というインスタンスパラメータがあります。これはいったい何の役割があるのでしょう?ヘルプにも全くと言っていいほど詳細な機能については記載されていません。今回はこの機能について詳しく見ていきましょう。まずはダクト付属品・配管付属品について。
このプロパティをチェックするとどうなるのか? |
配管・ダクトを単線表示したときの問題点
実際の例を見ながら配管ダクトを単線表示、継手や付属品を記号表示した場合の表現上の問題点を確認しましょう。次の図では配管にゲートバルブ(配管付属品)が挿入されている平面ビューの例です。上の図は詳細モードで、下が簡略モードです。
コネクタの位置は記号端部と必ずしも一致しない |
ご覧のように、バルブの記号を縮尺にかかわらず一定の大きさで表示したい場合、どうしても実際のコネクタの位置と単線で表現した配管を記号に接続する位置が異なります。かといって記号を実際のバルブの大きさで表示したのでは、小さくなりすぎて記号が判別できなくなります。
そこで、注釈スケールを使用
「注釈スケールを使用」パラメータは、このような配管ダクトを単線表示したときにおこる、コネクタ位置と配管ダクトトリミング位置のギャップを解消するための機能です。
継手・付属品の注釈スケールを使用をオンにすると、コネクタ間、というよりも配管・ダクトの端部の間隔が尺度にかかわらず一定に保たれます。
単線で表示した配管の間隔(矢印)が設定値に保たれる |
また、ファミリに設定されたシンボル線分で作成された記号はこの間隔に合わせた比率で拡縮されます。
間隔はどこで設定するのか?
この間隔を設定するには
- 管理タブ>設定パネル>MEP設定▼>機械設定
- 配管設定>配管継手注釈サイズ または ダクト設定>ダクト設定注釈サイズ で指定します。
ファミリでの記号の設定
この機能を有効にするには、さらに継手・付属品のファミリにシンボル線分またはモデル線分で記号を描画しておく必要があります。注釈記号のネストで記号を作成してもこの機能は有効になりませんのでご注意ください。
これはある意味実際のモデルと同じサイズということになります。しかし、このシンボル線分は簡略時に指定したサイズに拡縮されて、印刷時には常に一定のサイズで表示されることになります。記号をコネクタ間にシンボル線分/モデル線分で描画することで適切な接続状況を表示することができます。
出力時に尺度にかかわらず一定のサイズ |
なお、モデル線分で記号を作成すると3Dビューでも記号で表示されますが、3Dビューでは注釈スケールは適用されません。注釈スケールが適用されるのは平面/天伏ビューのみです。
3Dビューでは注釈スケールは適用されず実サイズで表示される |
機能を体験する
ここで、実際にこの機能を体験してその振る舞いを確認してみましょう。
- ファイル>新規作成>プロジェクト で機械テンプレート で新規プロジェクトを作成
- 管理タブ>設定パネル>MEP設定▼>機械設定>ダクト設定
- 単線継手対して注釈スケールを使用:☑
- ダクト継手注釈サイズが3mm
- に設定されていることを確認してOK
- 設備タブ>空調システムパネル>ダクト
- タイプセレクタで角型ダクトが選択されいてることを確認
- 適当な長さで一本ダクトを作成
- 設備タブ>空調システムパネル>ダクト付属品
- ビューコントロールバーで詳細モード「簡略」を選択して、ダクトを単線表示にする。
- 修正タブ>計測パネル>2点間を計測
- 管理タブ>設定パネル>MEP設定▼>機械設定>ダクト設定
- ダクト継手注釈サイズを5mmにしてOK
- 6と同様の手段でダクト端部の間隔が500mmになっていることを確認してください。また記号全体のスケールも変更されていることにも着目してください。
- 左側のダンパーを選択し、インスタンスパラメータ注釈スケールを使用のチェックを外します。
- 管理タブ>設定パネル>MEP設定▼>機械設定>ダクト設定
- 単線継手対して注釈スケールを使用のチェックを外す
- 設備タブ>空調システムパネル>ダクト付属品
- ふたつのダンパーの間に新たにダンパーを作成
- このとき、最初からダンパーが実寸で表示されていることに注目してください。
- また配置したダンパーの「注釈スケールを使用」がオフになっていることを確認します。
- 機械設定の「単線継手大して注釈スケールを使用」をオフにすると、その後に配置する接手や付属品の「注釈スケールを使用」がオフになります。
- また、すでに配置した要素には何の影響もありません。
既定値で注釈スケールを使用はオフになっている - 全てのダンパーの「注釈スケールを使用」をオンにします。
次回はダクト継手・配管継手における注釈スケールの機能を深堀りしてみます。