2023年2月25日土曜日

鉄筋フック(2)

梁のフック

前回に続いて梁に配筋してみましょう。(前回までのファイルはこちらからダウンロードできます。)

スターラップ

  1. 断面図(建物断面)>断面図 2を開く
  2. ビュースケールを1:20にする
  3. 構造タブ>鉄筋パネル>鉄筋
    1. オプションバーで鉄筋形状:18を選択
    2. タイプセレクタで鉄筋棒:D13を選択
    3. 修正|鉄筋を配置タブ>鉄筋セットパネル>レイアウトを最小間隔、間隔を200
    4. 修正|鉄筋を配置タブ>配置面パネル>現在の作業面を選択
    5. ]または[を押して方向を調整
    6. クリックして配置

主筋

  1. 構造タブ>鉄筋パネル>鉄筋
    1. オプションバーで鉄筋形状:00を選択
    2. タイプセレクタで鉄筋棒:D22を選択
    3. 修正|鉄筋を配置タブ>鉄筋セットパネル>レイアウトを固定数、本数を3
    4. 修正|鉄筋を配置タブ>配置面パネル>現在の作業面を選択
    5. 修正|鉄筋を配置タブ>配置の向きパネル>かぶりと垂直
    6. 上下のスターラップ近傍をクリックして主筋を配置

主筋のフック

  1. 断面図(建物断面)>断面図 1を開く
    1. 主筋は結合されている柱のかぶり厚まで延長されます。
    2. 次の図はわかりやすくするために柱の鉄筋を非表示にしています。

  2. 上端主筋を選択し、プロパティウィンドウで始端のフック、終端のフックに「標準フック - 90度」を選択します。

曲げ関連寸法

前回のフープ同様、主筋の場合の鉄筋フックタイププロパティを調査してみましょう。
プロジェクトブラウザ>ファミリ>構造鉄筋>構造フックの「標準フック - 90度」をダブルクリックしてタイプパラメータを表示します。

スタイル

スタイルはフックを設定する鉄筋の鉄筋形状ファミリのスタイルパラメータの値と一致します。スタイルの値は
  • 標準
  • スターラップ/フープ
の二つのみです。主筋に使用した鉄筋形状00のスタイルは「標準」なので、鉄筋フックも「標準」のものしか選択できません。

フックの曲げ角度

文字通り曲げ角度です。これは説明はいらないでしょう。

延長の乗数

帯筋同様にどの部分が「延長」なのか?というと次の図の⑥の部分です。

コンクリート配筋標準図でいえば「余長」の部分です。

余長8dとして、延長の乗数の値を8.0にしてみます。
  1. タイププロパティダイアログボックスで「複製」をクリック。
  2. 名前を「標準 90度 8d」とする
  3. 延長の乗数を8としてOK
  4. 上端筋を選択
  5. 始端のフック、終端のフックで「標準 90度 8d」を選択
フックの長さが変更されました。22×8=176mmになっています。

フックの長さの上書き

フック長さは鉄筋棒のタイプパラメータで設定されます。確認してみましょう。
  1. 上端筋を選択して、タイプ編集
  2. フック長さの編集ボタンをクリック
    1. 自動計算のチェックを外すことで、フック長さに鉄筋径に左右されない固定値を設定することができます。
    2. たとえば「標準フック - 90度」 は自動計算のチェックが入っていません。
    3. ④=フック長さ、⑤=接線の長さとなります。90度の場合はこの二つの値は常に同じ値になります。

鉄筋の折曲げ内法直径

鉄筋の折り曲げ内法直径は、鉄筋棒のタイプパラメータ「フック 折り曲げ 内法直径」で設定します。

鉄筋の種類によりますが、4d以上とすると、22×4=88mm以上となるので、90mmを設定してみます。
  1. 上端筋を選択し、プロパティウィンドウのタイプを編集
  2. フック 折り曲げ 内法直径 の値を90にしてOK
  3. 曲げが変化したことを確認してください。

下端筋

  1. 下端筋を選択
  2. プロパティウィンドウの「始端のフック」「終端のフック」に「標準 90度 8d」を選択。

定着長の調整


上図のような定着長Laの長さは実際に計測する以外に特に方法はありません。Laの値が15dとして、15×22=330mm以上、かつ柱せいの3/4=450以上 です。

Laの長さを調節するには、鉄筋を選択して表示される形状ハンドルをドラッグして調節します。


2023年2月18日土曜日

鉄筋フック(1)

鉄筋フック

鉄筋の機能はバージョンを追うごとに向上しています。以前鉄筋を取り上げた時よりずいぶんと使い勝手は良くなりました。今回は「鉄筋フック」に注目しながら、鉄筋のモデリングをしてみましょう。

準備

標準添付の「構造テンプレート」を使って、練習を開始します。使用しているバージョンはRevit2023です。

  1. ファイル>新規作成>プロジェクトで「構造テンプレート」を選択。
  2. 建築タブ>基準面パネル>通芯で8mスパンで通り芯を作成。

  3. ビュースケールを1:20に、詳細レベルを詳細に、表示スタイルをワイヤーフレームに変更
    1. 鉄筋をモデリングしやすくするためです。

  4. 構造タブ>構造パネル>柱
    1. タイプセレクタでコンクリート-長方形-柱:600v750mmを選択
    2. 修正|配置 構造柱タブ>複数パネル>通芯位置に をクリック
    3. 画面右上から左下に向かってすべての通芯を選択。
    4. 修正|配置 構造柱タブ>複数パネル>終了 をクリック
  5. 構造タブ>構造パネル>梁
    1. タイプセレクタでコンクリート‐長方形梁:400x800mmを選択
    2. 修正|配置 梁タブ>複数パネル>通芯上 をクリック
    3. 画面右上から左下に向かってすべての通芯を選択。
    4. 修正|配置 梁>通芯上タブ>複数パネル>終了 をクリック
  6. 表示タブ>作成パネル>断面
    1. 次の図のようにA通りに二つの断面ビューを作成します。
    2. これらの断面は梁の鉄筋を作成するための作業用のビューです。

柱の帯筋を作成する

構造テンプレートではすでにかぶり厚設定や鉄筋関連のファミリがロード済みなのですぐに鉄筋のモデリングに取り掛かれます。
  1. 構造タブ>鉄筋パネル>鉄筋
    1.  警告が表示されますがOKを押します。
    2. オプションバーで鉄筋形状:18を選択
    3. タイプセレクタで 鉄筋棒:D13 を選択
    4. 修正|鉄筋を配置パネル>配置面パネル>近方のかぶり参照 を選択
    5. 通芯1-Aの柱をマウスオーバーし、「[」キーまたは「]」キーをおして、鉄筋の方向を調整(ツールチップ2段目の[または]とは、[キー、]キーのことを言っています。紛らわしいですね~)

  2. 修正をクリックし、配置した鉄筋を選択
  3. 修正|構造鉄筋タブ>鉄筋セットパネルで
    1. レイアウトを「最小間隔」
    2. 間隔を「150mm」

柱の主筋を作成する

  1. 構造タブ>鉄筋パネル>鉄筋
    1. オプションバーで鉄筋形状:00を選択
    2. タイプセレクタで 鉄筋棒:D25 を選択
    3. 修正|鉄筋を配置パネル>配置面パネル>近方のかぶり参照 を選択
    4. 修正|鉄筋を配置パネル>配置面パネル>かぶりと垂直 を選択
    5. 図のように柱の上下に4本の主筋を作成


  2. 修正をクリックし、配置した鉄筋を選択
  3. 修正|構造鉄筋タブ>鉄筋セットパネルで
    1. レイアウトを「固定数」
    2. 本数を「3」
  4. 左右に配置した鉄筋のうち左側の一つを選択
  5. 画面上上下に表示されたチェックボックスをクリックしてオフにする

  6. 同様に右側も端部鉄筋を非表示とする

帯筋のフックについて

帯筋の始点と終点には鉄筋フックが取り付けられています。この曲げはどのように決定しているのでしょうか?

帯筋を選択すると「始端のフック」「終端のフック」にそれぞれ「スターラップ/タイ フック - 135 度」の鉄筋フックタイプが設定されています。このタイプパラメータを見るにはプロジェクトブラウザ>ファミリ>構造鉄筋>鉄筋フックを展開します。

スターラップ/タイ フック - 135 度をダブルクリックしてタイプパラメータを表示します。


これらのパラメータの効果・振る舞いは以下の通りです。

スタイル

フックは単独では存在できず、必ず鉄筋の端部に取り付けられます。スタイルパラメータはどのスタイルの鉄筋形状に取り付けることができるかを意味します。スタイルは鉄筋が使用する「鉄筋形状」で規定されています。例えば、帯筋に使用した「鉄筋形状:18」のスタイルは「スターラップ/フープ」ですので、「鉄筋フック:スターラップ/タイ フック - 135 度」を取り付けることができますが、主筋に使用した「鉄筋形状:00」のスタイルは「標準」なので、「鉄筋フック:スターラップ/タイ フック - 135 度」を取り付けることはできません。
プロジェクトブラウザ>ファミリ>構造鉄筋>鉄筋形状>18のファミリを開いて、パラメータを確認してみてください。

フックの曲げ角

文字通りフックの曲げ角度です。



延長の乗数

「延長」部分を鉄筋径の何倍にするか?という意味です。では「延長」とはどの部分を示すかというと、下の図の部分(曲げの終端から先端まで)のことです。

鉄筋コンクリート配筋標準図によると、135度フックであれば「6d」以上となっていますから、延長の乗数は6.0以上を設定します。


鉄筋の折り曲げ内法直径

上図Dで示す「鉄筋の折り曲げ内法直径」に該当するパラメータは、帯筋の場合は、鉄筋棒のタイププロパティ「スターラップ/フープ 折り曲げ 内法直径」です。この値は鉄筋径の何倍ということではなく、ダイレクトに数値を設定します。現状の50mmであれば3d以上は確保できていることになります。

フックの長さは上書きされる

このデータの場合、D13の鉄筋径は13mmですので、延長の乗数が6.0だから、フックの長さは13×6=78mmであるはずです。ところが、実際に計測してみると70.5程度しかありません。なぜでしょうか?


これはフックの長さが、鉄筋のタイプパラメータにより上書きされているからです。鉄筋棒を選択してタイプ編集ボタンを押し、タイプパラメータ「フック長さ」の編集ボタンを押します。


自動計算のチェックが外れているため、フックに設定した「延長の乗数」の結果が上書きされています。スターラップ/タイ フック - 135 度は

  • フック長さ=106.8mm
  •  接線の長さ=108.5mm
と指定されています。ではこの「フック長さ」「接線の長さ」とはどの部分を示しているかというと、次の図の④=フック長さ、 ⑤=接線の長さ となります。(⑥=延長です。)

④フック長さ は計測しにくいのですが、⑤接線の長さは次の図のようになっています。

フックの長さは、フックのタイププロパティ「延長の乗数」よりも、鉄筋棒のタイププロパティ「フック長さ」の設定値のほうが優先されます。フック長さダイアログボックスで「自動計算」にチェックを入れると、6dの長さになります。

他の柱にコピー

完成した帯筋と主筋を他の柱にコピーします。次回は梁の定着を考えてみます。

2023年2月11日土曜日

配管経路設定時の優先指定とパーツタイプ

配管継手のパーツタイプ

今回は配管タイプの「配管経路設定時の優先指定」と「パーツタイプ」の関係です。配管継手には次のパーツタイプがあります。

配管継手のパーツタイプ

  • Y型
  • エルボ
  • キャップ
  • クロス
  • スパッド - 直角
  • スパッド - 調整可能
  • ティー
  • フランジ
  • マルチポート
  • ユニオン
  • ラテラルT型
  • ラテラル交差
  • レデューサ
  • 機械カップリング
これらのうち、太字で示したパーツタイプの配管継手が「配管経路設定時の優先設定」に指定できます。それでは、各項目に設定できる配管継手パーツタイプを見ていきましょう。

経路設定時の優先指定

エルボ

エルボに設定可能な配管継手のパーツタイプは「エルボ」です。

  • パーツタイプ:エルボ
  • 配管コネクタの数:2
    エルボの一例

エルボはおなじみの形状です。ダクト同様に「+」をクリックすることで、ジャンクションに変更できます。

ジャンクション - ティー

ジャンクションはダクト同様に「優先される継手タイプ」によって、選択可能なパーツタイプが異なります。

  • パーツタイプ:ティー
  • 配管コネクタの数:3
    ティーの一例

パーツタイプ「ティー」はT型の接手で、メイン配管を割り込んで配置されます。いわば3差路の接手で、「+」をクリックすると「クロス」の接手に変換されます。

ジャンクション - タップ

タップはメイン配管を割り込まずに、メイン配管に直接穴をあけたような形状です。

  • パーツタイプ:スパッド - 直角スパッド - 調整可能
  • 配管コネクタの数:2
    タップの一例

スパッドには二種類あり、接続角度を直角に限定した「スパッド - 直角」と、接続角度がある程度自由になる「スパッド - 調整可能」があります。
タップ接続を使用すると、温水(往)・温水(環)システムの配管で、ヘッダーを構成することができます。詳細はヘルプをご覧ください。
ヘルプより抜粋

クロス

クロスは十字路です。めったにないとは思われますが、配管が交差したときに設置される継手です。
  • パーツタイプ:クロス
  • 配管コネクタの数:4
    クロスの一例

レデューサ

配管径の異なる配管を直線でつなぐ場合の継手です。
  • パーツタイプ:レデューサ
  • 配管コネクタの数:2
    レデューサの一例

ユニオン

配管径が同じ配管を直線でつなぐ場合の継手です。配管を「要素を分割」で分割することで発生します。
パーツタイプ:ユニオン
配管コネクタの数:2
ユニオンの一例

フランジ

フランジはちょっと変わったパーツタイプです。直管が配管継手とつながる位置に発生します。あくまでも直管の端部に配置されるのがポイントで、配管継手側には配置されません。つまりフランジ付きの接手を用意しておく必要があるということです。

パーツタイプ:フランジ
配管コネクタの数:2
フランジの一例(フランジ付きの接手を使用しています)

キャップ

配管や接手の端部に配置する蓋です。掃除口の蓋などに利用できます。

パーツタイプ:キャップ
配管コネクタの数:1
キャップの一例

その他のパーツタイプ

「Y型」「マルチポート」「ラテラルT型」「ラテラル交差」などの、配管タイプに組み込めない配管継手は、設備タブ>給排水衛生設備および配管タブ>配管継手 で直管の端部に配置します。
マルチポートの例
ver2021のメトリックライブラリの配管継手について、それぞれのファミリのパーツタイプを調査して一覧を作成しましたので参考にしてください。
メトリックライブラリ 配管継手 パーツタイプ.xlsx