2022年10月29日土曜日

パーツ(1)

パーツの基礎

パーツ化可能なカテゴリ

パーツとはファミリが持っているフォーム(SOLID要素)を取り出して、切断や除外などの加工を行うものです。

たとえば複数のレイヤからなる壁は、それぞれのレイヤごとのSOLIDを取り出してパーツとして実体化されます。

パーツは壁の各レイヤを別々の部品にする

パーツを作成するには、要素を選択し、修正タブ>作成パネル>パーツを作成 をクリックするだけですが、パーツ化できるカテゴリは以下の通りです。

システムファミリ

  • 床(複数のレイヤの形状の編集された床を除く)
  • 壁(重ね壁およびカーテン ウォールを除く)
  • 天井
  • 屋根
  • 基礎(スラブ・壁)
  • スラブ ハンチ
  • 鼻隠し

ロード可能ファミリ

  • 構造フレーム
  • 構造柱
  • 基礎(独立)

パーツの表示

たとえば壁をパーツ化した後、パーツを表示するにはビューのプロパティ「パーツ表示」で

  • パーツを表示
  • オリジナルを表示
  • 両方を表示

の中から「パーツを表示」を選択します。そうすると、パーツ化されている壁はパーツのみが表示されます。

パーツ表示はビューのプロパティ

パーツは解除できる?

一旦パーツ化したけれど、パーツ化をやめたい場合は、各バーツを選択してDeleteキーで削除します。すると次のようなダイアログボックスが表示されます。


OKを押すと選択したパーツは(分割されたものも含め)すべて削除されます。オリジナルの壁とそのパーツはあくまでも関連性を持った別要素としてふるまいます。しかし、分割したパーツの一部だけを削除することはできません。

パーツのプロパティ

パーツには独自のインスタンスプロパティがあります。寸法や面積はわかりやすいのですが、一部誤訳もあってわかりにくい部分があります。各バージョンで多少異なるのですがここではRevit2021を例に説明します。

基準カテゴリ、基準ファミリ、基準タイプ、基準点別マテリアル、基準点別の構築された相、基準点別の解体された相
基準???

この「基準」はOriginalの誤訳で、パーツ表示プロパティ同様「オリジナル」と考えてください。また「相」はPhase、つまりフェーズです。

  • 基準カテゴリ→オリジナルカテゴリ
  • 基準ファミリ→オリジナルファミリ
  • 基準タイプ→オリジナルタイプ
  • 基準点別マテリアル→オリジナル別マテリアル
  • 基準点別の構築された相→オリジナル別構築フェーズ
  • 基準点別の解体された相→オリジナル別解体フェーズ

となります。つまり選択したパーツが作成されたオリジナルファミリの情報を表示しています。

構成~終了???

構成とはレイヤの「機能」のことです。つまり終了→Finish→仕上の誤訳です。しかしながらレイヤの機能を正確に分けているわけではなく、躯体境界の内側にあるか外側にあるかを示しています。

  • 躯体→構造→躯体境界の内側のレイヤ
  • 終了→仕上→躯体境界の外側のレイヤ
Finish=終了???

形状ハンドル

形状ハンドルをオン(☑)に設定すると、パーツの各面に形状ハンドル(▲)が表示され、パーツの形状を変更することができます。ハンドルをドラッグするとオリジナルの形状に関係なく、自由に形を変更することができます。このときオリジナルの要素は全く影響を受けません。
ハンドルをドラッグすると形状を変更できる。オリジナルは影響を受けない。
形状を変更すると、「形状が変更されました」プロパティがオン(☑)になります。また寸法は形状変更後の値を示します。
形状が変更されましたに☑が入る

除外

パーツは一部を削除することはできませんが、その代わりに除外することができます。除外を☑すると、パーツは非表示になります。
削除はできないが除外で非表示にできる

次回は「分割」についてお話しします。

2022年10月22日土曜日

ファミリプレカットを表示とは?

ファミリプレカットって何?

構造柱のファミリプロパティに「平面図にファミリプレカットを表示」というプロパティがありますが、これはいったい何を意味しているのでしょうか?

断面形状が一定であれば関係ない

このパラメータは、平面図において切断位置によって形状が異なる構造柱を表示する方法を表しています。断面形状が上から下まで一定であれば、結果としては関係ありません。例えば次の図のような、上に行くにしたがってだんだん狭くなっている柱を考えてみます。
平面図にファミリプレカットを表示オフ(☐)の場合は、切断位置に応じて平面図上の表示が変わります。
ファミリプレカットを表示=オフ

平面図にファミリプレカットを表示オン(☑)の場合は、どの位置で切断しても平面図上の表示は同じです。
ァミリプレカットを表示=オン

これが「プレカットを表示」していることになるのですが、このプレカットはファミリの平面図で決定します。
この場合は、ファミリの平面図ビューのプロパティ「ビュー範囲」で表示する高さを決めることになります。
この表示が「ファミリプレカット」になります。

2022年10月15日土曜日

構造材の記号表現(2)~接合記号

接合記号を使ってみる

構造フレームファミリのファミリパラメータ記号表現を「プロジェクト設定から」に設定した場合、インスタンスパラメータに始点接合終点接合のパラメータが表示されます。


値をクリックすると、いくつかの選択肢が表示されるので、選択してみると梁の始点と終点に記号が表示されます。

構造フレーム端部に記号が表示される

この選択肢ですが、構造設定>記号表現設定>接合記号で記号を表示選択肢で「梁とブレース」を選択すると、同じ項目があります。

構造設定で接合タイプは任意に追加できる

つまり、始点接合、終点接合の選択肢はユーザーが任意に設定できるということです。設定するには「注釈記号」のファミリが必要です。接合記号のファミリを作成してみましょう。

接合記号をつくる

  1. ファイル>新規作成>ファミリ
  2. 注釈フォルダ>一般注釈 を開く。
  3. 作成タブ>プロパティパネル>ファミリカテゴリとパラメータ
    1. ファミリカテゴリに「接合記号」
    2. 適用先を「梁とブレース」
    3. OK
  4. 任意の記号をデザインします。
    1. 参照面の交点が、スティック記号の端部です。
    2. スティック記号は画面右方向にあると考えます。
    3. スティック記号は接合記号と水平な参照面の交点でトリミングされます。交点がなければトリミングはされません。

  5. 名前(ここでは接合_円形.rfaとします。)を付けて保存し、プロジェクトにロードします。
  6. プロジェクトで、管理タブ>設定パネル>構造設定▼>構造設定
    1. 接合記号グループ:記号を表示で「梁とブレース」を選択
    2. 接合記号グループの左下の「新規作成」ボタンをクリック。
    3. 接合タイプ名を設定します。ここでは仮に「接合1」とします。
    4. 注釈記号から、接合_円形を選択してOK。

  7. OKで構造設定ダイアログボックスを閉じる。
  8. 平面図または立面図・断面図で構造フレームを選択し、始点接合または終点接合を「接合1」にする。
  9. スティック記号の端部に、作成した接合記号が表示されます。

構造柱の接合記号

同様に構造柱も上部と下部に接合記号を設定することができます。柱の接合記号は立面図・断面図のみで表示されます。

構造柱は上端と下端に接合記号を設定できる
これらの接合タイプは、やはり構造設定で設定できます。
構造設定の記号表現設定

構造柱の接合記号は、ファミリパラメータ適用先で「柱の上部」「柱の下部」を選択して設定します。


あとは、構造フレームのファミリの作り方と同じですので、任意の記号を設定してみてください。

柱の接合記号は立面・断面で表示されます

2022年10月8日土曜日

構造材の記号表現(1)~スティック記号

構造材の単線表示

構造フレームと構造柱は単線で表示することが可能です。この単線をスティック記号と呼びますが、これは簡略表示の際、構造フレームと構造柱を単線で表示するための機能です。

次の図は、構造テンプレートで新規にプロジェクトを作成し、

  • 構造柱:ワイド フランジ形鋼-柱
  • 構造フレーム:ワイド フランジ形鋼

で、簡単な架構を作成し詳細モード標準で表示したところです。


これを詳細モードを簡略にすると、スティック記号が表示されます。



平面図ではどうでしょうか?構造伏図:レベル2は次のように表示されますが、これは構造フレーム「ワイド フランジ形鋼」の平面図:基準レベルにマスキング領域が設定されているからです。


ファミリを開いて、平面図のマスキング領域を削除して再ロードすると、次のように表示されます。
構造フレームファミリのマスキングを削除すると。。。
また断面図でも、同様に構造フレーム、構造柱ファミリのマスキング領域を削除して、詳細モードを簡略に設定すると次の図のように表示されます。

ファミリパラメータ「記号表現」

構造柱・構造フレームのファミリを開いてファミリパラメータ「記号表現」を見てみると、「プロジェクト設定から」が選択されています。
記号表現パラメータに「プロジェクト設定から」が選択されている場合、特に記号表現を設定せずとも、簡略モードでは構造材を示す線分(=スティック記号)が自動的に生成されて表示されます。
「ファミリから」を選択すると、スティック記号は表示されません。次の図は構造柱のファミリを開き、記号表現を「ファミリから」に設定して、プロジェクトにロードした状態です。構造柱は何も表示されていません。
柱ファミリの記号表現を「ファミリから」にした場合

「ファミリから」を選択した場合は、ファミリに独自の記号表現を設定する必要があります。

スティック記号の位置

構造フレームファミリのパラメータ「記号表現」を「プロジェクト設定から」にした場合、プロジェクトに配置された構造フレームのインスタンスパラメータに「スティック記号の位置」パラメータが表示されます。
スティック記号の位置
このパラメータで、構造フレームの記号表現(スティック記号)をどの位置に表示するのかを設定できます。

プロジェクト設定

プロジェクト設定とは管理タブ>構造設定▼>構造設定 の「記号表現設定」タブのことです。
プロジェクト設定から=記号表現設定

記号によるカットバック距離

ブレース:ブレースとその他の構造部材の記号表現の隙間の距離を設定します。次の図の赤矢印の距離を、印刷時の距離で指定します。

梁/トラス:梁/トラスとその他の構造部材の記号表現の隙間の距離を設定します。次の図の赤矢印の距離を、印刷時の距離で指定します。
:立面図表示において、上階の柱との間の隙間の距離を設定します。ただし、この隙間が表示される条件は限られています。次の図のように、上下のレベルに構造柱を作成して下部の構造柱のインスタンスパラメータ「上端接合」を、「なし」以外の値を選択します。たとえば「せん断柱接合」を選択すると、次の図の赤い矢印部分に隙間ができます。この距離を印刷時の距離で指定します。


さて、この上端接合のパラメータの選択肢は自由に作成できます。これは記号表現設定の「接合記号」グループで定義します。この仕組みは次回に説明します。

2022年10月1日土曜日

Time LinerとRevitのフェーズ

Reivitのフェーズ名をタイムライナーで活用する

Revitでフェーズを分けておいて、そのフェーズ名をNavisworksのタイムライナーのタスク名にする方法を考察してみます。
サンプルとして次のような構造体を各階ごとに「フェーズ1~6」で構築する場合を考えてみます。

まず、Revitでフェーズ分けを行ってから、nwcにエクスポートしておきます。

Navisworksのワークスペースを整える

  1. Navisworks Manageを起動し、追加ボタンを押して、Revitから出力したnwcファイルを追加します。
  2. 選択ツリーウィンドウを表示します。表示されていない場合は、ホーム>選択と検索タブ>選択ツリーをクリック(またはCTRL+F12)で選択ツリーを表示します。
  3. セットウィンドウを表示します。表示されていない場合は、ホーム>選択と検索タブ>セット▼>セットを管理 (またはSHIFT+F2)で表示します。
  4. タイムライナーウィンドウを表示します。表示されていない場合は、ホーム>ツールパネル>TimeLiner(またはCTRL+F3)で表示します。
  5. 画面は次のようになります。

  6. 選択ツリーの一番上にあるドロップダウンリストからプロパティを選択します。
  7. 構築フェーズ>名前を展開 すると、Revitで設定したフェーズが並んでいることを確認してください。

  8. フェーズ名を選択すると、そのフェーズで構築される要素が選択されることを確認してください。

フェーズ名で選択セットを保存する

  1. 選択ツリーで任意のフェーズ名を選択する。
  2. 右クリック>名前をコピー で名前をクリップボードにコピーする。この時点で、関連する要素が選択されています。

  3. セットウィンドウの「選択内容を保存」ボタンをクリック
  4. セットの名前が選択状態であることを確認してCTRL+Vでフェーズ名を貼り付け。

  5. これを繰り返して、すべてのフェーズ名の選択セットを作成する。

タイムライナーのタスクに割り当てる

  1. TimeLinerウィンドウのタスクタブ>タスクを自動追加>各セットをクリック

  2. TimeLinerのタスクに各選択セットが並んでいることを確認してください。

  3. シミュレートタブを選択して再生ボタンをおして、構築の様子を確認してください。

自動的にRevitフェーズの振り分けをNavisworksのタスクにインポートすることはできませんが、この手順で素早くタスクの追加とタスクに対する要素のアタッチを行うことができます。