BITについて
BIT(BIM INTEROPERABILITY TOOLS)とは、あるルールにしたがった共有パラメータをファミリ・部屋・スペース・プロジェクト情報に設定したり、Revitモデルのルールへの適応状態をチェックするためのツール群です。
BIM INTEROPERABILITY TOOLS |
BITは
- 機器データ(Autodesk Equipment Data Tool for Revit)
- 空間データ(Autodesk Spatial Data Tool for Revit)
- 標準データ(Autodesk Standardized Data Tool for Revit)
- モデルチェッカー(Autodesk Model Checker for Revit)
- 構成設定ツール(Autodesk Model Checker Configurator)
- COBie Extension
から構成されています。これらの使用方法について学習しましょう。こちらからインストーラをダウンロードしてください。
機器データ(Equipment Data Tool)の使い方
何ができる?
RFAファイルを分類し、分類に応じた共有パラメータを設定します。編集対象は個々のRFAファイルです。
ポイントはこの「分類」の概念です。例えばドアはドアでもスチールドア・木製ドア・シャッターなど、建築の要素はRevitのカテゴリだけでは分類できないことも多々あります。この分類コードを独自に作成して、分類ごとに適切なパラメータを設定することがBITの目的です。
練習してみよう!
早速ですが、BITを用いて、「機器データ」の機能を使ってみましょう。
この練習では
「ドアのファミリを「ドア」と「シャッター」に分類して、それぞれのファミリに適切な共有パラメータを設定する」
という想定でやってみましょう。
練習セットのダウンロード
練習セットをこちらに用意したのでダウンロードして適切な位置に解凍してください。内容は
- 共有パラメータファイル:BITTrainingSharedParameters.txt
- ファミリフォルダ:BITでパラメータを設定するための練習用ファミリ
ここではRevit2019を使って解説します。
1.共有パラメータの確認
この共有パラメータには次のパラメータが設定されています。
このうち、分類1は文字のパラメータで、BITで設定される分類コードを格納するためのパラメータです。
その他のパラメータはドアとシャッター用のパラメータで
- 建具共通パラメータ1:ドアとシャッター両方に設定
- ドアパラメータ1:ドアにのみ設定する
- シャッターパラメータ1:シャッターにのみ設定する
2.分類定義ファイルひな形
まず最初に行うことは、エクセルを使用して分類定義ファイルを作成することです。分類定義ファイルとは、冒頭に申し上げた「分類」を定義するエクセルのファイルです。まずは、ひな形ファイルを作成します。
- BIM Interoperability Toolタブ>機器データパネル>構成の作成
- Step1:Start From Scrachを選択し「次に」
- Step2:Browseをクリックして、ダウンロードした共有パラメータファイルを選択し「次に」
- ステップ3では、右下分類情報を格納するパラメータを指定します。(ただしここでの操作は分類定義ファイルのひな型ファイルを得るためのダミー操作で、実際には後述の4.構成ファイルを作成する で本当に有効な操作となります。)
- パラメータを選択で「分類1」を
- 方法を選択で「タイプ」を選択
- 値を適用する方法で「両方」を選択
- 連結テキストに「:」を設定
- 仮想のグループで「識別情報」を選択し「次に」
- Step4:StartFromScrachを選択して、ファイル名「BITTraining1.xlsx」で練習フォルダ内に保存し、「次に」。このファイルの位置は覚えておいてください。
- ステップ5:Titleが5つ並ぶので、どれでもいいので選択し。「終了して閉じる」
- 構成を保存する場所を選択ダイアログボックスはキャンセルする
これで分類定義ファイル「BITTraining1.xlsx」が作成されました。この修正はエクセルで直接編集して修正します。
3.分類定義ファイルの編集
- 5のStep4で指定したファイル「BITTraining1.xlsx」をエクセルで開く。
- Product1タブを選択
- 次の図のように編集する。セルが白いところが編集可能
編集するのはセルが白のところのみ - B1:建具の分類番号「D001」
- B2:分類の説明として「建具」
- B3:バージョン番号を設定(ここでは「0.0.1」)
- A9:ドアの分類番号「D001_1」
- B9:説明として「ドア」
- C9:LEVELの値として、1のD001の下層に入るので 「2」を設定
- D9:ドアカテゴリの番号(これはInstructionsタブのB25に値があります。適切なカテゴリを選びます)
- 同様に10行目にシャッターの値を設定する。
- 保存して閉じる。
4.構成ファイルを作成する
次にどの分類にどのパラメータを設定するかの構成ファイルを作成します。
- 2の分類定義ひな形ファイルの、手順4(ステップ3)までを実行する。
- Step4:閲覧の[...]をクリックし、3で編集した「BITTraining1.xlsx」を選択。
- 「次に」
- ステップ5:D001を選択し「次に」
- 「+」をクリックして、次のようにパラメータを追加する。
パラメータを追加 - 下層のグループをすべて「データ」に設定
- Unitを「ミリメートル」
- 初期値を以下のように設定する(初期値は何も設定しなくても問題ありません)
初期値は一回選択して、再度クリックして入力 - 「次に」を押してエラーがないことを確認し「終了して閉じる」
- 構成を保存する場所を選択 で、トレーニングフォルダに「BITTraining1.xml」として保存する。
この構成ファイルには、分類ファイルと分類ごとのパラメータの値が保存されています。このファイルを使ってファミリにパラメータを設定します。
5.ファミリにパラメータを設定する
- BIM Interoperability Toolタブ>機器データパネル>ファミリをセットアップ
- Step1:Select configuration fileを選択し、[...]をクリックして、作成した構成ファイル「BITTraining1.xml」を選択し、「次に」
- 「+追加」ボタンをクリックし、ダウンロードしたトレーニングフォルダのファミリフォルダの「BITTrainingドア1.rfa」「BITTrainingドア2.rfa」を選択して開く
ファミリを追加
「次に」を選択 - D001_1:ドアを選択して「次に」
- パラメータを確認して「終了して閉じる」
ここで初期値を変更することもできる - プログラムが稼働して、指定したファミリにパラメータが設定されます。
- 1からの手順を繰り返してにシャッターにも適用する
確認する
ドアとシャッターのファミリを開いて、パラメータが設定されているかどうかを確認してください。
ドア
分類1、ドアパラメータ1、建具共通パラメータが設定されている |
シャッター
分類1、シャッターパラメータ1、建具共通パラメータ |
ここで分類1の値に注目してください。分類1には分類番号としてD001_1、分類名としてドア、それを接続する文字として「:」が格納されています。2-4の手順で説明した分類の設定はここに影響していることがわかります。
このように、BITを使えば、既存のファミリに対して、共通のパラメータを確実に設定できるので、ファミリのプロパティ情報の管理にとても役に立ちます。
新たにファミリをつくるときも、BITで共有パラメータを設定してから始めれば、らくちんですし何より間違うことがありません。ぜひ活用を考えてみてはいかがでしょうか?