測地座標系を再現してみる
現況測量図には測地系座標が記載されています。(測地座標系については国土地理院のHPに記載があります。)この測地座標系を共有座標系に設定してみましょう。
たとえばベンチマークの座標が
- XY座標:X=-20,000m、Y=10,000m
と現況測量図に示されていたとします。これば測地座標原点から東に20km、北に10kmの位置を示しています。つまり、次の図のようになればよいというわけです。
測量点に表示される共有座標系の座標 |
共有座標系の原点を移動する方法は二つあります。
- 測量点をクリップしたまま移動する
- プロジェクトの移動 を使う。
プロジェクトの移動=共有座標原点の移動 です。今回はプロジェクトの移動の動きを確認してみましょう。
手順
共有座標系原点をいったんBMに合わせる
- 配置図に現況測量図のDWG/DXFデータを配置し、真北の方向が上(Y軸)を向くようにデータを回転します。
- 今回は敷地のみのデータを作成します。
- 真北=プロジェクトの北として話を進めます。
- 表示/グラフィックスで測量点を表示します。
- 測量点を選択して、クリップを外します。
- N/S、E/Wの数値に「0」を設定して、再度クリップします。
- この時点で現時点の共有座標系の原点に移動しました。
- クリップがかかった状態で、現況測量図のベンチマークの位置に移動します。
プロジェクトを移動
プロジェクトを移動を使って共有座標系原点を固定してプロジェクト全体を移動します。このとき移動できる距離は一度に9144000mmなので、20km移動するときは9+9+2kmのように数回に分けて移動します。
- 管理タブ>プロジェクトの位置パネル>位置▼>プロジェクトを移動
- 測量点を選択し、クリップを外し、測量点のE/Wの値を-20kmとします。
- 測量点がBMの位置に移動し、E/Wの値が-20000000となります。
- これは測量点が移動しただけで共有座標原点が移動したわけではないことに留意してください。
- 管理タブ>プロジェクトの位置パネル>位置▼>プロジェクトを移動
これで、測量点の座標が測地座標系の座標と一致しました。
プロジェクトを移動=共有座標原点の移動
以上からわかるように、プロジェクトを移動するということは、共有座標原点を移動することであり、プロジェクトの要素が移動するわけではありません。Reivit2021では、UNDOの矢印をクリックすると、「プロジェクトを移動」ではなく「プロジェクトの共有座標基準点を移動」となっています。
プロジェクトを移動、とは表示されない(Revit2021) |
測量点を使用して移動する場合
この手順は測量点を移動することでも実現できます。
- 測量点を選択し、クリップされて、座標の表示が0,0であることを確認します。
- 修正タブ>修正パネル>移動
- 右(X軸+方向)に20km、下(Y軸-方向)に10km移動
- 一度に移動できるのは9km程度なので、9+9+2kmのように数回に分けて移動します。
- これで共有座標原点が、測地座標系原点に一致しました。
- 測量点を選択
- クリップを外す
- N/Sに10000m、E/Wに-20000mと入力
- BMと測量点が一致していることを確認します。
共有座標(測地座標)の値を表示する
この状態で共有座標系と測地座標系は一致しています。Revitの要素の共有座標(=測地座標)を表示するには、指定点座標を使用します。
- 「プロジェクトを移動」=「共有座標原点の移動」
- 共有座標原点の移動は測量点を移動しても実現できる
- 指定点座標で座標基底を測量点にすると、共有座標系の座標値が表示される