内部原点
Revitを使っているとき座標を意識することはほとんど必要ありません。しかしながらRevitにもちゃんと座標はあり、すべての要素は座標に基づいて位置情報が管理されています。ではいわゆる原点(0,0,0)はどこにあるのでしょうか?
Revitではこの原点を「内部原点(ver2022/2021)/内部基準点(ver2020)」と呼んでいます。
外構カテゴリのサブカテゴリの内部原点にチェックを入れると次のように表示されます。
内部原点 |
内部原点は移動できない
この内部原点自体は決して移動することはできません。たとえばX1-Y1-1FLの交点を原点としたいというときは、最初からそのようにモデリングを行う必要があります。後から合わせようとするならば、内部原点ではなく、プロジェクト内の要素を移動します。
CAD出力時の原点
既定値の設定ではこの内部原点を基準としてデータが出力されます。たとえば下の図のような平面図がRevitで作成されたとします。
内部原点が通り芯の交点からずれている |
X1-Y1の交点から内部基準点がずれています。これを規定値でCAD出力しAutoCADで開いてみます。UCSICONを原点に表示してみると・・
AutoCADの原点とRevitの内部原点は一致している |
CAD上の原点(0,0,0)とRevitの内部原点が一致していることがわかります。CAD出力時に原点をX1-Y1の交点に合わせて出力することができるでしょうか?
原点を移動してCAD出力するには?
以下の手順を踏めば、原点を任意の位置に移動したCADデータを作成することができます。
Revitでの操作~出力用の位置の作成
まずは出力用の「位置」を作成します。
- 管理タブ>プロジェクトの位置パネル>場所
- 敷地タブをクリック
- 任意の場所を選択し[複製]ボタンをクリック、任意の名前をつけOK。ここでは「CAD出力とします。
- [現在の値にする]をクリックし、OKでダイアログボックスを閉じます。
真北の修正
次にプロジェクト基準点を表示して真北方向を設定します。この真北方向が出力時のY方向となります。
- 表示タブ>グラフィックスパネル>表示/グラフィックス
- 外構カテゴリのプロジェクト基準点にチェックを入れてOK
- 表示されたプロジェクト基準点を選択し、「真北の角度」の値をクリックして0とします。これは共有座標(=測量点)のY方向を設定する作業です。
真北を合わせる
測量点を出力原点に移動
測量点を表示して、原点としたい位置に移動します。
- 表示タブ>グラフィックスパネル>表示/グラフィックス
- 外構カテゴリの測量点を原点にしたい位置に移動。このとき、クリップがON(斜線が入っていない状態)で移動してください。
クリップに斜線が入っていない状態で移動
次の図のようにX1-Y1の交点に移動します。3Dデータを出力するときはZ座標も合わせる必要があります。
測量点のクリップの働きについてはこちらのページで解説していますのでご一読ください。
測量点を出力原点としたい位置に移動 |
CAD出力
CAD出力時に座標の設定を行います。
- ファイルタブ>書き出し>オプション>書き出し設定DWG/DXF
書き出し設定DWG/DXF - ベースとしたい任意の書き出し設定を選択し複製ボタンをクリック
- 名前を共有座標とする
- 単位と座標系タブをクリックし、座標基底を共有座標とする。
共有座標を選択 - OK
- ファイルタブ>書き出し>CAD形式>DWGまたはDXF
- 書き出し設定を選択で「共有座標」が選択されていることを確認して次へ。
書き出し設定を確認する - ファイル名を指定して保存します。
以上の手順で出力したDWGファイルをAutoCADで開いてみると、X1-Y1の交点に原点があることがわかります。
原点が指定した位置になっている |
Navisworksの場合
Navisworksに出力する場合も同様にRevit側を準備します。
そして出力前に・・・
このように、他のシステム用に出力する場合は、自由に出力原点を設定できますので、Revitで操作する際にあまり座標は気にする必要がないのです。管理タブ>プロジェクトの位置パネル>場所はいわば任意のユーザー座標系(User Coordination System)をいくつでも設定できる大変便利な機能なのです。