2020年7月31日金曜日

手摺を補助手摺だけでつくると意外に便利(1)

ブラケットの位置を自由に変更・追加・削除

ブラケット手摺を手摺子ファミリで作る例を以前ご紹介しました。手摺子で作成するとブラケットの位置が自由になりません。今回は、補助手摺の機能を使って作る方法をご紹介いたします。補助手摺を使うメリットはなんといっても

  • 支持の位置を自由に設定できる

とうことです。
ピンを外せば移動・追加・削除が自由自在

ステップは
  1. 補助手摺の支持を作成
  2. 補助手摺タイプを作成
  3. 補助手摺のみの手摺を作成
となります。

補助手摺の支持(ブラケット)

  1. ファイル>新規作成>ファミリで「手摺の支持(メートル単位).rft」のファミリテンプレートを選択。
    • 中央水平の参照面(名前:手摺の支持(メートル単位).rft)が手摺笠木の中心です。
    • 少し上にある参照面(名前:握りのクリアランス)が壁面と思ってください。
    • このビューでは寸法表示がオフになっているので、表示タブ>表示グラフィックスの注釈タブで寸法に✔を入れてください。
  2. 立面図>右を開く
    • 参照レベルと参照面:中心(正面/背面)の交点が笠木手摺のした中心です。
    • 参照面:握りのクリアランスが壁面
  3. すでに寸法が作成され、パラメータが割り当てられていることに注目してください。
    • 参照面:高さと参照レベルとの間には寸法が作成され、パラメータ「高さ」が割り当てられています。
    • 参照面:中心(正面/背面)と参照面:握りのクリアランスとの間には寸法が作成され、パラメータ「握りのクリアランス」が設定されています。
    • 握りのクリアランスの値は、補助手摺の設定により自動的にコントロールされるシステム変数です。
  4. プロパティパネル>ファミリタイプで以下の値を設定
    • 握りのクリアランス 38(この値の理由はこちらをご覧ください)
    • 高さ        100
  5. ブラケットの形状を作成する。ここでは押し出しを使って簡単な形状にしています。
  6. 平面図を開き、図のように参照面を作成して、インスタンスパラメータ「幅」を設定し、押し出しの両面を参照面にロックする。
    • ここで幅をインスタンスパラメータにしたのは、振る舞いを説明するためであり、決して必須という訳ではありません。
できあがって支持は次のようなものです。これを「支持_ブラケット」として、プロジェクトにロードする。


次回は補助手摺のタイプを作成します。




2020年7月25日土曜日

スコープボックス(2)

スコープボックスの自動表示とは

スコープボックスのビューの表示ダイアログでは「自動」とう項目があります。
「自動表示」とは?
ダイアログボックスの上部には全く意味不明な「暗号文」が配置されています。これを解読すると、スコープボックスは以下のビューで表示されるということのようです。
  • すべての3Dビュー
  • 平面図・断面図・立面図のうち、切断面がスコープボックスと交差しているビュー
この条件を満たしているビューが、「自動表示」の列に「表示」と表示されています。たとえば立面図は上のダイアログボックスでは非表示となっています。この立面図のビュー範囲を平面図で確認すると確かに切断面はスコープボックスと交差していません。
立面図の切断面の位置
この切断面をスコープボックスと交差する位置まで移動します。
切断面をスコープボックスに交差する位置に移動
すると、自動表示の列に表示と表示されます。
自動表示が「表示」に
自動表示列は直接操作することはできませんが、切断面とスコープボックスの位置関係を把握するのに役立ちます。

2020年7月18日土曜日

スコープボックス(1)

通芯・レベルのグルーピング

増築などで既存棟に隣接して新棟を計画するときなど、既存棟の通り芯・レベルの情報を図面に表示したくない、という場合にはスコープボックスが役に立ちます。
次の図のように二つの建物が隣接しているとき、A棟の図面にB棟の通り芯とレベルを表示しないようにします。
A棟にはB棟の通り芯を表示したくない

手順1:スコープボックスの定義

  1. 表示タブ>作成パネル>スコープボックス
  2. 2点をクリックしてA棟を囲むスコープボックスを作成
    • スコープボックスは名前の通りボックス形状をした3D範囲です。
  3. プロパティウィンドウで名前を「A棟」とする。
  4. 同様にB棟のスコープボックスを作成する。
    コーナー(矢印)をクリックしてスコープボックスを作成

手順2:通り芯の関連付け

  1. A棟の通り芯を選択。
  2. プロパティウィンドウでスコープボックスの値を「A棟」に設定
    作成したスコープボックスに通り芯を関連付ける
  3. 同様にB棟の通り芯を選択し、プロパティウィンドウでスコープボックスの値を「B棟」に設定。

手順3:スコープボックスをビューに関連付け

  1. スコープボックスを作成したビューを複製して、A棟、B棟用の平面ビューを作成する。(スコープボックスを作成したビューは保存しておきます。)
  2. 平面図 A棟 1階を開き、プロパティウィンドウでスコープボックスの値を「A棟」に設定。
  3. 同様に平面図 B棟 1階のスコープボックスを「B棟」に設定。
    ビューにスコープボックスを関連付け

手順4:スコープボックスの表示状態を設定

  1. 平面図 全体(スコープボックスを作成したビュー)を開き、A棟のスコープボックスを選択。
  2. プロパティウィンドウでビューの表示の編集ボタンをクリック。
  3. 平面図 B棟 1階の優先を非表示に設定。
    優先設定を非表示に
  4. 同様にB等のスコープボックスを平面図A棟1階で非表示に設定。
  5. 平面図 A棟 1階を表示して状態を確認。
    A等の通り芯のみが表示されています。

同様に他の階のビューにもスコープボックスを適用して、スコープボックスのビューの表示を設定します。

範囲の調整

ビューにスコープボックスを設定すると、ビューはスコープボックスの範囲でトリミングされ、一般的なトリミングは利用できなくなります。範囲を調整するにはスコープボックスの範囲を修正します。
  1. 平面図 全体 1階を開き、スコープボックスの範囲を修正
    スコープボックスの範囲を修正
  2. スコープボックスを適用した、すべての階のビューで範囲が修正されていることを確認する。
    スコープボックスを適用したすべてのビューが更新される
スコープボックスを使用すれば、各階のビューのトリミング範囲を一致させることも容易です。

2020年7月13日月曜日

スラブ段差

断熱材付きのスラブ段差

段差スラブとその補強を作成する方法として、床スイープを使うという手があります。以前の回でその方法について説明しました。今回はさらに断熱材を含む床について床スイープで作成する方法を考えてみます。
断熱材付きのスラブ段差

プロファイル

プロファイルは段差補強用と断熱材用の二つのプロファイルを用意します。
補強部分:幅200厚さ100というタイプを作成しておく
断熱材の部分:幅200厚さ100断熱30というタイプを作成しておく

赤矢印が基準点です。

床を作成する

次は床を作成します。床タイプは最下層に断熱材を含むタイプを作成しておきます。
床タイプ・断熱材を含む

床は段差を付けて2枚作成します。ここでは段差を100mmとして考えてみます。
段差100mm

床スイープ(スラブハンチ)を作成

床スイープ(スラブハンチ)は上側(ここでは±0)の床のエッジに作成します。
  1. 3Dビューを開き、下側の床を選択し、一時非表示とします。
  2. 建築タブ>床▼>床スイープ
  3. タイプ編集ボタンをおして、「スラブ段差100mm」という名前のタイプを複製し、プロファイルを作成した段差補強のプロファイルを指定する。また、マテリアルも床の構造レイヤのマテリアルに合わせておく。
    床スイープ(スラブハンチ)タイプの作成
  4. プロパティウィンドウでオフセット(鉛直)を30(断熱材の厚さ分)とする。

    オフセット(鉛直)を断熱材の厚さに設定
  5. 床の下側のエッジを連続でクリック。
  6. 床の下側のエッジを選択して補強部分を配置
  7. 修正ボタンをクリック。
  8. 建築タブ>床▼>床スイープ
  9. タイプ編集ボタンをおして、「スラブ段差断熱100mm」という名前のタイプを複製し、プロファイルを作成した段差補強断熱のプロファイルを指定する。また、マテリアルも床の断熱レイヤのマテリアルに合わせておく。
    床スイープ(スラブハンチ)タイプの作成
  10. プロパティウィンドウでオフセット(鉛直)を-150(床の構造部の厚さ分とする。
    オフセット(鉛直)を構造体の厚さに設定
  11. 床の上側のエッジを連続でクリック。
    床の上側をクリック
  12. 一時表示にしていた下側の床を再度表示する。
  13. 断面図を作成して段差部を見ると下の図のようになっている。
    次は結合の調整

結合の調整

結合順位の入れ替えとジオメトリ結合を行います。順番が肝心です。
  1. 修正タブ>ジオメトリパネル>接合▼>結合順序を入れ替え で、構造部のスラブハンチと上側の床をクリック。
    結合順序を入替
  2. 修正タブ>ジオメトリパネル>接合 で、下の図の4つを接合する。
    ジオメトリを結合(4か所)
3Dビューを表示し、切断ボックスでカットしてみます。
断熱材付きのスラブ段差補強

2020年7月5日日曜日

舗装

舗装の傾斜

舗装に勾配を付ける方法は今のところ勾配矢印を使うしか方法がありません。勾配矢印を使うときのちょっとしたコツをご紹介します。
舗装の傾斜についての話です。

基本(勾配)

舗装は必ず地盤(地形)の上に作成しますので、まず地盤を作っておきます。
そして次のように幅6m長さ40mぐらいで舗装のスケッチを作製して、勾配矢印を配置します。矢印は指定方法にもよりますが、基本的に登り方向を示しています。
舗装と勾配矢印を作成
勾配の単位を指定しておきます。一番都合のよい単位でいいのですが、ここでは%表示としておきます。
  1. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトで使う単位
  2. 勾配のボタンを押して、パーセンテージを選択
    勾配の単位を設定
  3. OK→OK
  4. 勾配矢印を選択し、プロパティウィンドウで、指定を交配、矢尻レベル0、勾配を10%とする。
  5. モードパネル>✔
  6. 作成した舗装を選択し、勾配の値が変更できることを確認します。
勾配矢印の指定を勾配に設定すると、いちいち編集モードに入らなくても勾配の値を変更できるようになります。
勾配のついた舗装

法面(勾配端部)

法面は基本的に三角形で作成するので、UIの乏しい舗装で作成するのはやや困難です。それでも条件さえ合えば舗装で法面を作成することができます。その条件とは

3点のうち2点が同じ高さである

ということです。

  1. 次の図のように三角形の舗装を作成。
    三角形の舗装を作成
  2. 右上の点が矢先になるように勾配矢印を作成
    勾配矢印
  3. 底辺に垂直になるように矢尻をドラッグして配置
    底辺に直角になるように勾配矢印を配置
  4. 勾配矢印のプロパティで、矢じりレベルを底辺の高さ0、矢先レベルを矢先の高さ4000に指定
    勾配矢印のプロパティ
  5. モードパネル>✔
擁壁の底辺の両端の2点は高さ0ですので、舗装と勾配矢印で作成可能です。
舗装で法面を作成