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2020年4月5日日曜日

重ね壁の小技

重ね壁を使いこなしましょう

重ね壁はよく知れば、かなり便利な機能です。前回ご紹介したようなALC壁のように二つの壁の垂直の位置関係を、それぞれ独立した標準壁を使って保つのは非常に困難です。
活用に役立つように、いくつかのヒントを書いてみます。

重ね壁は分解可能

作成した重ね壁を、最終的に個別の壁として扱いたい場合は、個々の標準壁に分解することができます。分解方法は
重ね壁を選択して右クリック>分割
これだけで位置を保ったまま複数の標準壁に「分解」されます。

個々のプロパティ

重ね壁は複数の標準壁のインスタンスをまとめて扱っているだけなので、個々の壁のインスタンスパラメータを修正することが可能です。重ね壁をマウスオーバーしTABキーを何回か押して目的の部分がハイライトされたらクリックして選択します。
TABキーで選択
これで重ね壁を構成する壁のインスタンスプロパティを修正できます。RC腰壁は構造部材だけど、ALC壁は意匠壁、というような構成にすることが可能です。
インスタンスプロパティも編集可能
また右クリック>すべてのインスタンスを選択を使用すれば、その他の重ね壁の構成要素を選択できます。
全てのインスタンスを選択

建具のホスト

重ね壁にドアファミリを挿入すると、上下の壁に開口します。枠見込みなど、ホストとなる壁の状況によって変わるパラメータは、メインホストとなる壁の属性に従います。
メインホストの腰壁の壁厚に反応し、枠見込がALC壁に対してやや大きすぎる
メインホストを変更するには、
  1. ドアを選択して「メインホストを選択」
  2. ALC壁を選択
で変更します。
枠見込がALC壁によって調整される。
上記の分割を行っても、分割前と同様に建具は上下の壁に開口した状態が保たれます。
分割しても大丈夫

マテリアルの基点に注意

マテリアルの起点は、重ね壁としての基準レベルとなります。
マテリアルの起点は重ね壁の基準レベル
必要に応じて目地を位置合わせしてください。

上/下部の働き

レイヤダイアログの「上」「下部」の値は通常編集不可になっています。
いつ使用可能になるのか?
この項目は、個々の標準壁のタイププロパティで「レイヤの延長」が許可されていた時に使用できます。
例えば、下の図のように、2つのレイヤからなる壁タイプを作成し、タイププロパティの構造を編集します。
このとき、断面を表示して、下部の水平境界を選択して、表示されたカギアイコンのロックを解除します。
壁のタイプ編集>構造>プレビュー>断面>修正で境界をクリックしてロック解除
そしてこの壁を使用して重ね壁を作成すると、下部の欄を使用できるようになります。
下部が編集できるようになる
ロックを解除したレイヤが延長/短縮されます。

結合編集

重ね壁の結合部を編集するには、「壁接合部」を使用して、目的の壁接合を編集します。
修正タブ>ジオメトリパネル>壁接合部
壁接合部をクリックし、重ね壁の接合を編集したい個所をマウスオーバーすると四角形が表示されるのでクリックします。
赤矢印をマウスオーバーすると四角形が表示される。□の大きさは壁厚を反映している
オプションバーで結合状態を編集します。
オプションバーで編集
重ね壁の機能をよく把握して、しっかりと使いこなしてください。