2019年12月15日日曜日

階段練習帳(3)~螺旋階段

螺旋階段の踏面奥行は経路の中心

螺旋階段の踏面奥行は経路の中心の直線距離
螺旋階段の踏面の奥行は「狭いほうから30cm」の位置で計測しますが、Revitの螺旋階段の場合、踏面の奥行は階段経路の中心で計測します。
今回は次のような螺旋階段のモデリングを考えてみます。

  • 90度あたり4つの踏み面をもつ
  • 踏み面は狭いほうから300mmのところで、210mm確保する。
  • 経路幅は900mm
まずは詳細線分を用いて、踏面奥行や経路の位置などを考えてみます。

必要寸法の確認

まずは一辺が210mmの16角形を詳細線分で作図してみましょう。Revitの詳細線分作図機能では辺の長さを指定して多角形を作ることができないので、ひと工夫必要です。

  1. 建築テンプレートで新しいプロジェクトを開始
  2. 注釈>詳細>詳細線分
  3. 描画>内接するポリゴン
  4. オプションバーの側面の値を16にして、半径500mm程度で16角形を作成
    詳細線分で16角形を作成
  5. 作成した16角形を選択し、修正|線分>修正>スケール
  6. 任意の頂点をクリック→隣の頂点をクリック、キーボードから210と入力しENTER
    スケールコマンドで一片の長さを210mmに
210mmになった一辺の位置が「階段の狭いほうから30cm」になれば、要件を満たすことになります。
階段の幅900mmなので、外側に150mmオフセットすれば階段経路の中心になります。
  1. 修正>修正>オフセット
  2. オプションバーのオフセットの値を150として、任意の線を外側に150mmオフセットする。
  3. 中心と辺の端点を結んで下の図のような作図をする。
    外側に150mmオフセットして中心と結ぶ

この長さをプロパティでみてみると、「269.7mm」となっています。値を丸めて、階段の中心で270mmあれば、要件を満たすことになります。
いったんオフセットした線を削除して、下の図のように作図してみます。
矢印の位置が階段の中心になる

螺旋階段のモデル

これをした絵にして螺旋階段を作成してみます。
  1. 建築>階段>階段
  2. プロパティウィンドウで鉄骨階段:鉄鋼を選択し、タイプを編集
  3. 複製して名前を螺旋階段とする
  4. 最小階段経路幅を900に変更
  5. OK
  6. プロパティウィンドウで以下を設定する
    1. 蹴上数:20
    2. 現在の踏面奥行:270
      踏み面の奥行を270にする
  7. コンポーネント>フルステップ螺旋
    フルステップ螺旋
  8. オプションバーで
    1. 配置基準:経路中心
    2. オフセット:0
    3. 実際の経路幅:900
      オプションバーの設定
  9. ①中心→②階段の中心(作図した赤の↑の点)をクリック。
    ①→②の順にクリック
  10. モード>✔(終了)
これで要件を満たす螺旋階段が作成できました。
要件を満たした螺旋階段

2019年12月7日土曜日

階段練習帳(2)~●と▼は何が違うのか?

階段の編集

今度は作成した階段を編集してみます。編集モードに入ると階段経路の始端と終端に●と▼が表示されます。この意味を覚えておくと効率的に階段の変更ができます。

練習1


  1. 前回の手順の通りに階段を作成します。
  2. 階段を選択して、[修正|階段]タブ>[編集]パネル>[階段を編集]
  3. 上側の階段経路を選択。
  4. ▼を選択して下向きにドラッグし、何もないところをクリック。
  5. 階段全体の段数に変化なく、下側の経路の段数が変化したことを確認してください。
    ▼をドラッグした結果
  6. CTRL+Zで元の形状に戻します。
  7. 同様に上側の経路を選択して、今度は●をドラッグします。
  8. 今度は段数が増えたことがわかります。段数表示も「20+7」のように、既定の段数をオーバーしていることを示します。
    ●をドラッグした結果
  9. CTRL+Zで元の形状に戻します。
  10. 下側の経路を選択して▼をドラッグします。
  11. 上の階段同様に、全体の段数は変化せず、上下の段数が変わります。
    下側の▼をドラッグした結果
  12. CTRL+Zで元の形状に戻します。
  13. 下側の経路を選択して●をドラッグします。
    下側の●をドラッグするとエラー
  14. 今度はエラーになります。下側に規定を超えて段数を増やすことはできません。
  15. エラーメッセージをキャンセルして元の形状に戻します。
ここでまとめておくと、
▼=全体の段数は変わらない
●=全体の段数が変化する
となります。ところが、この現象は中間に踊り場という「障害物」があるからの振る舞いで、本来の動きは少々違ったところにあります。

練習2~踊り場がなかったら?

  1. 編集モードに入って、踊り場を削除します。
  2. ▲や▼をドラッグすると、経路全体の位置が変わるだけであることを確認します。
    ▼をドラッグしても全体の位置が変わるだけ
  3. CTRL+Zで元の形状に戻します。
  4. 下側の経路の踊り場側の●をドラッグします。
  5. ●をドラッグしたので段数は変化しました。しかし踊り場がないため、上之段との関係性がなく、段数に矛盾が生じています。このままでは踊りがを追加することはできません。
    ●は段数を変化させるが、上の経路と段数の矛盾が生じている
  6. 上側階段経路の踊り場側の●をドラッグして、段数に矛盾がないようにします。
    上側の経路の●をドラッグして段数を整合させる
  7. [コンポーネント]パネルの[踊り場]を選択し、上下の階段経路を選択して踊り場を作成する。
    踊り場を追加

まとめ

  • ▼▲:段数は変わらない
  • ●:段数が変わる
  • 階段開始位置を変えたくない場合は、踊り場をいったん削除する。
●と▼の振る舞いの違い、お判りいただけましたでしょうか?



2019年11月30日土曜日

階段練習帳(1)

標準的な階段


Revit標準添付の建築テンプレートで階段を作る練習をしてみましょう。標準的な階段、踊り場に段がある階段、螺旋階段など順番に練習します。
まずは基本の階段から

すぐにクリックしてはいけない

階段を作成する場合、コマンドに入ってすぐに画面をクリックしてはいけません。入念に準備してから作成を始めましょう。

  1. 建築テンプレートで新規プロジェクトを作成。
  2. [建築]タブ>[階段]パネル>[階段]
  3. プロパティウィンドゥの拘束セクションで次の操作をします。
    • タイプセレクタから鉄骨階段:鉄骨を選択。
    • 基準レベル:レベル1
    • 基準レベルオフセット:0
    • 上部レベル:レベル2
    • 上部レベルオフセット:0
    • 階段全高を確認する。階高をチェックすることが階段作成の第1です。
      まずは階段をどこに作成するのかを決めます
  4. プロパティウィンドゥの寸法セクションで次の操作をします。
    • 蹴上数:18→20
    • 現在の蹴上寸法が変化することを確認
    • 現在の踏面奥行:250
    • 蹴上と踏面のサイズを確認することが第2です。
      次に蹴上と踏面を決めます。
  5. オプションバーで次の操作をします。
    • 配置基準線:経路:右
    • オフセット:0
    • 実際の経路幅:1250
    • 経路とは階段のことです。経路の寸法を決めることが第3です。
      次に階段幅を決めます。
  6. [修正|階段]タブ>[ツール]パネル>[手すり]をクリックして次の操作をします。
    • ドロップダウンリストから「なし」を選択します。
    • 手すりを同時に作ることもできますが、手すりは後から作成したほうが納得のいく手すりができます。階段作成時は「なし」がおすすめです。
      手すりはなしにしましょう。
  7. いよいよ作成を始めます。画面をクリックし、上方にマウスを移動し「10蹴上が作成されました。10継続中」と出たらクリック。
    • このとき、配置基準線を経路:右としたために階段経路の右側をスケッチしていることに注目してください。
    • 屋内階段などの場合は、壁面に沿って作るのであれば選択していることに
      いよいよ作成開始
  8. マウスをやや右に移動してクリックし、下側に移動しすべての階段を描き切る。
    階段を描き切る
  9. 最後に作成した経路を選択
  10. [修正]パネル>[移動]で、階段1段分下方へ移動する。
    上側の経路を下へ1段分「移動」します。
  11. 今度は両側の階段経路を、下方へ100mm移動します。
    両方の階段を下へ100mm移動
  12. 上側の階段を選択し、表示された仮寸法を「=1250*2+200」と入力して、階段経路と経路の間を200mmに設定する。
    階段経路と経路の間隔を設定する。
  13. [モード]パネルの✔をクリックして終了。
基本的な階段の作成方法は以上です。

2019年11月10日日曜日

構造壁と意匠壁

何が違うのか

壁・床・柱にはそれぞれ意匠と構造があります。
意匠と構造
意匠壁・床と構造壁・床は、インスタンスプロパティ「構造」のチェックをオン・オフするだけでいつでも変換可能です。
構造プロパティのオンオフのみでいつでも変換可能
構造にチェックを入れると、構造設計のためのプロパティが追加されます。
構造設計用プロパティが追加される

構造同士・意匠同士は結合する

この違いは用途を示すだけではなく、要素同士の包絡(結合)に影響します。柱と壁の関係を考えてみると、意匠壁と意匠柱、構造壁と構造柱は作成した時点で自動的に結合されます。一方、意匠壁と構造柱、構造壁と意匠柱は作成しただけでは結合されません。
構造部材同士は作成時点で結合する
構造要素同士、意匠要素同士は自動結合されます。構造要素には構造フレームも含まれていて、意匠要素とは同じ関係にあります。
構造部材同士は結合する
躯体図や平面詳細図を作成する場合は、やはり構造図に現れている壁や床は構造に✔を入れるとよいでしょう。

手動結合は構造部材が優先

構造と意匠は手動で結合することができます。この場合の結合順位ですが、一般にはホスト要素勝ち、つまり壁や床が一番強く、ロード可能ファミリの構造柱や構造フレームは切りかかれることになります。
構造要素同士ならばシステムファミリ(床・壁)の勝ちですが・・・
ところが、意匠要素と構造要素では構造勝ちになります。
意匠要素より構造要素が強い!
構造フレームと意匠壁も同じ関係です。下の図のように、構造フレーム・構造床と意匠壁を重なった状態で作成します。
意匠壁と構造フレーム、構造床を結合すると・・・
これを結合すると、下の図のように構造部材勝ちで結合します。
構造勝ちで結合
この特性を理解しておけば、詳細図作成時に効率アップにつながります。

2019年11月3日日曜日

ベースプレート

構造接合を使ってみよう

下の図のベースプレートは「構造接合」を使って作成したものです。
構造接合で作成したベースプレート
この構造接合を練習してみましょう。練習ファイルを準備したのでこちらからダウンロードしてご利用ください。
A360(ver2019)
GoogleDrive(ver2019)
練習ファイルはRevit標準添付の建築テンプレートを使っています。また配置されてる鉄骨とRCの柱もRevit標準添付のライブラリを使用しています。

構造接合を追加する~準備しよう!


  1. {3D}ビューを開く。
  2. [鉄骨]タブ>[接合]パネル の右端の↘をクリック。最初は少し時間がかかります。
    ↘をクリック
  3. ベースプレートを選択し[追加]をクリックしてOK。
    ベースプレートを追加してOK

カテゴリを表示~サブカテゴリに注意!

構造接合のサブカテゴリを表示します。
  1. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[表示/グラフィックス]
  2. フィルタリストで建築のみに✔して、構造接合の+をクリックしてサブカテゴリを展開する。
    建築だけだとサブカテゴリの数が限られている。
  3. 次にフィルタリストで「構造」に✔をいれ、構造接合のサブカテゴリすべてに✔を入れる。
サブカテゴリの表示もフィルタリストに左右されることに気を付けてください。

構造接合を配置する

構造接合を配置します。このアクションは普通のRevitと異なり、コマンドの終了のためにENTERを用います。
  1. ビューのプロパティ[詳細レベル]を詳細にする。構造接合は詳細のときのみその形状を表示します。
  2. [鉄骨]タブ>[接合]パネル>[接合]
  3. タイプセレクタからベースプレートを選択。
  4. 右から左へ矩形を描いてドラッグして、鉄骨柱とRC柱を選択しENTER。
    二つの柱を選択してENTER
  5. [修正|構造接合]タブ>[接合]パネル>[パラメータを修正]
    構造接合のパラメータを修正する
  6. ベースプレートレイアウトで、柱の短縮をプレートの厚さに設定。
    ベースプレートレイアウト
  7. ベースプレート寸法で、投影1を100に設定。
    投影1を100に
  8. アンカー平行ウェブで
    • 数:3
    • 中間距離:300
    • 中心からのオフセット:0
    • 中央ボルトを削除:✔
      アンカー平行ウェブ
  9. アンカー平行フランジでも同様に
    • 数:3
    • 中間距離:300
    • 中心からのオフセット:0
    • 中央ボルトを削除:✔
      アンカー平行フランジ
  10. 座金プレートで座金プレート作成に✔
    座金プレート
  11. 右上の✖で閉じる
以上の手順で下の図のようなベースプレートを作成することができます。
完成したベースプレート