2019年7月28日日曜日

MEPことはじめ 空調換気(3)

手動で接続する

前回はレイアウトを作成して、いわば自動でダクトを作成しました。今回はダクトを手動で作成してみます。練習用ファイルはここからダウンロードしてください。
A360 Drive
Google Document

手動でダクトを作成する

便所の排気ダクトを手動で作成してみましょう。

  1. 平面図 2階 機械を開く。
  2. 左側のベントキャップを選択し、マークをクリック。
    吹き出し口のマークをクリック
  3. タイプセレクタで丸型ダクト:T型を選択。
  4. 脱衣のあたりでクリックしてESCでいったん終了。
    脱衣でダクトを止める
  5. 便所の換気扇を選択して、マークをクリック。
    マークをクリック
  6. マウスを右に移動し、一致線が表示されたらクリック。
    一致線が表示されたらクリック。
  7. マウスを下に移動して、ベントキャップ側から引かれたダクトの端点をクリック。
    ベントキャップ側からのダクトの端点をクリック
  8. 3Dビュー>機械で作成されたダクトを確認する。
    ダクトが作成された
  9. システムブラウザを開いて、システムが作成されていることを確認する。

フレキシブルダクト

一般的なダクト以外にフレキシブルダクトを作成することができます。
  1. 浴室の換気扇を選択。
  2. 下側のコネクタを[右クリック]>[フレキシブルダクトを描画]
    右クリックしてフレキシブルダクトを描画
  3. 吸う点クリックし最後は既存のダクトの中心をクリック。
    数点クリックしてダクトへ接続
  4. 3Dビュー>機械で作成されたダクトを確認する。
  5. 接続部のT型エルボを選択。
    接続部を選択
  6. [タイプを編集]>[ロード]で[Metric Library]>[ダクト]>[継手]>[円形]>[T型]>[M_丸型 T 型 - ラテラル.rfa]を選択して開く。
  7. OKで継手を入れ替える。
    継手の入れ替え
  8. システムブラウザを確認する。
    システムが構築された
このように手動でもダクトを作成しても、つないだ途端にシステムが構築されます。

2019年7月21日日曜日

MEPことはじめ 空調換気(2)

システム分類とシステムタイプ

ダクト・配管には「システム分類」と「システムタイプ」という重要な概念があります。詳細はこちらに詳しく書いてありますので、ぜひご一読ください。
Revitでいう「システム」とは「端末と端末の接続」のことを示します。

システムとは端末と端末のつながりのこと

今回は換気扇とベントキャップでシステムを構築します。
練習ファイルをこちらからダウンロードして開いておいてください。(v2019)
A360 Drive
Google Drive

端末の配置

換気扇とベントキャップを配置します。これらはすでに練習用ファイルにロードされています。

  1. [平面図]>[平面図 2階 コーディネーション]を開き、便所を拡大する。
  2. F9を押してシステムブラウザを表示し[システム][機械]を選択
    システムブラウザ
  3. [設備]タブ>[機械]パネル>[機械設備]
  4. タイプセレクタで空調換気_換気_ダクト用換気扇天井埋込形を選択
  5. オフセットの値を2300(便所の天井高)に設定し、便所の左上の隅に配置。
  6. 接続口が右にあることを確認する
    換気扇を配置
  7. 流し台を拡大
  8. [設備]タブ>[機械]パネル>[機械設備]
  9. タイプセレクタで空調換気_換気_ブース型レンジフードファンを選択
  10. オフセットの値を1900に設定
  11. レンジの壁面をマウスオーバーし、スペースバーを何回か押してレンジの上に換気扇が表示されたらクリック。
    レンジに換気扇を配置
  12. 全体を表示
  13. [設備]タブ>[HVVAC]タブ>[制気口]
  14. タイプセレクタで制気口_排気_ベントキャップ_平型:⌀100を選択
  15. [高さ]を2800
  16. [配置]パネル>[垂直面に配置]
  17. バルコニー側の窓の上部に配置。
  18. 同様に制気口_排気_ベントキャップ_平型:⌀150を柱側に配置。
    制気口を配置

システムの作成

  1. 便所の換気扇を選択。
  2. [システムを作成]パネル>[ダクト]
    システムを作成
  3. ダクトシステムを作で、名前を便所、システムエディタ内で開くに✔。
    ダクトシステムを作成
  4. [ダクトシステムを編集]パネルの[システムに追加]がONになっていることを確認して、⌀100のベントキャップを選択
  5. [モード]パネル>[システム編集を終了]
  6. 換気扇と制気口が緑色になっていることを確認。
    換気扇や制気口が緑色になる
  7. 同様にレンジフードの換気扇もレンジフードという名前のシステムにし、⌀150のベントキャップを追加する。
  8. システムブラウザを確認する。
    システムブラウザでシステムが構築されていることを確認する
システムを作成すると、給気、換気、排気でファミリの色が変わります。排気は緑色になります。この設定は自由に変更できます。下の図のようにファミリブラウザでダクトシステムを探してみてください。
ダクトシステムごとの色の設定

ダクト作成

ダクトの作成は手動で行う方法と、経路を自動設定する方法があります。3Dを表示しながらダクトを作成してみましょう。
  1. [3Dビュー]>[機械]を表示
  2. レンジフードを選択
  3. [レイアウト]パネル>[レイアウトを生成]
  4. オプションバーの[設定]ボタンをクリック。
  5. 本管を選択し、オフセットが2800になるということを確認します。自動レイアウトの時に基本となるダクトの高さです。
    本管の設定
  6. 枝管を選択し、同様に内容を確認してOK。
    枝管の設定
  7. オプションバーのパターンタイプをネットワークにしておいて、|>ボタンをおして、配管パターンを変更してみる。
    • 青色が本管、緑色が枝管です。
    • オレンジ色はエラーで、ダクトが納まらないことを示しています。
  8. 2/5のパターンを表示。
    2/5のパターンを表示
  9. [レイアウトの生成]パネル>[レイアウトを終了]でダクトが生成されます。
    ダクトが生成される
  10. 便所の換気扇をクリックし、同様にレイアウトを生成する。
  11. ネットワークの2/5を表示。
    ネットワーク・2/5のパターンを表示
  12. [レイアウトの生成]パネル>[レイアウトを終了]でダクトが生成されます。
    ダクトを生成
いかがでしょうか?ダクトの作成は案外と簡単であることがお分かりいただけたのではないでしょうか?平面図 2階 機械 を表示してください。
平面図
ダクトは単線表示されています。表示モードを[標準]または[詳細]にすると、ダクトが実寸で表示されます。
表示モード[標準]

2019年7月14日日曜日

MEPことはじめ 空調換気(1)

MEPのセオリー

電気の初歩に引き続き、今回からは空調・換気です。Revitでは空調換気も電気と同じく「端末を置いてつなぐ」という作業になります。手順は

  1. 端末(空調・換気機械や制気口)をおく
  2. システムを組む
  3. ダクトを作成

のステップです。端末自体はファミリさえあれば問題ありませんのでモデリングそのものは、意匠構造に比較して容易ですので安心して取り組んでください。
説明を追加
練習ファイルはこちらからダウンロードして開いておいてください。バージョンは2019です。


MEP設定の転送

このチュートリアルの目的は、意匠設計者がMEPの基礎を学ぶことです。本来は設備用のプロジェクトを起こして、建築モデルをリンクするのですが、このチュートリアルでは建築モデルに直接MEPモデルを作成します。
まずはMEPモデルを作成するための各種の設定をする必要があります。機械テンプレートを使ってプロジェクトを作成して、プロジェクト標準を転送しMEP設定を行います。

  1. 練習ファイルを開いておきます。
  2. [ファイル]>[新規作成]>[プロジェクト]で機械テンプレートを選択してOK
    機械テンプレートでプロジェクトを新規作成
  3. 練習ファイルをアクティブにし、[管理]タブ>[設定]パネル>[プロジェクト標準を転送]
  4. コピー元にプロジェクト1(機械テンプレートで作成した新規プロジェクトファイル)を指定して、以下の設定を行う
    • [チェック解除]ですべてのチェックを外す
    • ダクトサイズ、ダクトタイプなどダクト○○すべてに✔を入れる。
    • フレキシブルダクトフレキシブル配管に✔。
    • 配管○○すべてに✔。
    • OK。
  5. 機械テンプレートで新規作成したプロジェクトを保存しないで閉じる。
これでとりあえずダクトと配管を作成する準備ができました。これらの設定をしたからと言ってファイルが重たくなったり、建築関連の設定がおかしくなったりすることはありませんから安心して転送してください。

基本的な設定はこれでOKです。詳細な内容はダクトを作成しながら順次説明します。

機械ビューの準備

制気口や換気扇を配置するための平面ビューを作成します。

  1. [平面図 2階]を右クリックして複製。
  2. 名前を平面図 2階 機械とする。
  3. ビューのプロパティで以下の設定をする。
    • [専門分野]を機械
    • [ビュー範囲]で[上]の設定を上のレベル、[オフセット]を0とする。
      上を上のレベル、オフセットを0にする
  4. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[表示/グラフィックス]で以下の操作をする。
    • フィルタリストで[電気]のみを選択。
    • スペース、一般モデル、線分、詳細項目を除いてすべてチェックを外す。
      電気の設定
    • フィルタリストで[機械][配管]のみを選択。
    • エリア、パーツ、マス、ラスターイメージ、部屋をのぞいてすべてに✔。
      機械と配管
    • OK
  5. 平面図 2階 電気 を表示し、スペースタグをすべて選択してクリップボードにコピーする。
  6. 平面図 2階 機械 を表示し、[修正]タブ>[クリップボード]パネル>[貼り付け▼]>[現在のビューに位置合わせ]
    平面図 2階 機械
  7. [表示]タブ>[作成]パネル>[3Dビュー]
  8. 作成された{3D}の名前を変更して機械とし、[専門分野]を機械とする。
  9. レベルを選択して右クリックし[ビューで非表示]>[カテゴリ]
専門分野を機械
専門分野を機械にしても電気関連ファミリが非表示になるわけではありませんが、こうすることで優先的に機械関連カテゴリの要素を選択することができるようになります。
ビューの設定はこれで完了です。ビュー範囲の上を上のレベル±0にしたのは、切断面より上にあるダクトなどの機械関連のファミリを平面図に表示するためです。
建築関連では断面~上の範囲にあるもので平面図に表示されるのは
  • 一般モデル
  • 造作工事(収納設備)
の3種類でしたが、MEP関連のカテゴリはほとんどが下~上の範囲に入っていれば平面図に表示されます。

さて準備ができたところで、次回からは実際のモデリングに入っていきましょう。

2019年7月7日日曜日

MEPことはじめ 電気(5)

パネル集計表

前回作成した照明の回路を分電盤に接続して、パネルの集計表を作成しましょう。分電盤に限っては特殊な集計表が準備されています。
練習ファイルをここからダウンロードしてください。
A360 Drive
Google Drive

照明回路を分電盤に接続


  1. 平面図 2階 電気を開く
  2. [F9]を押してシステムブラウザを開く。
  3. [未設定]>[電気]>[電力]を展開し、すべての照明を選択。
  4. [修正|照明器具]パネル>[システムを作成]パネル>[電力]
    システムブラウザで照明を選択して、リボンの[電力]をクリック
  5. システムブラウザでL-1の[回路5]を選択して、回路を確認する。
    回路5を選択すると、平面図に回路が表示される

回路番号の修正

システムブラウザに1,2,3,4,5という番号がついていますが、これは回路の番号です。回路番号は接続先の配電盤ごとにつなげた順番に番号がつきます。番号の付け方は分電盤ごとに決定できます。

盤の名前を回路番号に接頭するには

回路番号に分電盤の名前(この場合は「L-1」)を接頭辞として追加することができます。
  1. L-1の分電盤を選択
  2. インスタンスプロパティ「回路名称」でパネル名を選択して[適用]
    回路番号にパネル名「L-1」が接頭された
  3. 回路の[接頭表記セパレータ]に-を設定して[適用]
    回路番号が パネル名-番号 となる

任意の文字を回路番号に接頭するには

  1. [回路名称]を接頭表記済みに、[回路の接頭表記セパレータ]を-に、[回路の接頭表記]をL1にして適用
    任意の接頭辞
  2. [回路名称]を標準にして適用

回路番号の変更

接頭表記はある程度自由になることがわかりましたが、回路番号自体はどのように変更するのでしょうか?回路のインスタンスプロパティでは回路番号がグレーになっており、直接編集することができません。
回路番号は変更できない?
回路番号を変更するためにはパネル集計表を作成します。パネル集計表はパネルに特化した集計表です。
  1. [解析]タブ>[レポート及び集計表]パネル>[パネル集計表]
  2. パネル集計表を作成でL-1にチェックを入れてOK。
    パネル集計表
  3. パネル集計表が表示されます。
    パネル集計表
  4. 任意の回路番号を選択し、[パネル集計表を修正]タブ>[回路]パネル>[上へ移動]または[下へ移動]で回路行を上下に移動し、回路番号が変更されることを確認する。
    回路番号を変更

パネル集計表の編集

パネル集計表はパネルL-1にどのような負荷がかかっているのかを一覧で表示します。
パネル集計表にはテンプレートがあり、これを修正することで表示する内容を変更することができます。
  1. [管理]タブ>[設定]パネル>[パネル集計表テンプレート▼]>[テンプレートを編集]
  2. テンプレートタイプを配電盤を選択しOK
    配電盤?を選択

    (英語版では「SwitchBoard」になっているのでおそらく誤訳で正しくは「分電盤」、また「柱一本」はOne Columnなので「1列」の誤訳です)
    こちらが英語版 柱1本 の正体は・・・
  3. スイッチボードの文字を分電盤に修正
  4. CKTを回路に修正
  5. フレームサイズのヘッダーを選択し、列を削除
  6. テンプレートを終了
    テンプレートを修正
これでパネル集計表が修正されました。そのほかにもいろいろと修正できることがあるのですが、ここでは修正が可能であることだけ理解しておいてください。
パネル集計表は一般的な日本の表記とは異なるかもしれませんが、容易に分電盤の負荷状況を確認することが可能です。
修正後のパネル集計表