梁のふかし
RC梁のふかしのモデリングは、なかなか難問ですが、一つの解として「負荷していないところを削る」という発想でつくることを考えてみます。つまり一つの梁について、
最大のふかし量でモデルを作成して、はみ出した部分を削る
という考えです。まずはライブラリから梁をプロジェクトにロードします。このファミリはインスタンスパラメータで梁の上下左右にふかしを入れることができます。
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インスタンスでふかしを設定可能 |
ただし、このふかしは上下左右全面にふかしがはいるだけで、「部分ふかし」を入れることができません。
作例
たとえば、構造天端-100で部分的に±0までふかす必要があるとします。下の図ではスラブが100さがっているので、構造天端小梁と大梁の構造天端を-100にしています。
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梁の構造天端は下側のスラブの天端に合わせる |
上側のスラブと天端を合わせるため、いったん小梁と大梁の一つの「ふかし上」の値を100とします。すると梁がスラブから飛び出します。
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梁の上端を100ふかして、上部スラブに合わせる |
梁の飛び出した部分を「開口部」で削り取ります。梁の側面で断面図を作成します。
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梁を横から見る断面図を作成 |
- [構造]タブ>[開口部]パネル>[面]
- 梁を選択
- 切り取りたい部分を長方形で囲む
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削り取る部分をスケッチ |
- [モード]>[✔]
- これをすべての梁に繰り返す。
開口部のスケッチは慣れてきたら3Dでも可能です。
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3Dビューで手軽に開口部を作成 |
完成すると下の図のようになります。
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完成 |
この例では上端のふかしを削りましたが、もちろん左右のふかしも削ることができます。
削る方法は開口がもっとも手軽ですが、ほかにもボイドのみのファミリを使う方法もあります。
一体で作成するメリット
なんとなく感覚的には不自然な感じもしますが、梁をふかしを含めて一体で作成すると次のようなメリットがあります。
指定点高さで上端と下端のレベル表示
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基礎伏図 |
この図は基礎伏図ですが、梁の上端と下端のレベルを「指定点高さ」で表示しています。ふかし部分を別のファミリで作成すると、ふかしを含めたレベル情報を取得することができません。
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指定点高さで上端と下端のレベルを取得 |
コンクリートボリュームが算出できる
たとえば下の図のような複雑なふかしが入った梁でも、
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複雑なふかし梁 |
選択すればコンクリートボリュームを算出できます。
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インスタンスプロパティ:容積 |
集計表でふかしを検索
集計表を使えば、ふかしが入っている梁を下の図のようにすぐに検索することができます。
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ふかし付きの梁を検索 |
部分ふかしの作成法はいろいろあると思いますが、ふかしと構造体を一体で作成したい場合には、現時点ではこの方法が簡便であると思います。