2018年5月27日日曜日

窓ファミリ作成チュートリアル(5)~躯体の切り欠き

RC抱き納まり

今回は躯体の切り欠きです。ALC枠の場合は、単純に開口すればいいのですが、RCの場合はだきをつくり、下端には勾配も作る必要があります。平面も断面もなかなか面倒な部分がありますが、頑張って作ってみましょう。今回は開口のみのファミリです。

基本の参照面を作成する

  1. 「窓(メートル単位).rft」のテンプレートでファミリを新規に作成します。
  2. 既存の開口部を選択して削除。
  3. [作成]タブ>[プロパティ]パネル>[ファミリタイプ]で、次のタイプパラメータを追加する。
    • だき見込   長さ 一般 60
    • 枠見付外上  長さ 一般 15
    • 枠見付外左右 長さ 一般 15
    • 躯体逃左右  長さ 一般 55
    • 躯体逃上   長さ 一般 55
    • 躯体逃下   長さ 一般 90
    • 躯体下下り  長さ 一般 20
      パラメータの準備。すべてロックに✔をいれておく。
  4. [平面図]>[参照レベル]で下の図のように参照面を作成して、寸法・ラベルを作成する。
    だき見込寸法は壁の外面の「参照面」から作成する
  5. [立面図]>[右]で下の図のように参照面を作成して、寸法・ラベルを作成する。
    [立面図]>[右]

下端の勾配線を参照線で作成する

開口下端は内から外に向かって下り勾配になっています。斜めのラインをロックするには参照線を使う方法が最も確実です。

  1. [立面図]>[右]で下側を拡大する。
  2. レベル付近で、壁の表面にある参照面「外部」と「内壁」を十分に上に伸ばす。
  3. [作成]タブ>[作業面]パネル>[セット]で「参照面:中心(左/右)」を選択
  4. [作成]タブ>[基準面]パネル>[参照線]
  5. 下の図のように参照線を作成し、その端部と参照面に寸法を作成する。
    参照線を作成し、端部と参照面に寸法を作成
  6. 参照線を選択し、端部をドラッグして、寸法が「0」になる位置へ移動する。
  7. 寸法を選択して鍵アイコンでロックする。これを4つの寸法に繰り返す。
    参照線の端部をドラッグして、寸法値を0とし、寸法のかぎアイコンでロック
  8. 「躯体逃下」「躯体下下り」の値を変更して、参照線が追随することを確認する。
ここの参照面の端部を寸法を使ってロックするテクニックは汎用性が高く、様々な場面で使用できますので、ぜひマスターしてください。

ボイドの作成

作成した参照線と参照面を使ってボイドを作成します。
  1. [作成]タブ>[フォーム]パネル>[ボイドフォーム▼]>[押し出し]
  2. [描画]パネルの[/選択]を選択し、オプションバーの[ロック]を✔して下の図のように参照面と参照線を選択し、[コーナーへトリム]を使って断面形状を整える。
    ボイド作成
  3. [モード]パネル>[✔]
  4. [立面図]>[内壁]でボイドの端部を一番外側の参照面にドラッグ&ロック。
  5. [修正|ボイド押し出し]タブ>[ジオメトリ]パネル>[切り取り]でボイドと壁を選択する。
  6. [立面図]>[右]
  7. 同様に下の図のようにボイドのスケッチを参照面と参照線にロックしながら作成する。
    外側のボイドを作成し、壁を切り取る
  8. [モード]パネル>[✔]
  9. [立面図]>[外部]を開き、外から2番目の参照面にボイドの左右をロック。
  10. [修正|ボイド押し出し]タブ>[ジオメトリ]パネル>[切り取り]でボイドと壁を選択する。
  11. 3Dビューで形状を確認。
    だきの形状を確認する
パラメータの値を変更して、ボイドの形状が期待通りに動くかどうか確認してください。
次回はこの開口に、水切、枠、額縁をインポートして配置します。



2018年5月20日日曜日

窓ファミリ作成チュートリアル(4)~窓の平面表示

表示設定

前回説明したように、窓は天井伏図ではすべての要素が下からの見え掛りで表示されてしまい、一見???な表現となってしまいます。結局のところ額縁膳板も枠と同様にフォーム自体は3Dビューと立面(正面)を除いて非表示とし、マスキング領域を使って平面断面表示を整えたほうが、納得のいく表現となります。
※前回の額縁フォームの作成部分を修正しました。

フォームの設定

  1. 3Dビューを開き、額縁の両サイドのフォームを選択。
  2. [モード]パネル>[表示設定]
  3. 下の図のように[平面図/天井伏図]と[平面図/天井伏図で切り取り時]のチェックを外す。
    たて額縁の表示設定
  4. [平面図]>[参照レベル]
  5. ビューコントロールバーで[プレビューの表示オン]を選択し、額縁のフォームが非表示になることを確認。
    プレビューの表示オン
  6. [注釈]タブ>[詳細]パネル>[マスキング領域]
  7. [サブカテゴリ]パネル>[サブカテゴリ]で「敷居/鴨居[切り取り]」を選択。
  8. 下の図のように参照面にロックしながら枠を左右に描画し、残りを<非表示>の線でスケッチする。左右両側作成してスケッチを終了。
    マスキング領域のスケッチ
  9. 作成したマスキング領域をすべて選択し、プロパティウィンドゥの[表示]の関連付けボタンを押して、[額縁表示]を選択する。
  10. シンボル線分を選択したまま、[表示]パネル>[表示設定]をクリックし、[インスタンスが切断された場合のみ表示に✔を入れる。
    インスタンスが切断された場合のみ表示に✔
これをチェックしておかないと、窓が描画範囲に入った場合はいつでも(例えば配置図などでも)枠の線分だけが表示されることになってしまいます。必ずチェックを入れましょう。

断面表現の調整

断面の表現も整えましょう。膳板は平面図・天井伏図では表示されていてもいいのですが、断面図ではスチール枠らしい表示になるよう設定します。

  1. [立面図]>[左]
  2. 膳板と額縁の上部のフォームを選択。
  3. [表示]パネル>[表示設定]で、「左/右」の✔を外す。上下のフォームは前/後のみがチェックされた状態になる。
    額縁上枠と膳板の設定
  4. 上枠をマスキング領域で作成し、プロパティウィンドゥで表示の関連付けボタンを押して、「額縁表示」に関連付ける。
    額縁
  5. 同様に下枠をマスキング領域で描画し、表示プロパティを「膳板表示」に関連付ける。
    膳板
  6. すべてのシンボル線分を選択し、[表示]パネル>[表示設定]で「インスタンスが切断された場合のみ表示」に✔
    インスタンスが切断された場合のみ表示
  7. 保存します。
ここまでの額縁ファミリはこちらからダウンロードできます。
これで部品はそろいました。次回は躯体の切り欠きです。

2018年5月13日日曜日

窓ファミリ作成チュートリアル(3)~額縁と膳板

天井伏図では下から全部描画

ここまで枠と水切の部品を作成しました。ここで「もし詳細項目を使わずフォームだけで窓を作ったらどうなるのか?」考えてみます。

窓カテゴリは平面図ではフォームをそのまま表示しても大きな問題はないのですが、天井伏図の場合、なぜか「下からすべてを見えかかり」で描画します。
下の絵はマスキングなどの詳細項目を使わずにフォームだけで作成した窓です。
フォームだけで作成した窓
平面図では大きな問題はありません。
腰高800 高さ1500の窓を、 FL+1200で切断した平面

しかし、天井伏図ではちょっと???な表示になります。
同じ窓をFL+1200で切断した天井伏図

なんだか変なこの表示、よく見てみると次のようになっています。

要するにこれは、窓の真ん中あたりで切断しているにもかかわらず、「天井伏図では全てのフォームを下からの見え掛りで描画する」ということになります。ですから障子は枠にかくれて描画されていないのです。

このチュートリアルではこのような窓の描画システムの特徴を踏まえながら、適切な図面表示になるように詳細項目を併用しながら窓を作成します。

額縁・膳板

前置きが長くなりましたが、今回と次回は額縁と膳板の部品を作成します。額縁膳板はほとんど枠と同じですが、額縁がない場合(内部仕上を巻き込む場合など)や、膳板がない(吐き出し窓など)場合などに対応して、表示非表示が切り替えられるようにします。


  1. 新規のファミリを「一般モデル(メートル単位).rft」で作成し、カテゴリを窓に変更する。
  2. [作成]タブ>[プロパティ]パネル>[ファミリタイプ]で次のパラメータを追加する。
    • 長さ(寸法グループ)
      • 奥行(インスタンスパラメータ)
      • 額縁見付
      • 膳板見付
      • 枠見付内上
      • 枠見付内下
      • 枠見付内左右
      • 額縁ちり
    • マテリアル(マテリアルと仕上げグループ)
      • マテリアル 額縁
      • マテリアル 膳板
    • はい/いいえ(グラフィックスグループ)
      • 額縁表示
      • 膳板表示
  3. 平面図>参照レベルで下の図のように参照面と寸法・ラベルを作成する。
    平面図
  4. 立面図>正面で下の図のように参照面と寸法・ラベルを作成する。
    立面図>正面
  5. 額縁(三方枠)のフォームを作成します。額縁は後ほど述べる表示上の問題から、垂直部分と水平部分を分けてフォームを作成します。
  6. [平面図]>[参照レベル]
  7. 下の図のようにスケッチラインを参照面にロックしながら作成し、[モード]パネル>[✔]。
    左側です。右側も同様に作成します。
  8. [立面図]>[正面]で上下のハンドルをドラッグし、膳板の上端と額縁上部の下端を示す参照面にロックする。
    上端の位置
    下端の位置
  9. 作成したフォームを選択し、サブカテゴリを「敷居/鴨居」とする。
  10. プロパティウィンドウの[表示]の関連付けボタンをクリックして[額縁表示]を選択する。
  11. プロパティウィンドウの[マテリアル]の関連付けボタンをクリックし[マテリアル 額縁]を選択する。
  12. [立面図]>[左]
  13. 額縁上部のフォームを作成する。
    額縁上部のフォーム
  14. 正面のビューで左右の端部をロックする。
  15. 表示プロパティを「額縁表示」に関連付ける。
  16. マテリアルを「マテリアル 額縁」に関連付ける。
  17. 同様に下のスケッチを参考に、膳板の部分を作成する。
    膳板のフォームを作成
  18. 正面のビューで左右の端部を参照面にロック。
    膳板の端部をロック
  19. サブカテゴリを「敷居/鴨居」
  20. 表示プロパティを「膳板表示」に関連付ける。
  21. マテリアルプロパティを「マテリアル 膳板」に関連付ける。
  22. 額縁.rfaとして保存する。
次回は詳細項目やシンボル線分を使用して表示・表現を調整します。

2018年5月5日土曜日

窓ファミリ作成チュートリアル(2)~水切

【2018.06.10 改訂
表示の調整(マスキング領域の作成)を削除しました。
フォームの表示グラフィックスの上書きを修正し、平面図で表示するようにしました。
タイプの作成をやめて値の変更のみとしました。

【2018.08.18 改訂
天井伏図での表示を考慮して、以下の点を修正しました。
マスキングの作成を再度行うようにしました。
フォームの表示を再検討しました。
統合した際に表示されるように非表示線で「センサー」を作成しました。

水切

今回は水切を作成します。

参照面

参照面を作成し、寸法をつけ、ラベルを作成します。この手順はもうおなじみですね。
参照レベルより下にサッシの下枠があると想定して参照面を作成します。

  1. 一般モデル(メートル単位).rftを使って新規ファミリ作成を開始。
  2. [プロパティ]パネル>[ファミリカテゴリとパラメータ]で[窓]を選択。
  3. [プロパティ]パネル>[ファミリタイプ]で次のタイプパラメータを追加する。
    • 水切奥行:90
    • 水切出幅:15
    • 水切見付:15
    • 水切高さ:40
    • 水切飲込:30
    • 枠ちり外左右:15
    • 枠見付下:55
  4. [ビュー]>[平面図]>[参照レベル]
  5. 中心(正面/背面)の参照面から下方へ10mmの参照線を新たに作成し、寸法でロックする。(中心(正面/背面)の参照面がサッシ枠の外側の面と一致する。)
  6. 水切の先端を示す参照面を中心(正面/背面)参照面上方に作成。
  7. 水切の幅を示す参照面を下図のように作成し、均等ロックする。
  8. 下の図のように参照面と寸法・パラメータを作成する。
    幅は窓の有効幅。枠があると仮定して考える。
  9. [ビュー]>[立面図]>[正面]
  10. 下の図のように「高さ」パラメータを作成
  11. [ビュー]>[立面図]>[左]
  12. 同様に下の図のように参照面と寸法・ラベルを作成する。
    下枠があると仮定して考える。

フォーム


フォームを作成します。斜めの線が入るので慎重に、確実に参照面にロックしながらスケッチラインを作成します。

  1. [作成]タブ>[フォーム]パネル>[押し出し]
  2. [描画]パネル>[選択(緑の/)]
  3. オプションバーの[ロック]を✔
  4. 左端の垂直の参照面をクリック。
  5. [修正]パネル>[単一要素をトリム/延長]で上下の端部を見付の参照面でトリムする。
  6. [修正]パネル>[位置合わせ]で、スケッチの上端を見付の上の参照面に位置合わせしてロックする。
    確実にロック
  7. 同様に右側のスケッチ線を作成。
    右は下側の先端をロック
  8. [描画]パネル>[線分]で斜めの線を作成
    斜めの線を作成したところ
[描画]パネル>[選択(緑の/)]、オプションバーの[ロック]を✔して、上下の線を作成して、下図のように[修正]パネル>[単一要素をトリム/延長]端を整える。

  1. [修正]パネル>[オフセット]で2mmの平行線を作成して寸法でロックする。
    寸法を参照面から作成し、寸法の鍵マークでロックする
  2. プロパティウィンドウでサブカテゴリを[フレーム/マリオン]とする。
  3. マテリアルの関連付けボタンを押して、[マテリアル 水切]というパラメータを新たに作成する。
  4. [表示/グラフィックスの上書き]で、[前/後」を除くすべての✔を外す。
    表示は前後のみ
  5. [モード]パネル>[編集モードを終了]
  6. [平面図]>[参照レベル]
  7. 左右の端を、もっとも外側の参照面にロックする。
  8. [水切.rfa]として保存。

シンボル線分・マスキング領域

断面をシンボル線分で作成します。
  1. [ビュー]>[立面図]>[左]
  2. フォームをスケッチしたときと同様に、参照面に端部をロックしながら下の図のように断面形状をシングルラインで作成する。
    断面をシンボル線分で作成
  3. 作成したシンボル線分を選択し、[表示]パネル>[表示設定]で「インスタンスが切断された場合のみ表示」に✔。
    インスタンスが切断された場合のみ表示
  4. [ビュー]>[平面図]>[参照レベル]
  5. 下の図のようにマスキング領域を作成。境界線は「フレーム/マリオン(投影線)」とする。
    マスキング領域を作成。
    端部を拡大するとこうなります。
    慎重に作成してください。
  6. 作成したマスキング領域を選択し、[表示]パネル>[表示設定]で「インスタンスが切断された場合のみ表示」に✔。
    マスキング領域も、インスタンスが切断された場合のみ表示する。

非表示線でセンサを作成

水切は平面図の切断線よりも下方にあります。現在フォームは平面/天伏で非表示、マスキング領域もインスタンスが切断された場合のみ表示なので、このままだと平面図上に表示されないことになります。
そこで、平面図の切断面に引っかかるように、非表示のモデル線分をいわば「センサ」として作成しておきます。
  1. [ビュー]>[立面図]>[正面]
  2. [作業面]パネル>[セット]で、作業面が「参照面:中心(正面/背面)」であることを確認する。
  3. [モデル]パネル>[モデル線分]
  4. サブカテゴリを「<非表示>」とし、下の図のように有効開口の端部に線分を作成、端部を確実にロックする。
    「センサ」の作成
  5. 保存する。

振る舞いのチェック

パラメータを変更し、ただしく動くかどうか確かめましょう。
  1. [作成]タブ>[プロパティ]パネル>[ファミリタイプ]
  2. パラメータの値を変更して振る舞いをチェックします。
奥行25,高さ46,見付30,シール10
奥行98,高さ42.1,見付15,シール10

次は額縁を作成します。