2018年4月29日日曜日

窓ファミリ作成チュートリアル(1)

窓をつくる

ファミリ作成チュートリアル第2弾として、窓枠を作ってみます。RC枠、ALC枠、つらいち納まりの枠を作りましょう。窓は複雑なファミリですが、部品に分ければそれぞれはそれほど複雑ではありません。まずは共通部品として

  • 窓枠
  • 水切
  • 額縁

の順に部品を作成してみましょう。

窓枠

枠だけのファミリを作成します。

パラメータの準備

  1. [ファイル]タブ>[新規作成]>[ファミリ]
  2. 「一般モデル(メートル単位).rft」を選択
  3. [作成]タブ>[プロパティ]パネル>[ファミリカテゴリとパラメータ]でファミリカテゴリから「窓」を選択しOK。
    ファミリカテゴリとパラメータ
  4. [作成]タブ>[プロパティ]パネル>[ファミリタイプ]
  5. [新しいタイプパラメータ]ボタンを押して、新たにタイプパラメータを作成し、値を設定し、ロックします。
    • 枠見付上:35
    • 枠見付下:60
    • 枠見付左右:35
    • 枠見込:70
      [新しいパラメータ]ボタン
  6. パラメータの表示順序もわかりやすく並べ替えましょう。
    タイプパラメータを追加し、値を設定してロックする
  7. OK
  8. [管理]タブ>[設定]パネル>[オブジェクトスタイル]
  9. [投影]の太さをすべて 1 とする。
    オブジェクトスタイル
  10. [OK]
  11. 名前を「窓枠.rfa」として任意のフォルダに保存する。

参照面とパラメータの割り当て

参照面を作成して、作成したパラメータを割り当てます。

  1. [平面図]-[参照レベル]ビューを開く。
  2. [作成]タブ>[基準面]パネル>[参照面]
  3. 下の図のように参照面を作成し、寸法を作成する。
    参照面を作成する
  4. 寸法を選択し、[修正|寸法]タブ>[寸法にラベルを付ける]パネル>[ラベル]から下の図のようにラベルを選択する。
    寸法にラベルを追加
  5. [立面図]>[左]ビューを開く(左側が平面図の上になる)
  6. 平面図と同様に、下の図のように参照面を作成し、寸法を作成し、ラベルを作成する。また、有効開口上を示す参照面は作業面として利用するために名前「有効開口上」をつける。
    • 参照面の名前について
      • 参照面に名前をつけると、作業面として利用できるようになります。
      • 識別を容易にするために、作業面として使う見込みがなくても、できるだけ名前を付けておくことをお勧めします。
  7. [ファイル]タブ>[保存]

フォームの作成

参照面を使って枠のフォームを作成します。フォームの形状は「おさまりが検討できる」ことを基本に考えて、枠の外形線を基本に抽象化します。
  1. [平面図]-[参照レベル]ビューを開く。
  2. [作成]タブ>[フォーム]パネル>[押し出し]
  3. [修正 作成 | 押し出し]タブ>[描画]パネルから適切なツールを選択し、下の図のようにスケッチラインを作成して、参照面にロックします。
    スケッチラインを参照面にロックすることが重要です。
  4. プロパティウィンドウで、[サブカテゴリ]を[フレーム/マリオン]
  5. [マテリアル]の関連付けボタンをクリックし、「マテリアル 枠」というタイプパラメータを作成する。
    マテリアルの関連付け
  6. [修正 作成 | 押し出し]タブ>[モード]パネル>[編集モードを終了]
  7. [立面図]-[正面]を表示する。
  8. 作成したフォームを選択し、形状ハンドルをドラッグして、下の図の矢印で指し示した参照面にロックする。
    確実にロックしましょう
  9. [立面図]-[左]を表示する。
  10. [作成]タブ>[フォーム]パネル>[押し出し]で、下の図のように上枠をスケッチし、参照面にロックする。
    上枠
  11. さらに下の図のように下枠をスケッチする。まず、左側に15mmの線を作成し、寸法をつけてロックする。
    寸法でロックする
  12. その後、下と右を作成して参照面にロック。
    下と右を追加して参照面にロックする
  13. [修正]パネル>[位置合わせ]で、右の長い線の先端を、レベルと重なっている参照面にロックする。(①→②の順に選択)
    [位置合わせ]を使ってスケッチラインの端部②を参照面①にロック
  14. 最後に斜めの線を作成する。
    斜めの線が最後
  15. プロパティウィンドウで、[サブカテゴリ]を[フレーム/マリオン]
  16. [マテリアル]の関連付けボタンをクリックし、「マテリアル 枠」というタイプパラメータを選択する。
  17. [修正 作成 | 押し出し]タブ>[モード]パネル>[編集モードを終了]
  18. [立面図]-[正面]を表示する。
  19. 作成したフォームを選択し、形状ハンドルをドラッグして、下の図の矢印で指し示した参照面にロックする。
    形状ハンドルをドラッグして左右の参照面にロック
  20. [ファイル]>[保存]

平面図と立面図での表示

フォームは抽象化されているので、図面表記にふさわしい表示とするために、シンボル線分を利用し、平面図や立面図では一部のフォームを非表示に設定します。
  1. [平面図]-[参照レベル]ビューを開く。
  2. 左右のフォームを選択し、[修正|フレーム/マリオン]タブ>[モード]パネル>[表示設定]
  3. [平面図/天井伏図]と[平面図/天井伏図で切り取り時(カテゴリが許可する場合)]のチェックを外してOK。
    [表示設定]
  4. [注釈]タブ>[詳細]パネル>[マスキング領域]
  5. [サブカテゴリ]パネル>[サブカテゴリ]で「フレーム/マリオン[切り取り]」を選択
  6. 下の図のようにスケッチを作成し、参照面にロックする。一部は寸法を使ってロックする。
    マスキング領域
  7. [サブカテゴリ]パネル>[サブカテゴリ]で「<非表示>」を選択し、残りの部分に線を作成する。
    <非表示>でスケッチ
  8. 右側にも同様にスケッチを作成する。
  9. [モード]パネル>[スケッチを終了]
  10. [モード]パネル>[表示設定]
  11. [インスタンスが切断されたときのみ表示]にチェック(これをチェックしないと、描画範囲に入ったらいつでも切断されていなくても表示されてしまいます。)
    表示設定
  12. [立面図]-[左]を表示する。
  13. 上下枠のフォームを選択し、[モード]パネル>[表示設定]
  14. [前/後]を除くすべてのチェックを外しOK。
    表示するのは前後だけ
  15. 4~9の手順で下の図のように上枠と下枠にマスキング領域を作成する。
    マスキング領域

  16. 作成したマスキング領域を選択し、11と同様表示設定を行う。
  17. [平面図]-[参照レベル]を表示する。
  18. [作成]タブ>[作業面]パネル>[セット]で[レベル:参照レベル]を選択。
  19. [注釈]タブ>[詳細]パネル>[マスキング領域]
  20. [サブカテゴリ]パネル>[サブカテゴリ]で「フレーム/マリオン[投影方法]」を選択。
  21. 下の図のように下枠の見えかかりを作成する。
    スケッチラインは参照面に確実にロックする
  22. プロパティウィンドウで[前景で表示]のチェックを外す。前景で描画の説明はこちらを参考にしてください。
    前景で描画をOFF
  23. 保存する。

◆なぜマスキング領域を作成するのでしょうか?◆

窓カテゴリは平面図の表示がちょっと特別なカテゴリで、切断面よりも上にある要素でも平面図上に表示されしまいます。つまり平面図上に上枠が表示されてしまうのです。
そうなると、上枠と下枠の間にある障子が、上枠に隠れて表示されないことになります。そこで、上枠と下枠のフォームを平面図では非表示とし(手順13~14)、マスキング領域を作成し障子が表示されるようにしてみました。
枠.rfa

テスト

作成した枠をプロジェクトにロードして表示をチェックします。平面図・断面図・立面図・天井伏図で表示を確認してください。最初はFL±0で挿入されるので、オフセットの値を900程度にして、平面図や天井伏図の切断面にかかるようにしてチェックしてください。
平面図
断面図
また、枠見込や幅、高さのタイプパラメータを変更して振る舞いが正しいかどうか確認してください。

次回は水切の作成です。

2018年4月22日日曜日

隠線

人通口

人通口は「梁の穴」ですから、[構造]タブ>[開口部]パネル>[面]を使うことで簡単に作成できます。
穴自体は簡単に作成できます
しかし、いくつかの欠点があります。

  • たくさんの人通口をひとつづつスケッチしながら作成するは面倒
  • ×印を表示するにはいちいち線分を作成しなければならない
  • 個数をカウントできない
  • タグを付けられない。
  • 中心線に寸法が作成できない
などなど。
どうやら、やはり人通口のファミリを作成したほうがよさそうです。

人通口のファミリ

では人通口のファミリを作成してみましょう。穴と記号だけですので簡単ですが、ちょっとだけコツがあります。

  1. [ファイル]タブ>[新規作成]>[ファミリ]
  2. 「一般モデル(メートル単位).rft」を選択し開く。
  3. [管理]タブ>[設定]パネル>[オブジェクトスタイル]
  4. 一般モデルの下に「人通口」というサブカテゴリを作成する。
  5. 平面図に参照面と寸法を下の図のように作成します。梁幅はインスタンスパラメータ、人通口の直径はタイプパラメータとします。
    参照面を寸法で拘束し、パラメータを作成する
  6. 立面図-正面で下の図のように参照面と寸法、パラメータを作成する。人通口なので、円の下端でレベルを決めることができるようにします。
    立面図
  7. [作成]タブ>[ボイドフォーム]>[押し出し]で、円をスケッチします。作成した円を選択し、プロパティウィンドウの[中心マークを表示]を☑します。
    円の中心マークを表示する
  8. [修正]パネル>[位置合わせ]コマンドで円の中心を参照面の交点にロックします。
  9. 半径寸法を作成し、寸法のラベルを「半径」とします。
    円の中心を参照面にロックし、半径寸法を作成、ラベルを「半径」にする
  10. [モード]パネル>[編集を終了✔]
  11. [プロパティ]パネル>[ファミリタイプ]
  12. [半径]の式を「直径/2」とし[OK]
    半径の式は「直径/2」
  13. 平面図の参照レベルを開き、ボイドフォームの上と下を参照面にロックする。
    ボイドを上下の参照面にロック
  14. [注釈]タブ>[詳細]パネル>[シンボル線分]
  15. [サブカテゴリ]パネル>[サブカテゴリ]を「人通口[投影方法]」
  16. [描画]パネルで[選択()]を選択、オプションバーのロックをチェックし周囲の4本の参照面を選択
  17. [修正]パネル>[コーナーへトリム]を使って以下のように矩形を作成。
    外周の矩形を作成
  18. さらに線分を使って×を作成する
    ×を追加
  19. [プロパティ]パネル>[ファミリカテゴリとパラメータ]
  20. [ロード時にボイドで切り取り]を☑し[OK]
    ロード時にボイドで切り取り
  21. [プロパティ]パネル>[ファミリタイプ]で「⌀600」と「⌀550」のタイプを作成。
  22. 「人通口」という名前で保存する。
同様の方法で通水管も作成できます。こちらからダウンロードできますので、試しに使ってみてください。
人通口(2017)
通水管(2017)

隠線って?

ロードして使ってみる

それではプロジェクトにロードして使ってみましょう。
  1. ファミリをロードして、[構築]パネル>[コンポーネント]
  2. タイプセレクタで「人通口:⌀600」を選択
  3. オフセットに「400」
  4. まずはわざと梁から少し外して配置してみます。
図のように、梁で人通口が隠れてしまった場合は、隠線を使って「梁に隠されている人通口」を表示します。
人通口が隠れている
ビューのインスタンスパラメータ[隠線処理]が「すべて」の場合は、すべての隠されている要素が「隠線」で表示されます。
隠線がすべて表示される
この「隠線」は人通口のカテゴリの隠線なので、オブジェクトスタイルやビュー/グラフィックスの上書きでコントロールすることができます。
人通口が所属するカテゴリのサブカテゴリ「隠線」
ビューのインスタンスパラメータ[隠線処理]が「専門分野別」の場合は、ビューのインスタンスパラメータ[専門分野]によって、自動的に隠線の表示非表示が決定されます。
詳細はこちらに記載されています。もちろん、個別に隠線を表示させることができます。
  1. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[隠線を表示]
  2. 梁→人通口の順番でクリック
  3. 人通口の幅を梁に合わせます。
    人通口の隠線を表示

穴をあける

ではこの状態で3Dを確認してみると・・・
ボイドにお相手を教えてあげよう!
穴があいていませんね。人通口のファミリにはボイドがありますので、このボイドに穴をあける相手を教えてあげる必要があります。
  1. [修正]タブ>[ジオメトリ]パネル>[切り取り]
  2. 梁→人通口の順にクリック
    穴が開いた!
このやり方であれば、最初に掲げた問題点をおおむねクリアできます。
人通口

2018年4月15日日曜日

部屋の面積はどこで認識されているのか?

部屋の面積

部屋の面積は大変便利なプロパティです。しかし、部屋の壁が斜めだったら、どこで面積を認識しているのでしょうか?
壁が斜めの部屋の面積は?
ここに部屋を配置して選択すると下の図のようになります。左と下の壁は斜めになっています。
部屋の領域はレベルのインスタンスプロパティ「算定高さ」で決まります。
算定高さ=は面積算定面の高さ
算定高さが0だと床面で面積を測定します。
レベルの算定高さを1000にしてみると、面積が変わります。
算定高さは断面に破線で表示されます。この算定高さが壁と交わる位置で部屋の面積は計測されます。

部屋の面積範囲を印刷できるか?

部屋をクリックすると面積の範囲がわかりますが、この境界線を印刷したいという要望を時々聞きます。ところがRevitの基本機能ではこの認識範囲自体を印刷することはできません。その代替案を考えてみます。

DWG/DXFをリンクする

部屋の認識範囲は、DWG/DXFにポリラインで書き出すことができます。いったんDWGファイルに書き出してそのデータをリンクしておけば、部屋の領域を「線」として表示・印刷することができます。

  1. 平面図を開く
  2. [ファイル]タブ>[書き出し]>[CAD形式]>[DWG]
  3. DWG書き出しダイアログで[...]をクリック。
  4. [レイヤ]タブで[ISO標準13567(ISO13567)]を選択
  5. [一般]タブで[部屋、スペース、エリアをポリラインで書き出し]を☑
    部屋、スペース、エリアをポリラインで書き出しを☑
  6. [OK]
  7. [次へ]
  8. 名前を付けて適切なフォルダへ保存する。
次に、書き出したDWGファイルをビューにリンクします。
  1. 平面図を開く
  2. [挿入]タブ>[リンク]パネル>[CADをリンク]
  3. 上の手順で書き出したDWGファイルを指定
  4. 現在のビューのみを☑、配置を[自動-基準点合わせ]、レイヤ/レベルを[指定]
    レイヤ/レベル[指定]
  5. [開く]
  6. [読み込み/リンクを行うレベル/レイヤを選択]で「A-AREA-BNDY-OTLN」のみをチェックして[OK](この時点では平面図上に何も表示されません)
    選択したレイヤ上の要素だけがロードされる
  7. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[表示/グラフィックス]
  8. [読み込みカテゴリ]タブで、「A-AREA-BNDY-OTLN」に☑
    A-AREA-BNDY-OTLNに☑
  9. 平面図で挿入したDWGファイルを選択する。完全に隠れてしまっている場合は、画面上で右から左にドラッグして交差選択を行い、フィルタを使って選択します。
    交差選択とフィルタで選択
  10. オプションバーで[前景]に指定。
    前景に指定
以上の手順で、画面上に部屋の境界線を表示することができます。
境界線を表示
あくまでも代替案ですが、境界を明快に表示するには便利な方法です