2018年1月28日日曜日

デッキスラブ

デッキスラブの作り方

デッキプレートを使ったスラブを作ってみましょう。例えば、日鐵住金建材のHPにはいろいろな種類のデッキプレートがあります。こちらを例にサンプルを作成してみましょう。まずはデッキプレートのプロファイルを作成します。

プロファイルの作成

作り方

  1. [ファイル]>[新規作成]>[ファミリ]
  2. プロファイル(メートル単位).rfaを選択して開く
  3. [プロファイルの用途]を「スラブデッキプレート」に設定。
    プロファイルの用途
  4. 下の図のように参照線を引き寸法線とパラメータを作成する。
    参照面と寸法
  5. [作成]タブ>[詳細]パネル>[線] で下の図のようにデッキの外形線を作成。
    外形線を作成
  6. [作成]タブ>[プロパティ]>[ファミリタイプ]で以下のようにタイプを作成。
    V50を作成
  7. 倣って、いくつかのタイプを作成してください。
  8. 「pデッキ構造スラブ.rfa」として保存します。
  9. [作成]タブ>[ファミリエディタ]パネル>[プロジェクトにロード]

プロジェクトでの床タイプの作成

以下の手順で床タイプを作成します。
  1. [プロジェクトブラウザ]>[ファミリ]>[床]>[床]で任意の床タイプをダブルクリックして、タイププロパティダイアログボックスを表示させる。
  2. [複製]をクリックし、名前を「デッキスラブV50」としOK。
  3. [構造]の編集ボタンをクリックし、アセンブリを編集ダイアログボックスを表示する。
  4. [レイヤ]の[挿入]ボタンをクリックして、躯体協会の間にレイヤを追加し、機能を「構造デッキ」とする。
    構造デッキレイヤを追加
  5. 構造デッキのレイヤを選択し、ダイアログ下部のコンボボックスから、目的のプロファイルを選択し、[デッキの利用方法]で「レイヤを上に拘束」を選択する。
    構造デッキプロパティを選択
  6. OK

スラブを作成してみる

下の図は、この床タイプを使用して、床をスケッチしているところです。重要なのは[スパン方向]です。デッキプレートの流れ方向は、このスパン方向と平行になります。
スパン方向
このスパン方向は、[修正|床の境界を作成]タブ>[描画]パネル>[スパン方向]を使って変更することができます。
作成した床のスパン方向に垂直な断面図を作成します。標準モードまたは詳細モードにするとデッキの断面が表示されます。
標準モード以上でデッキの断面が表示される

フラットデッキ

フラットデッキも同じような方法で作成できます。まず下の図のようなプロファイルを作成します。
次に床タイプの作成ですが、構造デッキのプロパティで[デッキの利用方法]を「独立したデッキ」に設定します。
独立したデッキ
すると、プロファイルの上側にスラブが作成されます。
フラットデッキ
デッキスラブの作成は意外と簡単なのですが、残念ながらこれは断面図での表示のみであり、その他のビューではデッキを表示することはできません。

2018年1月20日土曜日

集計表で強制改行

{SHIFT}+{ENTER}

集計表ビューではセル内の複数行表示に対応していませんが、集計表をシートに貼り付けたら、複数行表示が可能です。ずいぶん前からある「ワザ」ですが、プロパティの値を編集するとき{SHIFT}+{ENTER}で強制改行することができます。これはちょうどエクセルで{ALT}+{ENTER}でセル内改行が行われるのとよく似ています。(細かいことを言うと、Revitの改行コードとエクセルの改行コードは異なります。)

使い方としては、集計表で文字のプロパティを入力するとき、文字を入力し{SHIFT}+{ENTER}で開業して、第2行目を記入すればいいだけです。
{SHIFT}+{ENTER}で改行可能

テキストエディタを併用する

入力はなんとかできますが、編集はどうすればいいでしょうか?集計表ビューでは先頭行しか表示されないので、そのまま編集することは難しいですね。そこで、テキストエディタとコピーペーストを組み合わせて編集すると、案外と簡単に複数行文字の編集ができます。この場合、メモ帳よりも、「TeraPad」や「サクラエディタ」のような、本格的なテキストエディタを使用することをお勧めします。

新規入力

  1. テキストエディタで普通にENTER(改行)しながら複数行入力。
    ENTERで改行しながら入力(TeraPadの例)
  2. すべて選択し(最後の[EOF]は選択しない)、{CTRL}+{C}でクリップボードにコピー。
    [EOF]を除いてコピー
  3. Revitの集計表で、目的のセルを選択し、{CTRL}+{V}でペーストして{ENTER}。
    シートに配置した集計表

既存の編集

  1. Revitの集計表で、目的のセルをクリック。この時点でセル内の文字がすべて選択されているので、{CTRL}+{C}でクリップボードにコピー。
  2. テキストエディタで{CTRL}+{V}でペースト。
  3. 編集後、新規入力の手順でRevitの集計表のセルに貼り付ける。
テキストエディタは文字編集専用なので、非常に快適に文字を入力することができます。コピーペーストの手間は少々面倒ですが、試す価値はあると思います。

マルチラインテキスト

そもそも複数行の入力が想定されるパラメータならば、パラメータタイプを「マルチラインテキスト」にしておくという手があります。パラメータを追加するとき、パラメータタイプで[マルチテキスト]を選択します。
パラメータタイプでマルチラインテキストを選択する
この場合、集計表ではセルの右端に小さな[…]ボタンが表示されるので、これをクリックすると
マルチラインテキストのフィールドには[…]ボタンが表示される
下の図のような簡単なエディタが表示されるので、こちらも快適に文字の編集ができます。
エディタが開く
ただし、文字のセルのように他の値を選択することはできませんし、集計表上には先頭行のみが表示されます。
シートでは複数行表示されるが、集計表では先頭行のみ表示される

結合フィールドで強制改行

パラメータを結合したフィールドでも強制改行できます。例えば仕上表で仕上と下地のパラメータを2行で表記したい場合などに使えます。ここで重要なのが先述の本格派テキストエディタです。下の図はTeraPadですが、改行したところに(↓)改行マークが表示されています。このマークが重要です。本格派のテキストエディタには、こうしたコードを表示する機能があります。

  1. この↓を選択してクリップボードにコピーしておきます。
    単純に改行してクリップボードにコピー
  2. 結合パラメータを作成するとき、[区切り]のセルに、{CTRL}+{V}で貼り付けます。見た目には何も変化がありません
    区切りにCTRL+Vで貼り付けるが、見た目には変化がない。
  3. これで、複数のパラメータの値を2行で表示することができます。
    複数のパラメータを改行して表示できる
集計表のユーザーインターフェイスは、一つのセルに複数の行を表示することはできませんが、工夫すればシート上での表示は十分に可能です。



2018年1月13日土曜日

/1の効用

単位にうるさい計算式

集計表の計算式は便利なのですが、「単位」について非常に厳格です。ちゃんと筋が通っていないとエラーになります。たとえば、換気計算の式に次のようなものがあります。

必要換気量(㎥/h) = 20(㎥/h・人)×床面積(㎡)÷一人当たりの専有面積(㎡)

この計算式では20は固定値で、一人当たりの専有面積は部屋の用途に応じて一定の値が定められています。(必要換気量の求め方:三菱電機参照
例えば、Excelであれば、数値だけの操作になるので、この計算表を作ることは簡単です。しかしRevitの集計表で作ろうとすると、単位をそろえなければならないので一工夫必要です。

計算式で自動的に単位を補ってくれる場合

(1) 床面積:㎡

これは素直に部屋の面積を使えばいいです。

(2) 一人当たりの専有面積:㎡

新たに単位を面積としてインスタンスパラメータを作成します。こちらの値は部屋の用途に応じて手動でインプットします。

(3) 必要換気量:㎥/h---計算式

必要換気量を求める式を作成します。式の結果としては㎡/hの単位が必要なので専門分野[HVAC]で[風量]を使います。[風量]の単位は㎥/hですからこれがそのまま使えます。

そして式ですが、素直に「20*面積/一人当たりの専有面積」としてOKします。
OKしてもエラーは起きない
何もエラーは起きないはずです。
もう一度編集ボタンをおして式をチェックしてみる。

もう一度計算式フィールドを編集ボタンで見てみると

  • 20 m³/h * 面積 / 一人当たりの専有面積

となっており、定数20の後に自動的に単位「m³/h」が補われています。「面積/一人当たりの専有面積」の部分が「㎡/㎡」で単位がなくなってしまうので、定数部分の20に「㎥/h」が補われているのです。

自動的に単位を補ってくれない場合

必要換気量の計算として以下のような式もあります。

必要換気量(㎥/h)=毎時必要換気回数(回/h)×部屋の容積(㎥)

部屋の容積はRevitからそのままいただくとして、毎時必要換気回数の「回/h」はどうしたものでしょうか?Revitでは「回/h」という単位は扱えないので、「整数」としてパラメータを作成します。整数は無単位です。(少数がある場合は「実数」を使います。)計算式に

  • 毎時必要換気回数*容積

としてOKを押すと、以下のようなエラーが表示されます。
エラーが表示される
式の中に定数があればRevitが不足する単位を補ってくれるのですが、今回は定数がないので、単位を補完することができず、エラーとなってしまいました。

定数 /1

そこで、無理やり式に定数を加えます。毒にも薬にもならない「÷1」つまり「/1」を式に加えます。Revitが/1に適切な単位を加えてくれるはずです。

  • 毎時必要換気回数/1*容積

としてOKを押します。こんどはエラーが表示されません。もう一度編集ボタンをおして式の様子を見てみると
s(秒)が補完されている

  • 毎時必要換気回数 / 1 s * 容積

となって、時間の単位[s]が補充されてます。今回の時間の単位は秒ではなく時間なので、この「s」を「h」に書き換えてOKします。
「s」を「h」に書き換える

  • 毎時必要換気回数 / 1 h * 容積

これで目的の必要換気量を求めることができます。

*1でもOK

毒にも薬にもならないといえば/1以外にも*1(×1)でも値が変化しないという点では同じですよね。試しに、

  • 毎時必要換気回数*容積*1

としてみると計算式は
「Hz」が補完される

  • 毎時必要換気回数 * 容積 * 1 Hz

と「翻訳」されます。Hzは回/秒ですから理にかなってますね。この式に「/3600」を加えて
  • 毎時必要換気回数 * 容積 * 1 Hz / 3600
とすれば、結果は同じになります。
計算式を作成するときに起こりがちな単位に関するエラーですが、「/1」や「*1」を加えることで、Revitが単位を適切に処理してくれます。

2018年1月6日土曜日

増えすぎた断面図

断面線を整理する

Revitのメリットの一つに、様々な断面図をすぐにつくれるということがあります。また正確なモデルを作成するためにも断面を多数作成して検討するのは大切なことですが、平面図に断面線がたくさんできてしまいます。
断面だらけになってしまう・・・
また断面図にもほかの断面図が表示されます。あたりまえですがちょっと困りますよね。
他の断面線が表示される
これを各図面に必要な断面線だけを、効率的に表示する方法を考えてみます。断面図の表示非表示関する条件は、次の3つのプロパティが関係します。

  • ビューで非表示ーカテゴリ・要素・フィルタ
  • 表示限界スケール
  • 専門分野

3つの条件を考慮するのは大変面倒なので、今回はフィルタのみを使って断面図をコントロールする方法をご紹介します。

断面図(ビュー)のタイプをつくろう!

まず、断面図のタイプを作成します。断面図の性格を考えて、例えば次のような断面図タイプを作成します。

  • 断面図   ー平面図にだけ表示する
  • 断面詳細図 ー平面詳細図にだけ表示する
  • 階段詳細図 -階段詳細図にだけ表示する
  • 作業用   -図面として使う平面ビューには表示しない
など、目的に応じた断面図のビュータイプを作成します。
断面図のタイプを作成
作成方法は単純で、任意の断面図を表示し、
  1. 任意の断面図をアクティブにする
  2. 断面図のプロパティウィンドウの[タイプを編集]をクリック。
  3. [複製]ボタンをおして、必要なビュータイプを作成する。
そして、断面図にこれらのビュータイプを割り当てます。
また、断面ビューの[表示限界スケール]は[1:5000]、[専門分野]は[建築]に統一しておきます。

フィルタで非表示にする

次にそれぞれのフィルタを作成します。ここで注意することは目的の断面図以外の断面図を選択するフィルタを作成する、ということです。

フィルタの作成

  1. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[フィルタ]
  2. [規則によるフィルタ]>[新規作成]で[断面図以外]という名前のフィルタを作成
    フィルタを作成
  3. [カテゴリ]から断面図、[フィルタ規則]でフィルタに[ファミリとタイプ]、[等しくない]、[断面図]を選択し[適用]
    フィルタ規則
  4. 同様に他の断面図タイプについても作成する

フィルタの適用

次に平面図ビューにフィルタを適用します。
  1. 平面図ビューをアクティブにする。
  2. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[表示/グラフィックス]
  3. [フィルタ]タブ>[追加]
  4. [断面図以外]を選択して[OK]
    フィルタを追加
  5. [表示]のチェックを外して[OK]
    表示のチェックを外す
これで断面図以外の断面線を非表示にできます。
断面図以外の断面図が非表示になった
断面図や立面図の表示・非表示のシステムは複雑なので、この方法を用いればシンプルに管理することができます。