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2017年11月11日土曜日

クレーンに挑戦!(1)

クレーンのファミリの要件

「クレーンのファミリを作れないか?」というお話をいただきました。条件は

  1. 吊上げフックの先端を目的揚重ポイントにドラッグできる
  2. 定格総荷重のプロパティを表示できる
という、なかなか難しい注文です。プログラム(.net API)を用いれば容易に可能ですが、ファミリだけで作るとなるとなかなか難しそうですね。まずは、骨組みとなる部分
  • ブーム
  • ワイヤ
  • 回転半径
のみをもつ、最も基本的な形状のファミリを作成してみます。
まずはモデル線分だけでクレーンを表現する
プロパティには下の図のように、ブームの長さや作業半径に応じて定格総荷重を表示します。
プロパティウィンドゥに定格総荷重を表示

お願い

私自身はクレーンについてはあまり知識がないのですが、カタログのデータを頼りに作ってみます。専門家の方でもし、気が付いたところがあれば、ぜひコメントを記入してください。一緒に作っていただければ幸いです。

ドラッグで位置決めするには

配置ポイントを回転しながらドラッグして位置を決めれるファミリは
  • 線基準
  • アダプティブ
のどちらかになります。今回は線基準で作ります。

作ってみよう!

サブカテゴリ

では手順を追って作り方を説明します。まずはサブカテゴリを定義します。カテゴリは一般モデルのままでも構いませんが、クレーンの断面が表示されても仕方ないと思うので、今回は常に見え掛が表示されるように「特殊設備」を使ってみます。
  1. ファイル>新規作成>ファミリ
  2. 一般モデル(メートル単位)、線基準面.rftを選択
  3. プロパティタブ>ファミリカテゴリとパラメータ で [特殊設備] を選択しOK。
  4. 管理タブ>設定パネル>オブジェクトスタイルで[新規作成]をクリックして次のサブカテゴリを作成します。
    • クレーン_ブーム:3:黒:実線
    • クレーン_ワイヤ:2:青:1点破線
    • クレーン_回転半径:1:赤:破線
      サブカテゴリの作成ー断面がグレーになっていることに注目してください。
  5. OK
  6. 名前を付けて保存します。(ここではコベルコRK130とします。)

ブーム

クレーンを配置するときは、平面図上でクレーン設置レベルにおいて
  1. ブームの回転基点
  2. ブームの先端
の順番でクリックするはずです。この1-2間の距離が、「長さ(既定値)」パラメータとなります。では、作成を始めましょう。
  1. プロジェクトブラウザで立面図>正面をダブルクリックして開く。
  2. 下の図のように参照面を作成する。①にブーム基準面、②にブーム最高高さ面という名前を付ける。
  3. 参照レベルに重なっている参照面と①の参照面で寸法を作成して選択。
  4. 寸法にラベルを付けるパネル>パラメータを作成 で「ブーム基準高さ」というタイプパラメータを作成する。
    • 接地面とブームの取り付け高さまでの距離は、重機の機種ごとに決まっていると思うので、タイプパラメータとしました。
  5. 同様に①と②の間に寸法を作成し、「ブーム高さ」というインスタンスパラメータを作成。
    正面ビューで参照面とパラメータを作成
  6. プロパティパネル>ファミリタイプ で以下の操作をします。
    1. タイプパラメータ「ブーム長さ」(パラメータタイプ:長さ)を追加する。
    2. インスタンスパラメータ「作業半径」(パラメータタイプ:長さ)を追加し、式を「=長さ」とする。
    3. インスタンスパラメータ「ブーム最高高さ」(パラメータタイプ:長さ)を追加し、式を「=ブーム基準高さ + ブーム高さ」とする。
    4. ブーム高さの式を「=sqrt(ブーム長さ ^ 2 - 作業半径 ^ 2)」とする。
    5. OK

モデルの作成

モデル、といっても今回はまず「骨組み」として、モデル線分を作成するだけですから簡単です。
  1. 作成タブ>モデルパネル>モデル線分
  2. サブカテゴリパネル>クレーン_ブーム
  3. 下の図の①-②とクリック
  4. サブカテゴリパネル>クレーン_ワイヤ
  5. 下の図の②-③とクリック
    モデル線分を作成
これでクレーンのブームとワイヤは完成です。

作業半径

作業半径は立体で作成してみます。
  1. プロジェクトブラウザ>平面図>参照レベル
  2. 作成タブ>フォームパネル>押し出し
  3. 描画パネル>円 で適当に円をかく。
  4. 選択パネル>修正 で作成した円を選択し、プロパティ[中心マークを表示]を✔。
    中心マークを表示
  5. 修正パネル>位置合わせ を使って中心に位置合わせし、ロックする。
    参照面に円の中心を位置合わせしてロック
  6. 選択パネル>修正 で作成した円を選択し、半径を表示した仮寸法のアイコンをクリックして、実寸法とする。
  7. 作成された寸法を選択し、寸法にラベルを付けるパネル で ラベルリストから「作業半径」を選択する。
    半径にラベルをつける
  8. モードパネル>✔(編集モードを終了)
  9. 作成されたフォームを選択し、サブカテゴリをクレーン_回転半径とする。
  10. プロジェクトブラウザ>立面図>正面を表示
  11. 作成されたフォームを選択し、上端をドラッグし、ブーム最高高さ面にロックする。
    上端をドラッグして参照面にロック
  12. フォームを選択し、プロパティ表示の関連付けボタンをクリック。
  13. インスタンスパラメータ「作業半径表示」を作成して関連付ける。
  14. フォームを選択し、プロパティでマテリアルの関連付けボタンをクリック。
  15. タイプパラメータ「マテリアル作業半径」を作成して、関連付ける。
  16. プロパティパネル>ファミリタイプ で 「マテリアル作業半径」の値に、下記のような半透明なマテリアルを作成して割り当てる。

タイプの作成

ブームの長さに応じたタイプを作成します。RK130の場合ブームは
  • 5.3m
  • 9.0m
  • 12.7m
  • 16.4m
  • 20.1m
  • 23.8m
です。
  1. プロパティパネル>ファミリタイプ
  2. ①のボタンを押して、「ブーム5.3m」という名前のタイプを作成し、プロパティブーム長さ(②)を5300とする。
    タイプを作成
  3. 同様に上記の長さでタイプを作成しOK。
  4. 上書き保存する。

使ってみる

これで第一段階は完成です。プロジェクトにロードして動作を確認してみましょう。2点をクリックして配置します。3Dビューで確認してください。
配置したRK130
次に、3Dビューでワイヤの先端をドラッグして、移動します。
タイプを変更してみます。半径を保ったまま、高さが変更されます。
まずまずの動きです。インスタンスプロパティの表示も問題ないようです。
インスタンスプロパティ
ここまでのファミリのファイルはここからダウンロードできます。ぜひいろいろとご意見をいただきたいです。
次回は定格総荷重の表示にトライしてみましょう。