切土と盛土の計算
フェーズを分けて地形を作成すると、直前のフェーズに作成された地形面との差分(切土・盛土)を計算することができます。ヘルプには次のように書かれています。- Revit では、1 つのフェーズのサーフェスと、その後のフェーズの別のサーフェス(前の方のサーフェス内に境界があるもの)を比較することで、値をレポートします。
- たとえば、Revit ではフェーズ 1 で作成した地形面と、フェーズ 1 の地形面の境界内に含まれている、フェーズ 2 で作成した地形面とを比較できます。
さっぱりわからん!と思われる方も多いでしょうが、通訳しますと、
- まずフェーズを作成する。
- フェーズごとに地形を作成する。
- それぞれの地形の境界(外周)は同じにしましょう。
ということです。「整地」コマンドはこの一連の作業を行ってくれますが、「整地」コマンドを使わなくても、上記3か条を守れば、手動でも切土・盛土は計算できます。
フェーズの作成
ここでは、「平たんな土地を4区画に分けて穴を掘る」という想定で切土盛土を計算してみます。まず既存以外に4つのフェーズを作成します。
(1) [管理]-[フェーズ]
(2) [挿入]と[結合]を使って、以下のように複数のフェーズを作成。
フェーズを作成する |
既存地形の作成
既存フェーズに平たんな地形を作成します。ここでは矩形の地形を、絶対高さ0に作成してみます。3Dビューを開き、ビューのプロパティ[フェーズ]を既存にします。
ビューのフェーズを「既存」に |
これで、このビューで作成する要素は「既存」の要素になります。[マス&外構]の[地形面]で以下の図のような矩形の地形を作成します。
既存の地形 |
整地
次に、[マス&外構]-[整地]を選択します。すると次のダイアログボックスが現れます。
整地で現れるダイアログボックス |
さっぱりわからん!・・・・・ここでも通訳が必要です。地形を構成する点群は
- 周囲の点
- 内部の点
に分けられます。周囲の点とは地形の境界(外周)を構成する点で、それ以外を内部の点といいます。この例では、周囲の点しかありませんが、地形(2)で作成したような複雑な地形は多くの内部の点が存在します。
これから、次のフェーズ(この場合は既存フェーズの次なのでフェーズ1)の地形を作成するので、既存フェーズの地形をコピーして変更を加えたい場合は上を、周囲(境界)の点だけをコピーしてまったく新しく始めたい場合は下を選択します。
これは、最初に掲げた3条件の3の項目(それぞれの地形の境界(外周)は同じにしましょう)を守るためです。
それでは上のオプションを選択し、既存の地形を選択します。すると・・・
警告が!! |
なに!傾斜だど!誰が傾斜を付けるといった!わけわからんことをぬかすな!
お怒りはごもっともです。しかし、怒りを鎮めて冷静になりましょう。現在開いているビューのフェーズは最初で設定したように「既存」になっています。ですから、通訳しますと、
ご主人さま、整地コマンドで選択した地形の複製を「既存フェーズ」にコピーしようとしていますがよろしゅうございますか?このままでは同じフェーズに二つの同じ地形ができてしまいます。
と言っているわけです。なるほど、そうか。それはよろしくないな、というわけで、一旦[修正|地形面を編集]で×をクリックして編集を終わります。
そして、ビューのプロパティでフェーズを「フェーズ1」にします。
フェーズを変更 |
そして、改めて[整地]を同じ手順で繰り返します。今度は警告は表示されません。フェーズ1に既存と同じ地形がコピーされ編集画面になりまので、フェーズ1での地形を作成します。
フェーズ1での地形 |
フェーズ1の地形を選択して、プロパティを見てみると、次のように切土と盛土の量が表示されます。
切土盛土 |
集計表で表示する
以下のような地形を作成し、この切土盛土の集計表を作成してみます。
フェーズ1 |
フェーズ2 |
フェーズ3 |
フェーズ4 |
それぞれの地形に名前をつけておきます。地形を選択して、プロパティの「名前」に設定します。
地形に名前をつける |
集計表の設定
[表示]-[集計表]で地形を選びます。
集計表の設定 |
フィールドとして「名前」「切土」「盛土」「正味切土/盛土」を選びます。
名前と切土、盛土、正味切土盛土をフィールドに選択 |
そして、集計表のフェーズフィルタを「なし」として、フェーズによるフィルタリングを除去します。
フェーズフィルタを「なし」 |
これで以下のような集計表が作成されます。
この、表からわかるようにRevitの切土・盛土は直前のフェーズとの比較として計算されます。またヘルプには
Revit で計算される切土と盛土の容積は概算であり、一般的な精度は +/- 1%~ 2% です。
と、書かれています。