2015年2月21日土曜日

階段手すり(5)

階段を作成する

階段手摺ができたので、鉄骨階段に手すりを作成しながら、手すりのそれぞれのプロパティが何を意味するのかをチェックしてみましょう。

階段手すりを作成する方法はいくつかありますが、もっとも単純なのはホストを指定して作成する方法です。

鉄骨階段に手すりを配置する手順

(1) [建築]-[階段]-[ホストに配置]。
(2) タイプセレクタ―で前回作成した鉄骨階段手すりを選択。
(3) [位置]-[側桁]を選んで、階段を選択。
側桁を指定して手すりを配置した状態
でもよく見ると、手すり子が立っている位置がなんだか変です。側桁(ささら)の中心に手すりが配置されています。

手すりが側桁(ささら)のセンターに立っている
この位置を調整してみましょう。

側桁(ささら)の中心に配置される

作成された手すりは側桁の中心に作成されます。位置を調整するにはインスタンスパラメーターで位置を調整します。

調整する手順

(1) 手すりを選択
(2) インスタンスプロパティ「」は最初、側桁(ささら)の厚さ(15mm)の半分(-7:マイナスは方向を示す。+にすると内側)に設定されているます。
初期値は側桁(ささら)の厚さの半分
(3) これを-(ささら厚)-(手すり子の半分)で-15-(50÷2)=-40とします。
オフセットを設定
以上で階段に手すりが配置されました。
手すりの位置が側桁の外側に移動しました。
しかしこの方法では、手すりを作成するたびにプロパティを調整する必要があります。ささらの厚さがプロジェクトで固定されているのであれば、最初から配置する位置をスケッチラインからずらしておくという手もあります。

スケッチラインから手すりと手すり子の位置をオフセットする方法

(1) 手すりを選択
(2) インスタンスパラメーター[踏み板/側桁のオフセット]を-7.5に戻す。
(3) タイプパラメーターダイアログボックスを開く。
(4) [手すり子のオフセット]を-32.5(ささら厚÷2+手すり子幅÷2)に設定しOK
手すり子のオフセットを変更
この設定により「上部手すり」と「手すり子」が移動します。

ただ、中段と下段の手すりの構造が移動していません。そこでもう一度タイププロパティを開き、[手すりの構造(非連続)]をクリックします。
手すりの構造(非連続)の[オフセット]を変更
中段と下段のオフセットを同じ値に設定しすると、スケッチラインからオフセットした手すりとなります。
手すりの位置が移動しました。
これで、ワンクリックで階段に手すりを配置できます。このような設定の手すりは階段専用なので、タイプ名に階段用であることを示す名前を付けておくとよいでしょう。

手すりの始点を修正

まず階段下側の手すり子の位置がささらの端部ではおかしいので、これを100mmほど押し込みます。平面図を開き、手すりのパスを編集し、下の図のように始点の位置を移動します。
スケッチラインの始点をドラッグして移動する。
こうすうると、下の図のように手すり子の位置が変わります。
手すり子の位置が変更されました。
さらに、トップレールだけ形状を変更してみます。手すりを側面から見れるように階段ののぼり方向に断面を作成し、手すりを選択します。

上部手すりのパスを編集する

(1) 上部手すりを選択し、[修正|上部手すり]-[連続した手すり]-[手すりを編集]
(2) [修正|連続する手すりを修正]-[ツール]-[パスを編集]
(3) [描画]で[線分]を選択し、下の図のように手すり端部にパスを追加します。
先端にパスを追加

(4) [✔]を2回おして編集を終了します。
手すりの先端を加工してみました。
次回はは踊り場の手すりの編集について説明します。

お知らせ

3月12日、階段と手すりをテーマにした初心者向けのセミナーを開催します。

http://www.autodesk.co.jp/seminar-event/aec/rug-seminar1

ブログでは説明しきれなかった部分まで、できるだけ詳しい解説をいたしますので、お時間があればご参加ください。

2015年2月15日日曜日

階段手すり(4)

手すりの概念

前回までに

  • 上部手すりのタイプ
  • 手すり子
  • プロファイル

を作成しました。これらを組み合わせて手すりのタイプを作成するのですが、まずはRevitにおける「手すり」の概念を理解するところから始めましょう。下の図を見てください。
支柱つきの手すりの例

Revitの手すりはこのような歴史的な手すりを作ることを主たる目的として設計されています。そういえば文化財に指定されているような洋館ではこうした立派な支柱つきの手すりを見かけますね。Revitのダイアログボックスと要素の関係を見てみるとたて部材については下図に示します。
主パターンと手すり柱の関係

手すり柱はどこに発生するのか?

Revitの手すりは、手すり柱の間に主パターンで指定ルールに従って手すり子が作成されます。では手すり柱はどこに発生するのでしょうか?それはスケッチ線(マゼンタの線のことです)の各セグメントの端部に作成されます。たとえばこの手すりのスケッチラインは、三つに分かれています。
セグメントが三つに分割されている
スケッチラインの始点には手すり柱の1:始点側の柱、終点には3:終点側の柱、中間の2点には2:コーナー柱が作成されます。
曲がっていなくてもコーナー柱

曲がっていなくても、セグメントが切断されていればそれはコーナーと認識されます。つまり、支柱を任意の位置にたてたければ、支柱の位置でスケッチラインを切断すればいいのです。
では、この知識をもって、今日一般的な「支柱のない」手すりを計画してみましょう。

階段手すり

手すりの作り方

(1) プロジェクトブラウザ-[ファミリ]-[手すり]で任意のノードを右クリックして複製し、名前をFB50x9に変更します。
(2) ダブルクリックしてタイプパラメーターダイアログボックスを開く。
(3) [上部手すり]の高さを900、タイプをFB50x9に設定
上部手すりの設定
(4) 手すりの構造(非連続)の編集ボタンをクリック
(5) 中桟2本を下図のように追加しOK。これは水平部材を意味しています。
水平部材の設定
(6) 手すり子の位置の編集ボタンをクリック
(7) 主パターンの2行目に

  • 手すり子ファミリ:角型手すり子:50x9
  • 下部:ホスト
  • 下部のオフセット:-200
  • 上部:上部手すり
  • 以前の値からの距離:750
  • パターンを中断:各セグメントの端
  • 位置合わせ:フィットするように拡げる
  • 踏み板ごとに手すり子を配置のチェックボックス:OFF

とします。
主パターンの設定

(8) 手すり柱を次の図のように設定します。コーナー柱は「なし」にします。
手すり柱の設定(コーナー柱はなし)

(9) OKで前のダイアログに戻り、残りを下図のように設定します。
なぞの用語が複数ありますが・・・・
以上でタイプパラメーターの設定は終わりです。ここで謎の用語について説明しておきます。

接するように結合/角度をつけて結合

百聞は一見に如かず、ということで下図をみれば一目瞭然です。
角度をつけて・接するように接合
接するように接合は、平面図上同一直線上にあるとき、接するように接合は平面図上で0度より大きな角度で曲がっている場合の接合方法を指定します。

さて次回はこの手すりタイプを使って階段手すりを作成します。

2015年2月8日日曜日

階段手すり(3)

金属手すり

今度は「手すり」と「手すり子」で構成される一般的な金属手すりを作成してみます。

材料

  • 上部手すり
  • 手すり1
  • 手すり2
  • たて部材
  • よこ部材
こんな手すりを作ってみます。

一つ一つの材料を順番に作成します。

上部手すり

材料

  • プロファイル(手すりの断面形状)
  • 終端(手すりの始点と終点に付加するファミリ)

プロファイルの作り方

(1) プロファイル - 手すり(メートル単位).rft を使って新規ファミリを開始する。
(2) [作成]-[詳細]-[線分]で下の図のように矩形を作成し、寸法にパラメーターをつける。
フラットバーを想定した断面

(3) [作成]-[プロパティ]-[ファミリタイプ]を開き、幅50mm、見付9mmのタイプを作成し名前を50x9とする。

(4) 名前を付けて保存する。(ここでは「角型手すり.rfa」)
手すりの断面(フラットバー50mmx9mmを想定)を作成しました。パラメーターを付けることで、様々な形状の断面に対応できます。また矩形に限らず、いろいろな断面形状の手すりを作成可能です。

上部手すりタイプの作り方

(1) 建築テンプレートを利用してプロジェクトを新規作成し、作成したプロファイルをロードしておきます。
(2) [プロジェクトブラウザ]-[ファミリ]-[手すり]-[上部手すりのタイプ]を展開し、任意のノードを右クリックして複製、名前をFB50x9とします。

(3) ダブルクリックしてタイプパラメーターダイアログボックスを開く。
(4) プロファイルに「角型手すり:50x9」を、ハンドのすきまを幅の半分の-25に設定します。
上部手すりのタイププロパティ
これで上部手すりのタイプができました。なぜハンドのすきまを-25にするかは後ほど説明します。すきまはgap、移動はtransitionの誤訳ではないでしょうか?

手すり子(たて部材)

手すり子の作り方

(1) [新規作成]-[ファミリ]で「手すり子(メートル単位).rft」を指定
(2) [平面図]-[参照レベル]を開いて、下の図のように参照線を作成し、パラメーターを作成します。
参照面を作成し、パラメーターを付加する

(3) [立面図]-[左]を開きます。これが階段手すりを横から見た時の形状を示しています。
(4) [作成]-[フォーム]-[押し出し]で、作業面に「参照面 中心(右/左)」を指定します。
作業面を指定

(5) [描画]-[選択(緑の線のアイコン)]を選び、オプションバーでロックにチェックをいれて、下の図のようにスケッチラインを作成します。
参照面にロックしながらスケッチする

(6) [モード]で[編集モードを終了(緑色の✔)]をクリックし、平面-[参照レベル]を開く。
(7) [修正]-[位置合わせ]を使って、左右の参照線に、フォームの左右端部をロックする。
左右端部をロックする

(8) フォームを選択し、プロパティの[マテリアル]の横にある小さなボタンをクリックし、マテリアルに[マテリアル]という名前のパラメーターを追加する。
マテリアルを後から変更できるようにパラメーターを付加する
(9) [プロパティ]-[ファミリタイプ]をクリックし、50x9という下図に示すタイプを作成します。
ファミリタイプの作成

(10) 角型手すり子.rfaという名前を付けて保存します。

以上で材料はそろいました。次回はこれらを組み合わせて手すりを作成します。

2015年2月1日日曜日

階段手すり(2)

壁柱

階段の中央に壁柱を作成します。壁柱というぐらいですから、壁で作成します。まず壁のタイプを作成し、壁のプロファイルを編集します。
Step by Step
(1) プロジェクトブラウザで[ファミリ]-[壁]を展開し、任意の壁を複製し名前を変更。
(2) 図を参考に、壁のレイヤを設定します。
壁のレイヤを編集
(3) 平面図で必要な範囲に壁を作成。
壁を作成
(4) 立面図または断面図で壁を選択し、[修正]-[モード]-[プロファイルを編集]で柱壁の外形を適切な形状に変更します。
プロファイルを編集
これで下図のようなRC外部階段が出来上がります。
出来上がったRC階段

手すり壁は手すりではない!?

前回作成したRC手すりは簡単に作成できる点ではいいのですが、寸法を詳しく見てみると問題があります。手すりの高さは1280mmとしていたので、踊り場部分はいいのですが、階段経路の部分に問題を生じます。
階段経路の下端が段裏からはみ出している
階段経路部分の手すりの高さを1100mmと指定したため、段裏から手すりがすこし余分にはみ出しています。手すりという要素は、手すり子でハンドルを支えるという構造のために設計されているので、本来、壁式手すりには適用できません。正確に壁手すりを作成するには上記のように壁のプロファイルを編集して作成することになります。
手すり壁を壁で作成した場合
見た目はそれほど変わらないので、詳細にモデリングするまでは、手すりで作成しておいてもかまわないかもしれません。
壁で作成しても見た目は大きく変わらない

トップレールを組み込む

RC手すり壁上部に34φ程度のトップレールを組み込んでみましょう。手すりを使うとこういう時に便利です。まず上部手すりとして、円形のプロファイルを使ったタイプを作成します。
Step By Step
(1) 下図のようなプロファイルを作成し、プロジェクトにロードします。
トップレール用の半径17mmの円のプロファイル

(2) プロジェクトブラウザで[ファミリ]-[手すり]-[上部手すり]で任意のノードを複製、ダブルクリックしてタイプパラメーターダイアログボックスを開きます。
(3) 下の図を参考に設定します。
[ハンドの隙間]には半径をセットする
(4) 前回同様、1180x130mmの矩形のプロファイルを作成し、プロジェクトにロード。
(5) プロジェクトブラウザで[ファミリ]--[手すり]-[手すりタイプ]で任意のノードを複製、ダブルクリックしてタイプパラメーターダイアログボックスを開く。
(6) 下の図を参考に設定します。
手すりタイプの設定
(7) プロジェクトブラウザで[ファミリ]-[手すり]-[手すり]で任意のノードを複製、ダブルクリックしてタイプパラメーターダイアログボックスを開く。
(8) 下の図を参考に設定します。注意することは、(1)-(3)で作成した上部手すりのタイプを[上部手すり]のタイプに、(4)-(6)で作成した手すりタイプを[手すり1]のタイプに設定することです。
手すりの設定
この手すりを使って作成した階段を下の図に示します。
トップレールつきの手すり壁
手すりを使えばこのような手すりも容易に作成できるので、場合によって壁と手すりを使い分けれるとよいでしょう。