2013年7月27日土曜日

断面図(2)~天井についての考察

標準天井と複合天井、どちらを使うべきか?

天井には標準天井複合天井の二種類のタイプがあることはご存知だと思いますが、いつもどちらを使われているでしょうか。

標準天井は薄皮天井と言い換えることもでき、断面は一本線で表現されます。一方、複合天井は壁や床と同じく、層構造が構成でき、断面は厚みをもって表現されます。

天井を単線で表示したい場合、標準天井を選択するかもしれませんが、ちょっとした落とし穴がありますので注意が必要です。

標準天井は切っても切れない!?


天井断面を単線で表現したい場合、標準天井は一見便利そうに見えますが、これまた「標準天井は常に見え掛り」なのです。次の図は建築テンプレートを使用して作成した、複合天井(左)と標準天井(右)の断面図です。標準天井は単線で表示されていますが、細い線で表示されています。
複合天井(左)と標準天井(右)
オブジェクトスタイルを見ると、天井の断面は「3」となっています。
天井の「切り取り」=断面線の太さは「3」なのに・・・
ためしに「表示/グラフィックスの上書き」で、「投影/サーフェス」の色を変更してみましょう。
天井の「投影/サーフェス」=見え掛り線を赤色にすると・・
図のように、標準天井は色が変わりますが、複合天井は色が変わりません。
標準天井はいつでも見え掛り

標準天井と複合天井は混在させると図面表現にばらつきが出て面倒なので、どちらか一方を使うようにするとよいでしょう。

標準天井のもうひとつの落とし穴


これは断面図の話ではないのですが、標準天井と複合天井ではパースの見た目も変わってきます。次の二つの絵を天井に注目して見比べてみてください。天井のマテリアルも、グラフィック表示オプションの設定も同じです。
複合天井
標準天井
どちらも「周囲光シャドウ」を表示しているのですが、標準天井には黒い影のようなもやもやが見えます。標準天井は「面」であり、厚みがないので、裏側も同時に表示されるためこのような表示になってしまうのです。

天井のタイプは、やはり実際の建築をより正確に表現できる複合天井を使うほうがよいのではないでしょうか。

2013年7月20日土曜日

断面図(1)

正確なモデリングが最も重要

断面は断面線を作成し、適切な深度を設定することで描画されます。大変便利な機能ですが、この断面を「断面」にするためには、慎重なモデリングと適切な設定が不可欠です。
正確なモデリングが美しい断面図をつくるポイント
キレイな断面図を作成するために最も重要なのは正確なモデリングです。断面がキタナイのはモデリングが適切でない、つまり「納まっていない」からであり、Revitのせいではありません。次に示す項目を重点的にチェックすれば、断面図の見栄えはかなり改善されます。

  1. モデルの高さや位置などの形状の正確さ
  2. マテリアルと簡略塗り潰しパターン、部材の結合

これから数回にわたり、断面図について解説します。まず全般的なことを説明し、その後、「梁型」「垂れ壁」「カーテンボックス」「掘り込み天井」「地形」などのモデリングについても説明していく予定です。

壁の高さを正確に

まず注意してもらいたいのは壁の高さです。壁は一般にスラブ下、梁下、または天井下などできちんと止まっている必要があります。基本的には実際の壁と同じ高さ(軽量鉄骨壁ならばLGSの高さ)でモデリングするとよいでしょう。一般に壁を作成する際、レベル間で作成するため、多くのモデルでは壁の上部と床スラブが干渉しています。
床と壁が干渉している
この状態を解消するには、壁の上端を下げるか、上部の床にアタッチするかです。後者は床を作成・または編集する際に便利な手段があります。

床下に壁を抑え込む

床は普通は外壁の内側で作成します。デザインによっては小口を見せたい場合もあるでしょうから、これも実際の存在範囲で作成します。ところで床を作成したとき、次のようなダイアログを見たことはありませんか?

これは、床を作成した範囲にある壁の上端を、床下にアタッチするかどうかを聞いてているのです。床の編集を終了するときに下のレベルの平面図をアクティブにしておけば、どの壁がアタッチされようとしているのかすぐにわかります。
アタッチ候補の壁が表示される
特にこだわりがない限りは「はい」を選択し、壁の上端を床下にアタッチしましょう。するとさらに
さらに警告が表示される。いったい何がいいたいのか?
という警告が表示されます。突然警告がでるとびっくりしますよね。このときあわてて「キャンセル」を押さないようにしましょう。このダイアログの正しい対処は
「ターゲットをアタッチ解除」
を押すことです。この警告の内容は、床の境界と壁の上端が辺で接触しているだけで、完全に床下に入っていませんよ、どうしますか?」ということです。ためしに、このままOKすると次の図のように外壁と床との取り合いがおかしくなります。
完全に床下に入っていない壁

完全に床下に入っていない壁がありますが、このまま続けちゃっていいでしょうか?という警告だったというわけで、なかなか気が利いた警告なんです。

図面ではなくモデルを見る!

断面図を見て「おかしいな」とか「この線は何?」と思ったら、とにかく3Dビューでモデルを確認しましょう。

モデルが美しければ断面も美しい

ということを忘れないでください。
[表示]パネル-[作成]-[3Dビュー]でモデルを表示したら、ビューキューブを右クリックして、[ビューの向きに]-[断面図]-[(目的の断面ビュー名)]を選択します。
必ず3Dでモデルの状況を確認する
RevitはBIMですから常に3Dで考え、3Dで理解するように心がけてください。

2013年7月13日土曜日

平面図の描画システム(6)

ビューの奥行きとは何か?

ビュー範囲の一番下に「ビューの奥行」という項目があります。ビューの奥行とは、メイン範囲を超えて、さらに下のほうまで描画したい場合に指定します。たとえば
ビュー範囲
という設定を断面図で表すと下の図のようになります。

このオレンジ色で示した部分が「ビューの奥行」です。
ここで疑問なのは

「だったらメイン範囲の下を設計GLに設定すればいいじゃないか」

ということです。メイン範囲の「上」同様、ナゾの範囲です。しかし、メイン範囲とビューの奥行には明確な違いがあります。

なんでも<背景>

メイン範囲の要素はオブジェクトスタイルで設定した線種や線の太さ、塗り潰しパターンを基準にし、さらにビューや要素でさまざまな上書きがされて平面図として描画されます。ところが、ビューの奥行まで(上図のオレンジ色の範囲)に存在する要素は、常に<背景>という線種で描画されます。線種<背景>を確認してみましょう。[管理タブ]-[その他の設定]-[線種]で線種ダイアログボックスを開きます。
<背景>の設定に注目
この設定で平面図をみるとこのようになります。
1階平面図に外構が青色で表示される

1FL~設計GLの範囲の要素の見え掛りがすべて<背景>の線種、青の実線で表示されています。

<背景>線種を上書きしてみる

ビューの奥行の仕組みを理解すれば、2階の平面図に外構の様子を表示するなど、様々な表現が可能です。
また、ビューごとに<背景>の線種を上書きすれば、ビューごとに様々な表現が可能になります。[表示]タブ-[グラフィック]パネル-[表示/グラフィックス]を選択し、[モデルカテゴリ]タブの[線分]を展開し、<背景>を上書きします。
線分<背景>を上書きする。
すると設定したビューのみが次のようになります。
背景の表現をビューごとに上書きできる。
「ビューの奥行」を活用すれば、複数のレベルにある要素を一つのビューに様々な表現で表示することが可能になります。




2013年7月6日土曜日

平面図の描画システム(5)

切断できないカテゴリ

メイン範囲にある要素は、基本的にはオブジェクトスタイルで設定したとおりに切断面と見え掛りが描画されますが、さらに表示グラフィックスの上書き、フィルタ、要素の上書きなどさまざまに上書きされて描画されます。
オブジェクトスタイルをみてみると、「切り取り」がグレーになっているカテゴリがいくつか存在することに気が付くと思います。
切り取り(断面)がグレーになっているカテゴリが存在する
例えば、「家具」のカテゴリです。家具は「切っても切れないカテゴリ」なのです。断面にしても、平面図にしても、断面が要素を横断していても、常に「投影」が表示されます。例えば、高さ800mmのテーブルを配置してみます。ビューの断面がFL+1500の場合は次のようになります。
断面がFL+1500の場合
ところが、ビューの断面をテーブルの天板より下のFL+500に設定しても
断面がFL+500の場合
窓の描画には変化がありましたが、テーブルは相変わらず上からの投影が表示されています。このように、特定のカテゴリの要素は、平面図や断面図などで切断線が要素を「チップ」しるだけで、要素全体の見え掛り(平面・立面ともに)が表示され、断面は存在しません。考えてみれば、家具や衛生陶器など、切断面が表示されても図面としてはあまり意味がないので、これまた納得のいく例外といえるでしょう。

壁にも意外な盲点が・・・

もうひとつ注意しなければならない「盲点」があります。下の図を見てください。包絡されていない壁が存在します。その上、この壁は線が細く、断面ではなく見え掛りが表示されています。このビューの切断面はFL+1500です。
壁が細線(見え掛り)で描画されている
これを断面で見てみると、壁の高さが2000mmあり、ビューの断面(FL+1500)よりも高くなっているので、他の壁と同様に断面が描画されていもよさそうなものです。
ビューの断面はFL+1500だが・・・・
以前簡略モードの構造フレームは常に投影(見え掛り)になる、という例外をご紹介しましたが、壁にも「切っても切れない壁」、「切断されていても必ず投影(見え掛り)で表示される壁」が存在します。

「指定」の壁に注意!

この壁は高さを「指定」している壁です。
上部の拘束を「指定」にしている壁は要注意!

上部の拘束を「指定」にし、高さ指定を2000mmまでにした壁は常に見え掛りで描画されます。これを解消するには高さを2000mmより高くするか、あるいは上部の拘束を下部の拘束と同じレベルにし、上部レベルからのオフセットを2000とすれば
上部レベルからのオフセットを2000とすると
次の図のように断面が表示されます。
「指定」でなければ、断面が描画される
高さを「指定」した場合、2000mm以下なら見え掛りになり、他の壁や柱と包絡しなくなりますので注意が必要です。

描画システムの例外をきちんと把握しておけば、ラインワークに頼ることなく、美しい図面を作成することが容易に可能になるのです。