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2013年6月23日日曜日

平面図の描画システム(4)

床は例外である

前回申し上げた通り、バルコニーの床は、FL-200にあるので、メイン範囲には含まれません。
バルコニーの床はメイン範囲外
バルコニーの床どころか、普通の床もFL±0なので、実はメイン範囲には含まれない、つまり描画されるはずのない要素なのです。ところが、床というのはメイン範囲の中になくても、ある程度の範囲内であれば描画されるという「例外カテゴリ」なのです。
床はメイン範囲外でも描画される
考えてみれば、-200程度の段差スラブなど、メイン範囲を外れていても描画されなければ、平面図としてはおかしくなりますから、これはもっともな「例外」といえるでしょう。

どこまで描画されるか?

それではいったいどのくらい下まで描画されるかというと、FL-4フィート(304.8×4=1219.2mm)まで表示され、それ以下になると表示されません。
たとえば、この床はFL-1219なので平面図に描画されます。
メイン範囲-1219までは平面図に表示される
ところが、こちらの例では床がFL-1220なので描画されていません。

メイン範囲-1220からは平面図に表示されない
この床(FL-1219)をホストとして家具を置いてみます。
バルコニー床をホストとして家具を配置してみる
そうすると次の絵のようにやはり表示されます。
バルコニー床がメイン範囲の下-200の場合

しかし、家具自体がメイン範囲を外れると描画されません。注意していないと・・・
テーブルだけがいない
これはテーブルだけがメイン範囲を外れ、椅子がメイン範囲の中に引っかかっているためにおこります。仕組みをよく理解していないと「なんでテーブルだけ表示されないんだー????」ってパニックになるかもしれません。
テーブルだけがメイン範囲の外になっている
余談ですが、コンポーネントのホストをレベルにするか、床にするかでアンダーレイの表示にも影響が出ます。これはまた、いつかの機会にお話しします。

ほかにも例外がある

このような例外には次のカテゴリがあります。

  • 階段
  • スロープ
階段は下まで描画される
階段やスロープは到達レベルがメイン範囲に入っている場合、屋根同様、全体が描画されます。

次は「切っても切れない壁」がテーマです。

2013年6月15日土曜日

平面図の描画システム(3)

ちょっとでも引っかかっていれば描画

前回の最後で、FLより低い庇がなぜ表示されるのか?という話をしたのですが、実はこの庇、屋根カテゴリなのですが、頂上部がわずかにFLより上にあり、メイン範囲に「チップ」しているのです。
メイン範囲に庇の頂部がわずかにかかっていると・・・
平面図に表示される

この屋根の頂部をFL±0ぴったりにした場合、庇は表示されなくなります。
庇頂部をFL±0にすると

庇はメイン範囲外になり表示されない
壁をFL~FLで作成してしまい、上のレベルの床に壁が「めり込んで」しまうことはよくありますが、このような場合でも、上の階の平面図には、下の階の壁は表示されません。
青でかこんだ壁は上部が2FL±0だが、2FLの平面図には表示されていない

平面図の描画対象となる要素は、メイン範囲の中に要素の一部が入っていなければなりません。

メイン範囲の要素

メイン範囲の要素を簡単に把握する方法があります。3Dビュー(アイソメ)を開き、ビューキューブを右クリックし、[ビューの向きに]-[平面図]-[2FL(目的の平面図ビュー名)]と選択すると、
3Dビューが断面BOXで切断されます。これは「メイン範囲」を示しています。
メイン範囲に断面BOXが設定される
しかしながらこれは「目安」でしかありません。庇は頂部のみがメイン範囲に入っていますが、実際にはすべてが描画されますから、描画される要素がすべて表示されているわけではないので注意が必要です。
庇はすべてが描画されるので、表示対象はこんな感じ?
しかしこのビューをよく見てください。バルコニーの床がありません。メイン範囲に「チップ」すらしていないのですが、平面図には表示されています。
右端のバルコニー(手すりは非表示にしています)床が表示されている

包絡に引き続き、ビューの描画システムにも「例外」が存在します。次回はこれらの例外についてのお話です。

2013年6月8日土曜日

平面図の描画システム(2)

「断面」から「上」の間も描画される!?

メイン範囲に存在する要素は、Revitが平面図として切断・投影する対象となります。つまりこのメイン範囲に存在する要素を「断面」の位置で切断した切り口と、「断面」から「下」までに存在する要素の見え掛りを平面図として表示します。
ここで問題となるのは「断面」と「上」の間に存在する要素には何の意味があるのか?ということですが、実は限られたカテゴリの要素は断面より上でも描画されるのです。限られたカテゴリとは

  • 一般モデル
  • 収納設備

の3つのカテゴリです。これらのカテゴリに属する要素は断面の上にあるにもかかわらず、見下げの平面図に投影されるのです。その上、描画できるのみならず選択することもできるのです。

例えば下の図のように断面(FL+1500)より上にある窓でも、
切断面より上にある窓
ちゃんと表示されます。

この平面図のビュー範囲は下の図のようになっています。
これを断面図で表すとこうなります。
このように、断面より上にある要素でもカテゴリによっては表示されるものがあるのです。

吊戸棚を点線表示する

ということは、吊戸棚を「収納設備」カテゴリで作成すれば、断面より上にあっても平面図に点線表示させることができるはずです。ファミリエディタで下の図のような吊戸棚を作成してみました。

これをプロジェクトにロードし天井に配置します。

平面図のビュー範囲を、「下」を関連したレベル 0、「断面」を関連したレベル1500、「上」を上のレベル±0に設定すると、次の図になります。
 さらに吊戸棚を選択し、ビューのグラフィックスを上書き-[要素]で投影線に点線を設定すれば、完成です。

このように、断面線から上でも表示したり選択したりできるのです。選択できるということは、当然タグを作成することもできます。
メイン範囲の働きを理解することで、平面図の表現の幅が広がります。
ところで、今回の画像の中で「?」と感じた方もいるのではないかと思います。最後の平面図にはなぜ、メイン範囲の「下」にある庇が表示されているのでしょう?また、バルコニー床はFL-100なのですが、平面図に表示されています。これは一体なぜ?

2013年6月1日土曜日

平面図の描画システム(1)

平面図はどのように描画されるのか?

一般に平面図は建物を「目線(FL+1500ぐらい)で切って下を見た図」と解釈されます。Revitの場合も基本的には同じなのですが、包絡と同じように様々な例外が潜んでいます。Revitが平面図をどのように描画するのかを知ることは、美しい図面の作成にとって、包絡のメカニズムを理解することと同様に重要です。

Revitの平面図の描画システムはそんなに単純ではない

モデルを断面BOXを使ってFL+1500の位置でカットしてみましょう。
FL+1500で切って下を見下げたのが平面図?
一般的にはこの「切り口(切断面)」と「見えかかり」を描画すれば、平面図になると考えられます。
切断面と見え掛りで平面図ができる?
ところが、平面図はこの3Dビューとまったく等しいわけではありません。平面図を平面図らしく見せるために様々な工夫が施されています。

ビュー範囲とは?

平面図ビューのプロパティに「ビュー範囲」という重要なプロパティがあります。ビュー範囲は文字通りビューに描画される要素の範囲を指定するものです。
平面図描画においてビュー範囲は最も重要なプロパティ
文字通りに解釈すると、平面図は

(1)「上」と「下」の面(位置)に挟まれた範囲(メイン範囲)に存在する要素を
(2)「断面」で指定した面(位置)で切断

して見下げた図です。

なるほど。でも・・・・。ちょっと待ってください。「ビューの奥行」って何でしょう?それに、見下げているのに「上」って何のことなの?そうです。単に切断して下を見ただけが平面図であれば「上」とか「ビューの奥行」なんて必要ありません。「断面」と「下」だけでいいはずです。

これらの働きはいったい何なのでしょう?次回をお楽しみに。