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2013年5月26日日曜日

包絡に関する考察(5)

染まる柱

柱は困った存在です。壁と結合すると自動的に壁の塗り潰しパターンに「染められて」しまいます。一見便利なようですが、コンクリ―ブロックやALCパネルと結合すると、意匠柱がコンクリートブロックやALCのハッチパターンになってしまいます。
壁色(塗潰しパターン)に染まった柱
簡単な解消法としては、壁をそれぞれ柱面まで作成し、柱に対して「ジオメトリを分離」コマンドを実行しすると柱と壁は分離され、柱は柱の簡略塗潰しパターンで表示されます。柱と壁の結合を解除するには壁の端部を結合禁止にしてもキキメはありません。
ジオメトリを分離で結合を解除する
柱の結合を解除し、壁を柱面で止めた場合

この場合、柱の中には壁がありませんから、部屋の面積は一部柱面となります。また、柱のインスタンスプロパティの「部屋の境界」をオフにすると、部屋が閉じていないので部屋面積は計算されません。
柱の部屋の境界をオフにすると部屋面積が計算されない。
実施設計段階であればこれでいいのですが、計画段階でまだ部屋の面積が動いている場合、このやり方だとちょっと不便ですね。何かいい方法はないでしょうか?

フィルタで染め直し

もう一つの解決策として、柱と壁の結合順序を変更し、フィルタで壁色に染まった柱を柱色に染め直すという手があります。
結合の優先順位として、既定ではホストファミリ(床・壁・屋根・天井)の方が、ロードファミリ(柱、梁など)より強いのですが、この結合順位を変更することができます。
[修正]タブ-[ジオメトリ]パネル-[結合順序を切り替え]を使い、柱と壁の結合順序を入れ替えます。
柱が壁に勝つように結合順序を変更する

次に、柱だけを選択するフィルタを設定します。
http://wikihelp.autodesk.com/Revit/jpn/2014/Help/0001-dchedgcd1/1481-dchefhaj1481/1659-dchegdec1659/1666-dchegdia1666/1667-dchegdic1667
[表示]タブ-[グラフィックス]パネル-[フィルタ]で新規作成を選択し、名前を「意匠柱」とします。カテゴリグループで柱のみをチェックし、OKします。
柱だけチェックする
[表示]タブ-[グラフィックス]パネル-[表示/グラフィックス]で「フィルタ」タブを選択し意匠柱を追加、切り取りパターンを「RC(切り取り)」とします。
意匠柱を追加し、切り取りパターンをRC(切り取り)とする
フィルタをかけることにより、壁色に染まった柱を柱色に染め直すことができます。
柱の中を壁が貫通しているので部屋の面積は正しくなります。建築の実態とは異なりますから、場合によって使い分けることが大切です。



2013年5月19日日曜日

包絡に関する考察(4)

ホストファミリの包絡

ホストファミリとは

  • 天井
  • 屋根

のことです。構造フレーム(梁)や柱はファミリエディタで作成してプロジェクトにロードして使用しますが、ホストファミリはいわば組み込みファミリでファミリエディタで作成することはできません。このホストファミリも簡略モードにおける包絡の〈特殊カテゴリ〉です。

下の図は簡略モードですが、ホストファミリである床とロードファミリである構造フレームとの間に線が入って包絡されていません。
床と梁が包絡されていない
簡略モードのホストファミリについては、包絡の原則

①要素同士が結合している
②マテリアルが一致している

の②が

②’塗り潰しパターンが一致している

に置き換わります。

簡略尺度塗り潰しパターンとは


床のタイププロパティを見てみると、「簡略尺度塗り潰しパターン」というパラメーターがあります。これは文字通り、ビューモードが簡略モードの場合、塗りつぶしに使用されるハッチパターンのことです。
簡略尺度塗り潰しパターン
この「簡略尺度塗り潰しパターン」を、結合している要素(この場合は構造フレーム)のハッチパターンと一致させればきれいに包絡されます。

構造フレームには「簡略尺度塗り潰しパターン」はありませんから、構造フレームのマテリアルの切断面パターンがハッチパターンになります。構造フレームのマテリアルをマテリアルエディタで見てみると、切断面パターンがわかります。
構造フレームのマテリアルの切断面パターン
この図の場合、切断面パターンは「RC(切り取り)」なので、結合している床の「簡略尺度塗り潰しパターン」も「RC(切り取り)」にします。
簡略尺度塗り潰しパターンを一致させる

ハッチパターンが一致すると次の図のようにきれいに包絡されます。
きれいに包絡された床と梁
これできれいな断面図を作成する基本がお分かりいただいたでしょうか。