2026年11月8日日曜日

Autodesk Assistant ~ 実践編

※本記事はRevit 2027.3環境で検証しています

プロジェクトに変更を加えてみよう

できること、できないことをAAに質問したとき、プロパティの変更はできるとかいとうがありました。そこで今回はプロパティの変更をいろいろとお願いしてみます。

命名規則のチェック

今回はプロジェクトデータに対して変更を加えるプロンプトをご紹介します。Revit 2027.3でプロジェクトを起動すると

シート命名の一貫性をチェックして

という例文がありますのでこれをクリックしてみましょう。するとかなり詳細な調査結果を示してくれます。

詳細な調査結果が示される

そこで

区切り文字を"_"で統一してください

とお願いすると、その方針をまず示してくれます。

変更内容をプレビュー
そして、AAが「よろしいですか」ときいているところに

はい

と入力すると、実際にシートの名前を変更してくれます。

実際にシート名が変更された

シート番号のリナンバー

シート名が変更できるなら、シート番号だって変更できるはずです。

現在のシート番号の並び順を維持して、シート番号をA001からリナンバーしてください

するとこれまたプレビューが表示されます。
プレビュー。コピーボタンをおしてExcelに貼り付けるとチェックしやすい
この変更を実施してよろしいですか?に対して

はい

と答えると、シート番号を振りなおしてくれます。重複しないように考えながらリナンバーするのでちょっと時間がかかりますが、きちんとこなしてくれます。
シート番号も変更可能

なかなかすごいですね。

パラメータの値の一貫性のチェックと修正

今度はファミリのパラメータの値をチェックしてみましょう。例えばこんなプロンプトはどうでしょう。

ドアのタイプパラメータ"開勝手"の値の一貫性をチェックしてください。

すると、こんな情報を返してきます。


プロンプトに明示していませんが、

2タイプ(SD107・SD111) の「開勝手」パラメータ値が 親子開き大枠 となっており、他の親子開きタイプの値 親子開き と不一致です

と調査結果を教えてくれます。この修正ももちろんやってくれます。

重複したタイプのチェック

実務の中で、ドアや窓のタイプで全く同じ内容で複数作成してしまった、ということがあります。そこで

プロジェクト内のドアタイプで、同一ファミリ内のタイプで、タイプパラメータ"建具_番号"の値を除いて、すべてのタイプパラメータの内容が同じであるタイプを探してください。

そうすると次のような調査結果が表示されます。

調査結果の表示
いやこれはすごいです。このような面倒な作業もしっかりこなしてくれます。

部屋面積とエリア面積

エリアで求めた面積を部屋のパラメータへコピーしてもらいましょう。部屋カテゴリに「エリア面積」という、面積のパラメータをプロジェクトパラメータに追加して、小数点以下第3位を切り捨て、第3位までの値を書き込んでもらいましょう。

必要な情報は

  • 対象のエリアスキーム
  • 突合せの方法
  • 換算と丸めの方法
  • 内部値が平方フィートなので、表示が平方めーとりになるように換算して書き込むこと
  • 番号が一致しない要素の扱い
です。エリアスキーム「各室面積」を作成して、各室の面積をもとめて、部屋とエリアの"番号"パラメータを一致させておきます。
エリアプラン


プロンプトはこんな感じでOKです。

エリアスキーム「各室面積」のエリアの「面積」を、同じ「番号」を持つ部屋の「エリア面積」に書き込んでください。m²換算で小数点以下第3位を切り捨て、表示が第2位までのm²値になるようにしてください。対応する部屋がないエリアは、書き込まずに一覧で教えてください。

するとエリアで計測した値を

エリアの面積は23.665㎡

部屋の「エリア面積」パラメータに小数点以下第三位を切り捨てた値を格納してくれます。

部屋の「エリア面積」は23.66㎡

会話が大事

Autodesk AssistantもChat-GPTやCoPilotと同じくAIです。ほかのAI同様に「こんなことできないかな?」という時はまず相談すればいいのです。そうすると「こんな風に依頼して!」という返答が返ってきますから、まずはざっくばらんに話しかけてみましょう。

2026年11月1日日曜日

Autodesk Assistant~導入編

※本記事はRevit 2027.3環境で検証しています。

Autodesk Assistantに話しかけてみよう

Autodesk Assistant(以下 AA)は、あなたのプロジェクト専用のAIです。Revit2027.3ではAAの"できること"がさらに増えて、文字どうりアシスタントとして面倒な作業を肩代わりしてくれるようになりました。まずは、何ができて何ができないのかを知る必要がありますね!早速話しかけてみましょう。次の文字列をコピーしてAA に質問してください

Autodesk Assistantで、できることとできないことの概略を教えてください。

すると、次のようにできることとできないことがわかります。

AAと会話してできること、できないことを把握しよう

できないことを最初に理解しておくと、過度な期待を抱かずにAAを活用することができます。また、できるかできないかを事前にAAに聞いてみるのもいいでしょう。

プロジェクトにロードされたファミリを複製し、タイプパラメータを変更することはできますか

すると、次のようにできる範囲を答えてくれます。


タイプパラメータの変更はできるらしい

どうやら、既存のファミリのタイプパラメータを変更することはできるようですね。このように、やりたいことをいったんできるかどうかAAに質問してみましょう。だんだんと、AAのことがわかってきましたね。

情報を取得してみる

次に現在のプロジェクトの内容を調べてもらいましょう。

壁のリストを表形式で作ってください。

ちょっとざっくりととしたプロンプトですが、けっこう答えてくれます。

表形式にしてくれる
このように表形式で、と依頼すると表にしてくれて、右上のコピーボタンをおしてクリップボードにコピーすると、Excelに貼り付けることができます。
エクセルに貼り付け可能
もう少し詳しく質問してみましょう。

幅が1000mm以上のドアについて、レベル、タイプ名、幅、高さ、個数を表にしてください

すると、

結構頑張ってくれます

もちろんこのような内容は集計表を作ればいいのですが、AAも結構頑張ってくれますね。

要素を見つけて色を変更する

もう段分慣れてきましたね!それでは次に現在のビューの要素を条件を付けて色を付けてもらいましょう。その前に「現在のビュー」をAAが正しく認識しているかどうか確かめたほうがいいです。

現在のビューの名前とタイプと要素ID

AAがどのビューを認識しているのか

私の経験ではAAとの会話の流れの中で、「現在のビュー」が実際に見えているビューではなく、AAがちょっと前の会話に出てきたビューを「現在のビュー」として認識し続けていたことがありました。ですから、ビューは単に「現在のビュー」「アクティブビュー」というより、この要素ID、あるいはビューの名前を指定したほうが確実です。

ID:312のビューにある要素のうち、幅が100mmを超える壁を赤色で表示してください。

すると該当する要素が赤色で表示されます。

幅が100mmを超える壁が赤色になった

Tips :  単位を明示しよう

ここでちょっとしたコツがあります。それは単位です。このプロンプトでは「100mm」と単位をつけて質問しました。実はこれが今のところ重要で、単に100としているとAAはフィートと勘違いすることがありますので、数字を指定するときは必ず単位を付けましょう。

Tips : 色付けは要素の上書きで行っている

幅が100mmを超える壁が赤くなりましたが、これはどうやって実現しているかというと「ビューのグラフィックスを上書き>要素別」で行われています。

困ったことに、AAに「元に戻してください」と質問しても、2026.11現在では元に戻すことはできません。元に戻すには

  • Undoする
  • 壁を選択して右クリック>ビューのグラフィックスを上書き>要素別で[リセット]する

などの操作が必要です。まずはテスト用のビューを作成・複製してから色付けプロンプトを試すのがおすすめです。

他にもいろいろなプロンプトが考えられます。以下の例を参考に皆さんでいろんなプロンプトをAAに投げてみてください。

タグが付けられていない部屋はありますか
平面図の"1FL"のビューのドアタグと窓タグの数を数えてください
1FLの意匠柱にはどんなサイズの要素がありますか
1FLのビューの家具を非表示にしてください。
要素のタイプ変更はできますか?できる場合はどのようにお願いすればいいでしょうか
外壁は全部で何枚ありますか
2FLのビューで、壁をタイプごとに色分けしてください。色はお任せします。

などなど、いろいろな質問・相談をAAにしてみましょう。まずはAAと仲良くなるところから始めてみてはどうでしょうか?できるかどうかわからなかったら、AAに「こんなことできる?」と聞いてみればいいんです。

次回はもっと実務的なプロンプトを紹介します。

2026年10月25日日曜日

窓キットにオリジナルの障子を追加する

 独自の障子を作ってみよう

窓キットに独自の障子ファミリを追加してみましょう。ポイントは拘束用の参照面を意識することです。

窓キットのダウンロードはこちらから

ポイント

テンプレートの選び方

  1. 窓キットの障子フォルダからもっとも似通った障子を選んで改造する
  2. 標準テンプレート「一般モデル(メートル単位).rft」を使って、カテゴリを窓、ファミリパラメータ"共有"に✔をいれる
    カテゴリは"窓"、共有に✔

の二通りの方法があります。が、1のほうが線種設定やサブカテゴリの設定など何かと便利です。

位置合わせについて

参照面の参照に注目してください。

参照面のプロパティ「参照」が重要です

「左」「右」「上」「下」「正面」「背面」の参照面が、サッシ枠に位置合わせしてロックされています。上記2の方法で作成する場合は次のように参照面を作成し、参照と寸法のラベルを設定します。

平面図>参照レベル


立面図>背面

これらの参照面に囲まれる範囲内にフォームやシンボル線分を作成します。基本的にこの6面の参照面に様々な要素をロックすることで、パラメトリックな挙動が生じます。

枠のファミリで見てみると各参照面がロックされている枠のフォームの各面は次の図のようになります。

外部から見たビュー

  • 参照面の参照
  • 共有ファミリ
  • 窓カテゴリ

この3点を守れば、窓キットの枠にはめ込める障子を作ることができます。

作った障子ファミリの使い方

今回、次の図のような折りたたみ窓を上記ルールに従って新たに作成してみました。これは窓キット.zipを新たにダウンロードするとその障子フォルダに入っています。

窓_障子_4枚折りたたみ

枠とこの障子のファミリをプロジェクトにロードして、前回の手順で枠の障子MxN<窓>パラメータに設定します。

作成した障子はプロジェクトにロードするだけですぐに使えます

エラー

  • パラメータ障子MxN<窓>に作成した障子のファミリが表示されない場合は、ファミリパラメータ"共有"にチェックが入っていることを確認してください。
  • 拘束が外れました云々のエラーが出る場合は、障子のファミリを開いて、幅・高さ・奥行のパラメータを変更して、エラーが表示れないか確認してください。

2026年10月18日日曜日

多段窓・多連窓~窓キットの配布

障子を自由に組み合わせてつくれる窓

障子ファミリを共有ネストファミリにすれば、プロジェクトで自由に障子を組み合わせていろいろな窓を作ることができるのではないか?(「共有ファミリのネスト」からの着想)ということで、最大で3段12連まで作成できるファミリ群、窓キット(ver2024)を作りました。次のURLからZIPファイルをダウンロードして任意の位置に解凍してください。ただし・・・

  • 枠形状はとても簡素に作っています。
  • 壁開口はボイドを使わず開口部のみで作成しています。
  • 抱きおさまりと面一おさまりはタイプで切り替えます。

できるだけ軽量に動作すること、変更に素早く対応できることを念頭に作成しました。施工図・製作図レベルの詳細度は持ち合わせておりませんが、設計段階ではディテールシートとの組み合わせで十分に活用できるはずです。

窓キット.zip(v2024)

前回まで連載していたサンプルモデルでもこの窓キットを使用していますので、こちらのモデルでも窓がどのように作られているか、建具表はどうなっているかを探ってみてください。

サンプルモデル(v2026)

  • これらのデータは再配布・改変などは自由に行っていただいて結構です。
  • なお、どのようなことがあっても補償はいたしません。(ないとは思いますが)

キットの内容

解凍すると次のフォルダがあります。それぞれの内容は次の表のとおりです。

フォルダサブフォルダ内容
タグ開き勝手のタグがあります
集計表窓集計表のサンプルプロジェクト
障子各種障子(パネル)の共有ファミリ
無目と方立無目と方立ファミリ(あまり使わないはず)
枠1段・2段・3段1~3段×1~12連の枠。だき・面一納まり兼用
特殊枠コーナー枠・ドア付枠
内枠障子(パネル)をさらに分割するための枠

使い方1:FIX-引違い-FIXの三連窓

図のようにFIX(W600)と引違(W1600)とFIC(W600)の三連窓を作成してみましょう。

材料

フォルダファミリ
枠窓_枠_1x3
障子
窓_障子_FIX
窓_障子_引違い_1

作り方

  1. プロジェクトに材料のファミリをすべてロード
    プロジェクトブラウザでファミリを確認

  2. プロジェクトブラウザ>ファミリ>窓>窓_枠_1x3>RC枠(または面一枠)を右クリック>複製
  3. 名前をAW001など、適切なタイプ名を設定しOK。
  4. タイププロパティを開く。
    1. 建具_番号に001、建具_種類にAW
    2. 幅_均等のチェックを外す。
    3. 幅1と幅3に600、幅2に1600を設定
    4. 高さが1200であることを確認
    5. レイヤグループの障子1x1と障子1x2に窓_障子_FIX : 既定を設定
    6. 障子1x2に窓_障子_引違い_1 : 既定を設定
    7. OK
      タイププロパティの設定

  5. プロジェクトブラウザから作成した窓のタイプをドラッグして配置します。
  6. 簡略と標準・詳細で表示が切り替わることを確認してください。枠形状はシンプルに作成しています。
    簡略
    標準・詳細


  7. 窓キットのタグフォルダのタグ_窓_開勝手を使うと、各障子の開き勝手を表示できます。TABキーで障子を選択して配置します。
    開勝手のタグによる表示

  8. 3Dビューでも同様に確認してください。

  9. 天井伏図で窓を表示したい場合は、サブカテゴリ上枠/下枠をオフにします。
    サブカテゴリをOFF

使い方2:上部ガラリ×3、下部縦軸回転

上下で割付が異なる窓


材料

フォルダファミリ
枠窓_枠_2x1
枠\内枠窓_内枠_1x3
障子
窓_障子_ガラリ
窓_障子_両袖片引き

作り方

  1. プロジェクトに材料のファミリをすべてロード

  2. まずは上部3連ガラリを作成します。プロジェクトブラウザで窓_内枠_1x3 : 既定を複製し、名前をAW002とします。
  3. タイププロパティを開く
    1. 障子1x1~1x3に窓_障子_ガラリ : 既定を設定
    2. 均等にチェック
    3. 幅_方立に40
    4. OK
      窓_内枠_1x3 : AW002のタイププロパティ


  4. 窓_枠_2x1 : 面一枠(またはRC枠)を複製してAW002とする。
  5. タイププロパティを開き
    1. 建具_番号に2、建具_記号にAW
    2. 障子1x1に窓_障子_両袖片引き : 既定
    3. 障子1x2に窓_内枠_1x3 : AW002
    4. 幅に3000
    5. 高さ1に1200
    6. 高さ2に400
    7. 高さ_均等のチェックを外す
    8. OK
      AW2のタイププロパティ

  6. プロジェクトブラウザから作成した窓のタイプをドラッグして配置します。


建具リストについて

窓の集計表について窓キットの中の集計表フォルダのなかに、サンプルがあります。こちらを参考にしてみてください。

使い方

  1. 挿入タブ>ライブラリからロードパネル>ファイル挿入▼>ビュー挿入
  2. 集計表フォルダの集計表サンプル.rvtを開く
  3. ビューで"集計とレポートのみ表示"を選択し、すべてチェック

  4. OK
  5. 作成されたPset建具表~窓をシートに配置します。
建具リストの一例

  • 窓キットのファミリには256x256ピクセルのイメージが仕込んであるので、集計表でそのイメージを表示することが可能です。
  • 窓キットのデータは改変自由なので、あらかじめ共有パラメータおよびその値を仕込んでおくことも可能です。
  • 障子の種類を増やしたい場合は、似たような障子ファミリをベースとして改造し、プロジェクトにロードすればすぐに使えます。

2026年10月11日日曜日

『シンプル・確実な』Revitモデルの作り方(4)~最終回

 【第4回】共有パラメータの「過剰追加」をやめよう。組み込みパラメータがもたらす安心感と真の効率化

連載の最終回となる今回は、BIMモデルを最も深い迷宮へと突き落とす原因、「独自の共有パラメータの乱立」について考えます。

なぜか多くの現場では、Revitに最初から用意されているパラメータを使わず、新しい共有パラメータを次々と追加したがる傾向があります。しかし、その「とりあえず追加したパラメータ」が、後からモデルを扱う人を困惑させていることに気づいているでしょうか?

1. 「触る前の分析作業」という巨大な無駄

独自のパラメータが大量に仕込まれたモデルを開いたとき、オペレーターはまず何をしなければならないでしょうか?

  • 「このパラメータは何のためにあるのか?」
  • 「ここに入力すると、どのビューや集計表に影響するのか?」
  • 「入力を間違えるとシステムが崩れるのではないか?」

本来の図面を描きデータを入力する作業に入る前に、「モデルの仕様解読(分析)」という余計なステップが発生してしまいます。この非効率さこそが、「Revitは複雑で手間がかかる」という最大の誤解を生む元凶です。

2. 組み込みパラメータ(識別情報)を使えば「迷い」はゼロになる

Revitの要素には、最初から誰でも知っている標準の「組み込みパラメータ」が備わっています。本サンプルモデルでは、これらを徹底的に活用しています。

例えば、図面内の注記や属性情報は、すべて識別情報グループの「コメント」や「説明」といった標準パラメータに集約させています。

  • 誰もが同じ情報にアクセスできる: どの要素をクリックしても「識別情報かタイプ名さえ見れば大体わかる」という絶対的な安心感。

    情報を識別情報の説明に集約し表記はマルチカテゴリタグで一律に

  • タグと集計表の完全連動: 単一のマルチカテゴリタグを用意するだけで、図面注記も集計表も一瞬で連動。文字の直書きは完全ゼロに。

  • Forma等クラウド連携での強み: クラウドビューアでモデルを開いた際も、識別情報は比較的上方に表示されるため、ブラウザ上でのデータチェックが格段にスムーズ。

    プロパティと図面表記が一致する安心感

我流のルールを捨てて標準に従うだけで、モデルから「恐怖」と「迷い」が消え去り、作業効率は跳ね上がります。

部屋の仕上情報はどうでしょうか?仕上情報を記述する組み込みパラメータを活用すればIFCに出力するときでさえ標準で情報が出力されるのです。

組み込みパラメータは何もしなくてもIFCに出力される

建具のパラメータについても思い切って断捨離をすすめ、仕様はマルチラインテキストに自由に記述するようにしています。

パラメータ:仕様(タイプ)

建具の仕様情報は一つのパラメータにまとめると見やすくなります。

建具の仕様はマルチラインテキストに集約

3. 【全4回完結】脱・迷宮化サンプルモデルを今すぐ体験してみてください

全4回にわたって、「過剰表現の断捨離」「標準機能の素直な活用」「データと形状の分離」、そして「標準パラメータへの集約」をお伝えしてきました。

言葉だけではなく、実際のモデルでその「軽快さ」と「安心感」を体感していただけるよう、Revit標準添付のサンプルモデルをゼロから再構築したデータを配布しています。

特別なアドオンは一切使っていません。標準の「建築テンプレート」と標準機能だけで、どこまで美しく、軽快で、データとして正しいモデルができるかをぜひお確かめください。

[ 📥 脱・迷宮化サンプルモデル(Revit 2026)をダウンロードする ]

おわりに:ツールの「設計思想」に素直になるということ

BIMを快適に扱うための最大のコツは、技術やアドオンの追加ではなく、「ソフトウェアの設計思想に素直に従うこと」です。

我流のルールや過剰な作り込みを手放し、Revit本来の仕組みに身をゆだねてみる。それだけで、BIMはあなたを苦しめる重荷から、AI時代を生き抜く最強の相棒へと変わります。

本連載が、過剰なモデルづくりに悩む多くのBIMユーザーにとって、立ち止まり、整理するためのヒントになれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

2026年10月4日日曜日

『シンプル・確実な』Revitモデルの作り方(3)

 【第3回】BIM=パースという幻想を捨てよう。「1:1モデリング」からの脱却

「パース(パースペクティブ)をきれいに見せたいから、細部まで作り込む」

「せっかくBIMなのだから、実物とまったく同じ1:1のリアルなモデルを作らなければいけない」

もし意匠設計でこのように考えているとしたら、今すぐその思考を「断捨離」する必要があります。整った美しい図面を切り出すために最も重要なのは、リアルな3Dモデルではありません。「整理整頓されたシンプルなモデル」です。

サンプルデータのダウンロード(v2026)

1.なぜ「BIM=パース」という考え方が危険なのか?

パースとBIMは、根本的に目的が異なります。

  • パースの目的: 「見た目のリアルさ」を追求すること
  • BIMの目的: 建物の「データ(情報)構造」を構築し、図面や集計表に活用すること

パースの世界では、ドアノブの形状からサッシの細かい見切りまで1:1で忠実にモデリングすることが求められます。しかし、製造モデルでもない計画段階のBIMでそれをやると、データは肥大化し、PCは重くなり、少しの変更でモデルが崩壊します。つまり、「パースのための過剰モデリング」が、BIM本来の良さをすべて殺してしまうのです。

例えば、BIMではドアノブの3D形状を一生懸命作り込む意味はありません。形状はシンプルな記号的表現にとどめ、プロパティに「レバーハンドル(SUSヘアライン仕上げ)」と文字情報(データ)で持たせれば十分です。
BIMにはハンドル「形状」よりも「情報」

2. ホスト要素の「包絡」こそが図面のクオリティを決める

細部の3Dパーツを作り込む代わりに注力すべきなのは、床・壁・天井といったホスト要素の「包絡」です。

きれいに包絡されたモデルは、切り出した図面(断面・詳細)にしても誰もが納得する美しい形状になります。そして、正しい包絡を実現するためのカギは以下の2点に尽きます。

  • 「結合」操作の徹底

  • 「マテリアル(簡略ハッチパターン)」の正しい設定

過剰なパーツ作成をやめ、基本構造体の接合部やマテリアル設定に意識を向けることこそが、整った図面を生み出す最短ルートです。(参考「包絡に関する考察」)

「簡略ハッチカラー」と「簡略ハッチパターン」

3. 断面図を「大量に発行」してモデルをチェックする

手描き時代や2D CADの時代は、断面図といえば「東西・南北の2面」程度が当たり前でした。なんとかその1~2枚に納めようと無理やり切断線をクランク(屈曲)させ、結果として図面もモデルも複雑化していたのが昔のやり方です。

しかし、どこでも瞬時に断面を切れることこそがRevit最大の利点です。これを活かさない手はありません。

  • 「チェック用」で終わらせず「発行図面」にする

    単なる作業用の一時的な断面で終わらせず、図面シートとして正式に発行します。図面として世に出す意識を持つことで、モデルの不整合や包絡の不備に対する意識が劇的に変わります。

    断面で隅々までチェックしよう

  • 主要な通り芯や気になる取り合いはすべて切る

    各階すべての平面図を描くのと同様に、断面図も惜しみなく大量に作成・レイアウトします。

    どんどん断面を切ろう!

  • 断面線は曲げてはならない!

    断面線を屈曲させる機能(セグメントを分割)は使ってはいけません。素直にまっすぐ切りましょう。1枚の断面ですべてを語ろうとする必要はないのです。語りたいだけ、たくさん断面を切りましょう。Revitの最大の魅力はどこでも断面が自由に切れることです。

    切断線を曲げてはいけません

モデルの隅々まで断面を切ってチェックし、包絡を整えていく作業こそが、結果として最も確実で美しいBIMモデルを作り上げます。

4. 3Dピクトグラム思考:軽量化と美しい2D表現の両立

本連載のサンプルモデルに含まれるファミリでは、この「選択と集中」を徹底しています。

  • 3D表現は「3Dピクトグラム」に徹する

    衛生設備や家具などの曲面要素はポリゴン数を削ぎ落とし、「一目でそれとわかる象徴的な形」に抽象化して軽量化します。

    ピクトグラム化した大便器

  • 2D表現(図面)は3Dと切り離す

    平面図や立面図では3Dを非表示にし、綺麗に整えた2D線画を表示させます。

    図面上は2D線画

窓・ドア

窓とドアについてもこの「3Dピクトグラム思考」に「共有ファミリのネスト」の考え方を加えた作り方になっています。
  • 枠形状:簡略、標準、詳細共に次の図のようにシンプルに作成しています。開口は複雑なボイドを使わず素直に"開口部"を使用しています。
    シンプルな枠形状

  • 共有ネスト:障子のファミリを共有ファミリとして、各パネル部にネストしています。
    共有ネストの障子

過剰な躯体開口、サッシ形状を断捨離することで、変更に強い、シンプルな建具を実現することが目的です。この窓については、「窓キット」としてファミリ群を無償公開する予定です。なお、ドアも同じように作っています。こちらもただいま公開に向けて整備中です。

「見せかけのリアル」を手放そう

「BIMなのだから細部までリアルに作らなければいけない」という思い込みを手放してみてください。BIMでパースを作ることをあきらめてください。長年のRevitユーザーならば、歴代のRevitがパースに対してあまり興味を示してこなかったことをよくご存じでしょう。

パースのための過剰なモデリングをやめ、「包絡を整え、断面をしっかり切り、データは厳格に管理する」という基本に立ち返ること。それだけで、BIMは驚くほど軽く、美しく、実用的なツールに変わります。