2025年10月19日日曜日

舗装とサブ領域の変遷

名脇役「舗装とサブ領域」の変遷

Revit2024で地形ソリッドが登場

地形ソリッド登場以前は「舗装」「サブ領域」というなかなか便利な機能がありました。舗装は地盤面の一部を平坦にくりぬく機能です。サブ領域は地盤面の一部に異なるマテリアルを割り当てることができました。

2023以前の舗装とサブ領域
 Revit2024で地盤面は地形ソリッドに置き換えられましたが、舗装は廃止されました。サブ領域はサブ区画となりましたが、高さは0.2mm以上必要で地形ソリッドと同面にできません。
v2024で舗装は廃止されました

v2024で舗装が廃止された理由は、ボイドファミリで地形を切り取ることで代替できるからだと推測します。しかしながら、ボイドで切り取るるだけでは、舗装のレイヤ構造を再現することができませんでした。

ボイドで切り取れば舗装と同等


Revit2025で「掘削」が登場

Revit2025では地盤を地盤で「掘削」する機能が追加されました。これで完全に舗装を置き換えることができました。

まず、地形ソリッドの中に地形ソリッドを作成します。

地形ソリッド内部に地形ソリッドを作成
外側の地形ソリッドを選択し、

修正|地形ソリッドタブ>地形ソリッドの成形パネル>掘削▼>掘削

埋め込まれた地形ソリッドを選択すると、外側の地形ソリッドが「掘削」されます。
地形ソリッドの掘削

これで完全に地盤面-舗装の関係は、地形ソリッド-地形ソリッドによる掘削で置き換えられたといえるでしょう。

Revit2026で「サブ区画」を強化

Revit2026ではサブ区画が強化されました。ポイントは2つで

  • サブ区画のオフセット:高さを自由に設定できるようになった
  • サブ区画のレイヤ構造:サブ区画にレイヤを割り当てることができる

この2点はかなりの朗報でして、従来のサブ領域を上回る機能が追加されたことになります。掘削はまったく表面の高さが全く異なる地形ソリッドを使いますが、表面の高さはホストのサブソリッドからの相対距離で決まります。

例えば、サブ区画のオフセットを-100とすると、地形なりに-100オフセットされます。

サブ区画は地形なりにオフセットされる
さらにサブ区画の壁タイプを変更すして、レイヤ構造を割り当ててみます。

サブ区画に地形ソリッドのタイプを割り当て可能

まとめ

2024で地形ソリッドが登場し、2025で舗装が、2026でサブ区画が置き換わりました。すこし時間がかかりましたが、ようやく2026で地形ソリッドがかつての地盤面をしのぐ機能に強化されました。

  • v2024 : 地盤面→地形ソリッド
  • v2025 : 舗装→掘削
  • v2026 : サブ領域→サブ区画の強化

地形ソリッドはサーフェス要素の地盤面よりは相当に扱いやすいので、脇役2つがそろった2026でその力を存分に発揮できるようになりました。今、バージョンアップするならば断然2026以降がおすすめですよ~。

2025年10月5日日曜日

鉄骨構造要素の重量

重量パラメータ

Revit2025.2から、鉄骨の構造フレームと構造柱に「重量」パラメータが追加されました。また、構造柱には「長さ」パラメータも追加されました。

重量と長さパラメータ

以前の記事「構造フレームの重量と質量」では集計表を使う方法を紹介しましたが、2025.2以降ではプロパティウィンドウで確認できるようになりました。

(パラメータ名は「重量」ですが、単位から推測すると「質量」のようですね。。。)

重量パラメータの値が0と表示される場合、ファミリを修正する必要があります。

重量が0!

重量=0の場合のファミリの修正方法

重量の計算は断面形状に基づいているので、鉄骨構造部材ファミリに断面形状とそれに関するパラメータの値を設定します。

  1. 重量=0のファミリを選択し、ファミリを編集でファミリエディタを開きます。
  2. 断面形状の値をクリックし、右端の[...]ボタンをクリック
    断面形状を設定する

  3. 適切な形状を選択します。ここではH型鋼を選択
    断面形状を選択

  4. プロパティパネル>ファミリタイプ 断面形状を設定することで寸法、構造解析、構造断面ジオメトリグループに組み込みパラメータが追加されたことを確認します。
    断面形状を追加すると組み込みパラメータが追加される

  5. ファミリエディタパネル>プロジェクトにロードで 既存のバージョンとそのパラメータ値を上書きする を選択
この時点ではまだ重量は計算されません。重量を計算するには断面形状を追加することで新たに追加された組み込みパラメータのうち、
  • 構造解析グループ:断面積
  • 構造断面ジオメトリグループ:すべて
を設定する必要があります。意外なことですが構造解析グループ:単位重量は必要ありません。

配置された重量=0のファミリを選択し、タイプ編集で次のように設定してみました。
断面積と構造断面ジオメトリのパラメータを設定

すると、重量が計算されます。
重量が計算される


密度の値はどこから?

無事、重量が表示されましたが構造解析グループ:単位重量の値は重量の計算に使われていません。密度は構造マテリアルで設定します。
構造マテリアルの値(図ではメタル - 鉄鋼 - 345 MPa)をクリックし、右端の[...]ボタンをクリックしてマテリアルエディタを開きます。
構造マテリアルを確認する

材質タブを選択し、機械グループの密度の値を確認してください。
材質タブの機械グループの「密度」
試しにこの密度の値を2倍にすると。。。
密度の値を2倍にしてみる
重量の値も2倍になります
重量の値も2倍になる

2025年9月28日日曜日

鉄筋セットの分割

【朗報】ようやく分割可能に

Revit2026.3から、鉄筋セットを分割することができるようになりました。例えば固定数=4で作成した鉄筋セットを単一と3本セット、あるいは4本バラバラに分割することができます。

少々隠しコマンド的になっているので使い方を確認しましょう。

鉄筋を選択して分割

まず主筋を分割してみます。次の図は鉄筋をレイアウト:固定数、本数:4で作成した状態です。これを①~②、③~④に分割してみましょう。

  1. まず①~④の任意の鉄筋を選択します。
  2. 修正|構造鉄筋タブ>継手パネル>継手▼>鉄筋セットを分割

  3. ②の鉄筋を選択して、複数パネルの終了をクリック

これで4本セットの鉄筋が2本+2本の鉄筋セットとなります。このコマンドは、鉄筋セットを分割するものであり、分解してバラバラにするというものではありません。
しかし、3の鉄筋の選択で①→②→③の順で選択すると、結果としてはすべて単一の鉄筋となります。

線分で分割

鉄筋セットを分割すると元のセットには戻せないので、あらかじめ詳細線分を使って計画を立ててから分割することができます。
  1. 平面図などでひとまとめにしたい鉄筋に交差するように詳細線分を作成します。
    分割したい鉄筋に交差するように詳細線分を作成

  2. 鉄筋セットを選択
  3. 修正|構造鉄筋タブ>継手パネル>継手▼>鉄筋セットを分割
  4. 線分を選択
  5. 複数パネル>✔
    詳細線分が交差する鉄筋が分割される



鉄筋セットが分割されて、線分が交差する鉄筋があらたな鉄筋セットになります。

2025年9月7日日曜日

建築工事標準詳細図(5-01) ~屋上パラペット

屋上パラペット

建築工事標準詳細図5-01にはRC造の屋根保護防水断熱工法の屋上パラペットのおさまりが7点示されています。

建築工事標準詳細図5-01

今回はこれらをモデリングしてみました。いつものように製図ビューも作成しています。製図ビューはPDFをなぞって作成しているので、小数点以下の精度に難がある点をご容赦ください。

サンプルファイルはこちらからダウンロードしてください。

建築工事標準詳細図令和4年版.rvt(ver2024)

パラペットのモデルは{3D}のビューを開くと次の赤丸の位置にあります。

モデルはRSLに作成している

プロジェクトブラウザ>ビュー>建築>平面図>平面図>平面図 RSLを参照してください。
平面図RSL

それぞれの断面には関連するディテールがコールアウトで関連付けられています。
吹き出しで関連付け


床について

床はサブ要素を修正することで水勾配を編集するので、躯体と保護コンクリート部を一体で作成しています。

一体で作成された屋上床

5-01-1/2 立上り部コンクリート押さえの場合

モデルはこちら

立ち上がり部がコンクリートで厚さに変化がないので、レイヤ構造を編集して壁タイプを作成しています。

レイヤを編集して作成すると、分割位置が下端からの距離で固定されるので、あまりよくないかもしれませんが、「こんなこともできる」という例として作成しています。

アルミ笠木は壁のスイープで作成しました。原則として笠木は壁のスイープで作成しています。

パラペット天端は壁の天端から35mm上です。



5-01-3/4 コンクリート「あご」つきのパラペット

モデルはこちら

「あご」はプロファイルを使って、壁タイプに組み込んでいます。少々複雑にリビールとスイープを組み合わせた作りですが、次の図のように壁の高さがそのままパラペット天端に一致するようにしています。

ちょっと複雑ですが・・・

パラペット天端は壁の天端±0です。



5-01-5/6 乾式保護材が壁の途中で止まる

モデルはこちら


防水立上り部は別の壁タイプで作成しています。また、アルミ笠木は壁スイープで作成していますが、防水立上りの壁の水切りは利便性を考慮して壁タイプに組み込んでいます。

防水保護部は独立した壁になっている

5-01-7 乾式保護材が壁の天端まである場合

モデルはこちら

一つの壁タイプで作成し、アルミ笠木を壁のスイープで作成しています。

パラペット天端=壁の高さ+35mmです。

今後そのほかのパラペットも作成していきますが、その過程でより良い方法が見つかった場合は今回のモデルも修正します。

ご利用についてのお願い

ファミリも製図ビューも、サンプルファイル内の要素は、なんでも自由に利用していただいて結構ですが、何があっても責任は一切負いませんので自己責任でご利用ください

2025年8月31日日曜日

Autodesk Construction Cloud ~ Docs入門

Docsを使ってみよう!

Autodesk Viewerに慣れてきたら、次はACC(Autodesk Construction Cloud)のDocsの機能を使ってみましょう。

Autodesk Community Blogに連載を始めましたのでご覧ください。

Revit ユーザーのための Docs ガイド

(1)とりあえずアップロードしてみる

(2)ビューアーを使い倒す

(3)パブリッシュ

(4)過去バージョン

(5)マークアップ

今後、指摘事項の使い方など、Docsだけでできる機能についてチュートリアル形式で記事を掲載していく予定です。

ぜひご覧ください。

2025年8月24日日曜日

Autodesk Viewer (3/3)

受け取り側がサインインすると・・・

送信者に加えて受信者もサインインすると、

  • コメント
  • マークアップ

の機能が使えるようになります。これらの機能を使うことで、より詳細なディスカッションが可能になります。基本の流れは断面・表示非表示などでビューを調整した後に

  1. マークアップして共有する
  2. コメントを追加して投稿する

の二パターンです。

コメントで情報交換する方法

閲覧していて気になる部分があったら、すぐにコメントボタンをおします。

コメントボタンを押す


すると、右側にコメントパネルが開き、画面のキャプチャが表示されるので、コメント欄にコメントを書いて投稿ボタンを押します。

コメントパネルでコメントを入れて[投稿]をクリック

このとき、メールがコメントを作成したリンク受信者から、リンク送信者側に自動送信されます。
メールが送信される

この返信ボタンをクリックすると、ビューアが開き、コメントパネルが開いて同じビューを閲覧することができます。

ビューアが開いて、コメントを共有できる。

さらにこの[返信]をクリックして、返信を書き込み、投稿ボタンを押すと

またメールが発出されます。

メールが再度配信される
これを繰り返して、最終的に解決したら、コメントパネル右上の解決にチェックを入れます。すると、コメントパネルからこのやり取りが非表示となります。

解決に✔をいれる

マークアップからの共有

マークアップは一種の「スクリーンショット」です。スクリーンショットを取ったうえで、静止画にマークアップを作成するというイメージです。

モデルの見え方を十分に調整してから、画面右下の[マークアップ]をクリック。


画面がキャプチャされて、画面下にはマークアップツールバーが表示される

マークアップツールバー
使用できるのは鉛筆、矢印、雲マーク、文字です。直管的に操作できるので詳しい説明は省略します。必要なことを欠き込んだら右上の[保存]ボタンをクリックします。

マークアップしたら[保存]をクリック

コメントパネルが表示されます。
コピーでURLをコピーしても、返信を押してコメントをやり取りしてもよい

コピーを押してURLを取得し、メンバーに送信してもいいし、コメント同様に返信でのやり取りとなります。

サインインすればビューアにコメントを入れながら、経緯をトラッキングすることができます。

コメントの書き出し

このようなやり取りはすべて「コメント」パネルからアクセスできます。このようなやり取りは書き出すことができます。コメントパネル右上の[書き出し]をクリックすると、PDFファイルとしてダウンロードできます。このとき「解決済みを表示」にチェックを入れておくと、解決済みのコメントもすべて書き出すことができます。

コメントを書き出し
PDFは次のような書式です。

書き出されたコメント

有効期限は30日間

このように大変便利な機能を有しているAutodesk Viewerですが、さすがに無償だけあって有効期限は最初にアップロードした日から30日間に限られています。ただし、この期間は延長することができます。

Autodesk Viewerの最初の画面で、[自分が所有者]のデザインビューであれば、[延長]ボタンが押せるはずです。

有効期限を延長できる

新しい有効期限は、延長ボタンを押した日から30日になります。

こうして延長はできるものの、いつかは情報はなくなってしまいます。この優秀なビューアはおそらくTeamsなどと組み合わせて使うことで最高のメリットを享受できるのではないでしょうか?

問題を見つける→スクリーンショットを取る→PPTなど好きなツールでコメントをかく→スクリーンショットを取ってTeamsでテーマごとに共有

というのが手間もかけず、経費もかけずに日常の情報共有に3Dモデルを活用するきっかけにならないでしょうか?

皆さんもAutodesk Viewerを積極的に使用してうまい使い方を考案してみてください。