2025年11月15日土曜日

CadMouse

マウスは何を使ってますか?

今回は珍しくハードウェアのお話です。最近新しいマウスを手に入れました。3D ConnexionのCadMouse Pro Wirelessです。

CadMouse Pro Wireless

3D ConnexionといえばSpace Mouseが有名ですよね。皆さんも一度は見たことがあるのではないでしょうか?

SpaceMouse Wireless

今回入手したのは一見普通のマウスに見えるCadMouse Pro Wirelessですが、3か月使ってみたところこれがまたとてもよくできていることがわかったので、Revitを日常的に使用している皆さんにその使用方法について紹介します。おすすめです!

大きな特徴は「CAD操作に特化したマウス」ということです。専用のドライバ「3Dx Ware」をインストールすることでCADを操作するための様々なメリットを享受することができます。

接続について

CadMouse Pro WirelessとPCとの接続方法は
  • Bluetooth
  • 専用レシーバ(付属)
  • 有線(付属USBケーブルTYPE-A)
があります。もしもPCのUSBポートに余裕があるならば、有線での接続をお勧めします。とてもしなやかなUSBケーブルが付属しています。反応速度を重視する方は有線がよいでしょう。
付属ケーブルはとってもしなやか

ノートPCなどでUSBポートにゆとりがない場合はBluetoothでも問題ありません。堅牢なケースも付属しているので持ち運びにも便利です。
ケースが付属していて持ち運びに便利

ボタンレイアウト

Cad Mouse Proのボタンは次のように配置されています。
CadMouse Proのボタンレイアウト

Windowsでは珍しい中ボタン、およびラジアルメニューボタンが特徴的です。それぞれの使い方を見ていきましょう

画面操作はマウスだけで完結

Revitの画面を操作する際、普通のマウスだと

  • 画面の縮小拡大 → ホイール回転
  • オービット → SHIFTキーを押しながらホイールプレス
  • 全体表示 → ホイールダブルクリック
  • 画面移動 → ホイールプレス

でしたが、CAD Mouse Proの場合はSHIFTキーを押す必要がありません。つまりマウスだけで画面操作がすべて可能になります。

  • 画面の縮小拡大 → ホイール回転
  • オービット → ホイールプレス
  • 全体表示 → 中ボタンダブルクリック
  • 画面移動 → 中ボタンプレス

この画面操作方法は非常に優れています。特に優れているのは

  • マウスを持つ手だけで操作が完結(SHIFTキーを押す必要がない)
  • 重いホイールをダブルクリックする必要がない

の2点です。頻繁に行う画面操作の負担が大きく軽減されることはRevit操作においてたいへんなメリットです。

また、親指ボタンはクイックズーム機能が割り当てられています。

◀ボタン=10倍拡大

▶ボタン=1/10倍縮小

この中ボタンとホイールの操作に慣れると、この上なく楽ちんで、もうほかのマウスには戻れない感じです。

秀逸なラジアルメニュー

Revitを操作しているとき、ラジアルメニューボタンを押すと、よく使うコマンドへのショートカットがマウスポインタの周囲に表示されます。

とても便利なラジアルメニュー

使い方は簡単で、Revitを操作中にホイールボタンの手前にあるラジアルメニューボタンを押すと、マウスの周りにコマンドボタンが表示されます。

マウスポインタを使用したいコマンドアイコン上を通過させる、あるいはコマンドアイコンをクリックするとそのコマンドが起動します。

例えば、壁を選択しておいて、ラジアルメニューボタンをクリックし、

ラジアルメニューのタイプ編集アイコン上をマウスを通過させると

タイププロパティウィンドウが開きます。クリックしなくてもいいところがポイントで、手指への負担を軽減してくれます。

このラジアルメニューは現在アクティブなアプリケーションを自動判定し、アプリケーションごとに異なるメニューを表示します。例えば、AutoCADではこのようになります。

AutoCADでのラジアルメニュー

ラジアルメニューを変更する

ラジアルメニューはいくつかのパターンがあらかじめ登録されていて、設定で切り替えることができます。タスクバーの検索ウィンドウに"3dconnexion"と入力し、設定アプリを起動します。この状態でRevitのウィンドウ内をクリックすると、設定アプリがRevitを認識します。

左上に認識しているアプリが表示される

[ボタン]をクリックして、ボタン設定ウィンドウを開きます。次にラジアルメニューの右の>ボタンをクリックします。

ラジアルメニューの>ボタンをクリック
表示されたメニューの中からRadialMenuをクリックして展開すると様々なコマンドセットが既に定義されていることがわかります。

いろいろなコマンドセットが定義されている

これらを選択することで、表示されるラジアルメニューを変更することができます。それぞれの内容をご紹介します。

3D Group


Archtectural Annotate

Edit Group


Most Common

Structural Edi

Structural Model

Systems Annotate

Systems Model - Electric

Systems Model - MEP

Systems Model - Plumbling

さすがCADマウスというだけあって、Revitユーザーのことをよく研究しています。私のお気に入りは「Edit Group」です。

ラジアルメニューをカスタマイズ

これらの規定のコマンドセットではなく、自分でコマンドをカスタマイズすることもできます。お気に入りのコマンドセットを作成する手順を見てみましょう。Revitがアクティブな状態でボタン設定ウィンドウを開きます。次にラジアルメニューの右の>ボタンをクリックし一番下にある「新規ラジアルメニュー」をクリックします。

新規ラジアルメニュー

ラジアルメニューエディタでまずラジアルメニュー名を設定します。

つぎにメニューのアイコンをクリックし、アイコンの選択ウィンドウでアイコンを選択します。このアイコンはカスタムアイコンでお好みのアイコンを設定できます。単なる目印なので気楽に設定してください。

好みのアイコンを設定する

レイアウトで4分割または8分割を選びます。

8分割を選択したところ

8分割を選択すると、右側に1~8のコマンド割り当てボックスが表示されます。

例えば1に位置合わせを設定したい場合は、1の右端の>をクリックし、

Autodesk Revit>修正>修正>位置合わせ

と選択します。Revitのタブ名>パネル名>コマンド名の順です。

タブ名>パネル名>コマンド名 の順で追っていく

これでコマンド1に位置合わせが設定されます。

コマンド1に位置合わせが割り当てられた

この手順で、のこりのコマンドも割り当てます。

全てに割り当てる
保存を押して、Revitで確認します。

お気に入りのコマンドセットを作ろう!

試したところ、これらのコマンドは標準だけではなく、カスタマイズしたコマンドも登録可能になっていました。

親指ボタンにラジアルメニューを割り当てる

親指ボタン(◀と▶)にラジアルメニューを割り当てれば、合計3つのラジアルメニューを使い分けることができます。
例えば、設定アプリで次のように割り当ててみます。
3つのラジアルメニューを割り当てる

こうすることで、合計24のコマンド+片手での画面操作が可能になり、Revitの操作性がものすごく向上することを実感しました。少なくとも私にとって、現時点で最高のRevit用マウスです。

CadMouse ProはRevitの操作性を大きく向上させ、毎日の作業の負担を軽減してくれます。入手は直販サイトやアマゾンなどで可能です。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?


2025年11月9日日曜日

青いレベル

青=リンク

ずいぶんと基本的なお話で恐縮なのですが、レベルの中には黒と青があることにお気づきですか?

青いレベル記号
レベルの中には黒いレベルも存在します。
黒いレベル記号
印刷するとどちらも黒で印刷されるのであまり気にしたことがないかもしれません。この青は

関連する平面ビューへのリンク

なのです。そのレベルに関連する平面ビューが存在すれば、レベルの先端を右クリックすると「平面図に移動」が選択できます。

平面図に移動

また、レベル記号をダブルクリックしても関連する平面ビューに移動できます。

ここをダブルクリックしてもOK

立面・断面・吹き出しもリンク

このような「青いリンク」は断面記号にも存在します。断面線の先端のマーカーも青色で表示されています。

断面線のマーカーも青=リンク

青い記号をダブルクリックすると、該当する断面ビューに移動します。

吹き出しの記号も青色で表示され、ダブルクリックで該当するビューに移動できます。

吹き出し記号も青=リンク

立面マーカは例外的で、ポインタは青くはなりませんが、ダブルクリックすると当該立面ビューに移動できます。

立面マーカーは青くならないがリンクはある

PDFでもリンク可能

PDFに印刷してもこれらのリンクは有効です。印刷後のPDFでは各種リンクの記号をマウスオーバーすると指のマークがでてきてシングルクリックで該当するビューに移動できます。

ただしRevitのPDF書き出し機能、またはAdbeのPDFプリントドライバを使用する必要があります。例えば、Microsft Print to PDFなどではリンクはサポートされていません。

PDF書き出しオプションや出力設定オプションのの「リンクを青で表示(カラー印刷のみ)」のリンクとは、これらの「青い記号」のリンクのことを指しています。

英語版は「View links in blue」でわかりやすい


2025年11月2日日曜日

カーテンウォールの建具表

カーテンウォールの集計表

カーテンウォールはあくまでも「壁」です。カーテンウォールには、複数のインスタンスで一つの建具記号だったり、インスタンスベースで自由にサイズが変更出来るという特徴があるため、タイプパラメータをベースとするドアや窓の集計表と同じ集計表にまとめることは無理があります。

そこで今回はカーテンウォール専用の集計表(建具表)の作り方の一例をご紹介します。

前提条件

次のモデルには、3箇所の建具があります。それぞれの建具は3つと1つと2つのカーテンウォールのインスタンスで構成されています。これをそれぞれ、ACW-1,ACW-2,ACW-3として集計表を作成します。

パネルはすべてカーテンパネルカテゴリで作成

各カーテンウォールのパネルはすべてカーテンパネルのカテゴリで作成されています。ドアや窓のカーテンパネルはありません。

共有パラメータの作成

集計表に必要なパラメータをプロジェクトに追加します。集計表に表示するだけであればプロジェクトパラメータでもいいのですが、タグに表示する必要があるならば共有パラメータを使ってプロジェクトパラメータを作成します。

次の共有パラメータを作成します。

  • CW_メイン記号:文字
  • CW_サブ記号:文字
  • CW_仕様:マルチラインテキスト
共有パラメータを作成しよう!

壁とカーテンパネルにプロジェクトパラメータを設定

壁カテゴリとカーテンパネルカテゴリのインスタンスパラメータとして作成した共有パラメータを追加します。

  1. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトパラメータ
  2. [新しいパラメータ]ボタンをクリック
  3. カテゴリリストから「壁」と「カーテンパネル」を選択
  4. パラメータタイプで[共有パラメータ]を選択
  5. 選択ボタンをクリックし、CW_メイン記号を選択しOK
  6. パラメータグループにデータを指定
    • パラメータグループは何でも構わないのですが、データだと下の方に表示されるのであまり邪魔になりません。
  7. インスタンスを指定
  8. OK
壁とカーテンパネルにパラメータを設定

2~3の手順を繰り返して、CW_メイン記号、CW_サブ記号、CW_仕様の共有パラメータを壁とカーテンパネルカテゴリにインスタンスパラメータとして追加します。

カーテンウォールにプロパティを設定する

カーテンウォールのメイン記号とサブ記号

カーテンウォールに「CW_メイン記号」「CW_サブ記号」の値を設定します。
カーテンウォールのCW_メイン記号とCW_サブ記号に値を設定
  1. カーテンウォールを選択し、プロパティウィンドウで上の図のように「CW_メイン記号」「CW_サブ記号」を設定する。

カーテンパネルのメイン記号とサブ記号

カーテンパネルにもホストとなるカーテンウォールと同じ「CW_メイン記号」「CW_サブ記号」の値を設定します。

  1. カーテンウォールを選択
  2. 右クリック>ホスト上のパネルを選択
    ホスト上のパネルを選択

  3. この状態でホスト壁と同じ値で「CW_メイン記号」「CW_サブ記号」の値を設定する。

集計表の作成

壁の集計表

壁の集計表は、建具全体の情報を表示するために使用します。カーテンウォールのみ、CW_メイン記号、CW_サブ記号が設定されている要素のみを表示するようにフィルタを設定するところがポイントです。
  1. 表示タブ>作成パネル>集計▼>集計表/数量 で壁カテゴリを選択し、名前を設定する

  2. フィールドタブで次の図のようにフィールドを追加
    フィールドを追加
  3. フィルタタブで次の図のように設定
    カーテンウォールで記号に値があるものだけ表示

  4. 並べ替えグループ化タブで次の図のように設定

  5. 書式タブでファミリ、基準レベル、CWメイン記号の[非表示のフィールド]に✔

  6. OK
次のような集計表が出来上がります。
この集計表はカーテンウォールの枠などの仕様を表示するために使用します。
コメントはカーテンウォール各部の概要を表示するために使用します。

カーテンパネルの集計表

カーテンパネルの集計表は、建具に含まれる各パネルの内訳を表示します。CW_メイン記号、CW_サブ記号が設定されている要素のみを表示するようにフィルタを設定します。
  1. 表示タブ>作成パネル>集計▼>集計表/数量 で次の図のようにカーテンパネルカテゴリを選択し、名前を「カーテンパネル建具表」に設定する
  2. フィールドタブで集計表に使用するフィールド(パラメータ)を追加します。

  3. 計算フィールドを追加します。集計表の並べ替えフィールドとして使用します。
    Fxボタンを押して計算フィールドを追加

  4. 並び順を整える。
    フィールドを並べ替える

  5. フィルタタブを次の図のように設定
    メイン記号とサブ記号に値があるものだけを表示する

  6. 並べ替え/グループ化タブを次のように設定。各インスタンスの内訳は外してください。
    並べ替え

  7. 書式タブで CW_メイン記号、CW_サブ記号、幅と高さを非表示のフィールドに設定

次のような集計表が出来上がります。
カーテンパネル集計表

仕様を入力

出来上がった二つの集計表で、カーテンウォールとカーテンパネルの仕様を入力します。マルチテキストなので、何でも自由に入力できます。

カーテンパネルにもCW_仕様をインスタンスパラメータとして追加しました。パネル独自の仕様があればここに記入します。カーテンパネルはタイプパラメータでもよいでしょう。その場合は、仕様が異なるカーテンパネルタイプは複製する必要があります。

姿図と集計表

シートレイアウト

立面図などで姿図を作成し集計表とともにレイアウトします。
シートにレイアウト

まとめ

この方法の狙いは
  • 壁のインスタンスパラメータの建具関連のパラメータを最小限に抑えることができる
  • インスタンスベースで気楽にまとめることができる
  • カーテンウォールの仕様は全体を、より詳細はカーテンパネルの仕様に
  • 仕様はマルチラインテキストで自由に記述できる
というところにあります。
壁の建具関連パラメータは最小限に

共有パラメータにしたので、平面図に壁タグを作成することもできます。
壁タグで建具記号を作成

他にも方法はあるかもしれませんが、一例として参考にしてください。