2025年3月29日土曜日

バルコニー手摺の練習

手摺を自由自在に

手摺の構成をよく理解できるようにサンプルプロジェクトを作成してみました。参考にしたのは三協アルミのN-SLIM のガラスタイプです。サンプルはこちらからダウンロードできます。使用したテンプレートはRevit2024標準添付の建築テンプレートです。このプロジェクトには3つのバルコニーと、練習課題が二つ含まれています。作成条件は

バルコニーの隔て板の位置には必ず手摺子を配置する

です。

手摺1解説

この手摺のガラス部分は、横桟として非常に細長いプロファイルを使って作成しています。

タイププロパティを確認しよう!
次に手摺子はW55D50の矩形の手摺子を1400mm程度で「フィットするように拡げる」(赤枠に注目)で、セグメント間に割り付け(青枠注目)ています。
手摺子構成タイププロパティ

手摺の各セグメント(マゼンタ色のスケッチライン)始点と終点の間をだいたい1400mm内外確保して、手摺子が作成されます。このバルコニーの場合は隔て板を挟んで左右均等なのでこのやり方でも隔て板に手摺子が一致します。

同じ幅のバルコニーであれば隔て板の位置に手摺子が配置される

バルコニー幅が同じであれば成り立つが。。。

同様に、バルコニーの妻側にも手摺が必要な場合でも、1400内外に割り付けることにしているため、1800程度の区間であれば1区間ガラス手摺が作成されます。

コーナー手摺に注目

この場合、コーナー部つまりセグメントのつなぎ目には「コーナー手摺」が配置されます。


手摺2解説

中央の手摺はバルコニーのスパンが6mと7mで均等ではありません。このような場合は、手摺子を立てる位置を「数値で指定」することで任意の位置に手摺を作成できます。まず手摺子をどのような感覚で配置するか、計画を立てます。

手摺を割り付ける
次に、手摺子構成のプロパティで、すべての手摺子を「直前部材からの距離」を指定して割り付けます。
手摺を割り付ける
このようにすべての手すりの間隔を指定した場合、忘れてはいけないのが次の青で囲んだプロパティです。


全ての手摺柱を指定したので、パターンは中断しないし、位置合わせは始端からとなります。

またコーナー手摺は必要ありません。必要な場合は主パターンに含めます。

コーナー手摺は「なし」

練習1

それでは手摺2のタイプを複製して次の図のようにバルコニー妻側にもガラス手すりを配置してみましょう。コーナー手摺は角型手摺子:55x55を使用します。このコーナー手摺も主パターンに含めます。

手摺子を割り付けてみよう
解答例は手摺タイプ「練習1解答例」です。

手摺3解説

この手摺は、不均等なバルコニーである上に、一部はパネルの高さが異なります。

立面:両端の手すりパネルの高さが異なる
このような場合、手摺1と手摺2のタイプのようにガラスを横桟で作成することはできません。横桟は高さを途中で変更することができないからです。

そこでファミリテンプレート「手摺子 - パネル.rft」を使って、次のようなガラスパネルと下弦材押縁、下弦材をファミリ「パネル型手摺子1.rfa」にしました。

パネル型手摺子1
こうしておけば、幅も高さも自由に設定できます。ただし、自由といってもカーテンウォールパネルのようなわけにはいきません。ここでも「割付」が必要です。

まず幅ごとにタイプを作成しておきます。

W1160,1200,1800の3タイプ必要

プロジェクトブラウザで複製とタイプ編集を行います。


次に手摺2と同様に割付を行います。パネル型手摺の挿入点はパネル幅の中央なので、幅の半分の距離を指定していることに注目(赤枠)してください。

また、高さについては各パネルと手摺子ごとに「下部オフセット」の値でホストからの高さを指定しています。(青枠)

パネルと手摺子の割付

練習2

練習2では手摺3のタイプを複製して、次のようなバルコニーに手摺を割り付けてみてください。

練習2

手順は

  1. 割付間隔を決める
  2. 手摺パネルのタイプを増やす
  3. 割り付ける

のステップです。解答例は「」です。

手摺 練習2解答例

理屈さえ理解すれば、ほとんどの手すりは作成可能なはずです。

2025年3月22日土曜日

鉄筋の干渉チェック

Navisworksの出番です

鉄筋の干渉チェックはRevit単体ではできません。 コラボレートタブ>コーディネイトパネル>干渉チェック を実行しても鉄筋棒のカテゴリが表示されません。

鉄筋棒のカテゴリが表示されない=鉄筋棒は干渉チェックできない
鉄筋の干渉チェックはNavisworksで行いましょう。

Navisworks NWC エクスポートユーティリティ

RevitからNavisworks用のデータを作成するためには専用のエクスポーターが必要です。次のページにアクセスしてエクスポーターのインストーラを入手しましょう。

https://www.autodesk.com/jp/products/navisworks/3d-viewers

このページの下のほうに移動すると、「Navisworks NWC エクスポート ユーティリティ」の項目があるので、Revitのバージョンに適応したインストーラをダウンロードしてインストールしてください。

Revitのバージョンに対応したインストーラを入手しよう

RevitからNWCを出力

目的のファイルを開き、アドインタブ>外部パネル>外部ツール▼>Navisworks 2025(バージョン番号)をクリックします。

NWCファイルを作成する

ファイル名を指定して保存します。

Navisworksに読み込んで干渉チェック

Navisworksを起動し[新規]をクリックします。

Navisworks2025の場合

ホームタブ>プロジェクトパネル>追加 をクリックし、Revitから出力したnwcファイルを追加します。

ホームタブ>ツールパネル>ClashDetectiveをクリック

Clash Detectiveパネル内の[現在定義されているクラッシュテストはありません]をクリックしてパネルを展開し、[テストを追加]をクリック

干渉チェックテストを追加する

選択Aと選択Bで、<レベルがありません>を展開して鉄筋棒を選択。

干渉チェックの対象カテゴリを選択
[テストを実行]ボタンを押すと、干渉箇所がリストアップされますので、クリックして確認します。
干渉箇所を確認する

便利なスイッチバック

干渉箇所がわかったら、Revitで修正する必要があります。干渉位置を特定する方法はスイッチバックが便利です。

まず、Revitで アドインタブ>外部パネル>外部ツール▼>Navisworks Switchvback 2025(バージョン番号) をクリック。


なにも変化は起こりませんが、これはRevitをスイッチバック情報の受け入れモードに設定するという意味があります。

NavisworksのClash Detectiveパネルの項目領域で スイッチバックボタンを押します。

スイッチバックボタンをクリック

するとRevitに Navisrowks Switchback というビューが作成されますので、鉄筋を除いてすべてのカテゴリを非表示にしてみましょう。

RevitのNavisworks Switchbackビュー
Navisworksと同じ見え方の3Dビューが作成され、選択して要素がハイライトされています。
Navisworksのビュー

これで、Navisworksで干渉位置を特定し、Revitで修正する、というワークフローが出来上がります。


2025年3月15日土曜日

構造フレームのトリセツ~鉄骨編

前回に引き続き鉄骨構造フレームのTipsです。(中にはRCにも適用できるTipsもあります。)

勾配屋根の梁とブレース

構造フレームは特殊な線基準ファミリです。線基準ファミリには作業面が必要です。勾配屋根の梁やブレースを作成する場合はまず「名前のついた参照面」を作成して、これを作業面として構造フレームを配置しましょう。

勾配屋根のフレーミング方法は?

 まず水勾配に平行な断面ビューを作成して、鉄骨天端を示す参照面を作成します。例えば折板の下端などがよいでしょう。次に参照面に名前を付けます。例として「鉄骨天端」としてみます。

参照面に名前を付ける

そして屋根伏の平面ビューを開き、構造タブ>梁、オプションバーで配置面を参照面:鉄骨天端として、

オプションバーで名前の付いた参照面を配置面に設定

いつも通りに構造フレームを配置します。
参照面に構造フレームが作成される

梁天端のオフセットはZオフセットの値を調整してください。

大梁を50mm下げた例

構造フレームを鉛直に保つ

作業面に勾配がついていると構造フレームを作業面に対して垂直に配置されます。

向きが標準だと作業面に垂直に配置される

構造フレームを鉛直に保つ場合はパラメータ「向き」で水平を選択します。

向きを水平にすると鉛直に配置

アタッチ解除

構造フレームは作成時には作業面に「アタッチ」されています。そのため作業面を移動すると作業面との相対距離を保ったまま移動します。アタッチされている構造フレームのプロパティには「作業面」のプロパティがあります。

アタッチされている構造フレームには作業面がある

作業面とは関係なく位置を維持したい場合は右クリックして「面からアタッチ解除」を選択します。

右クリック>アタッチ解除

すると作業面のプロパティはなくなります。

作業面プロパティはなくなる
再びアタッチするには修正|構造フレームタブ>作業面パネル>作業面を編集 でレベルまたは名前の付いた作業面を選択します。


カットバックと延長

鉄骨の構造フレームには始終端の「接合部カットバック」と「延長」のパラメータがあります。構造フレームと構造柱が結合している場合は「接合部カットバック」で始終端の位置を調整します。これは◀▶でドラッグすることと同じです。


構造フレームの端部の●を右クリックして[結合を禁止]を選択すると結合が解除されます。


その場合、「延長」で始終端の位置を調整します。

勾配梁と水平梁で異なるタグを配置したい

勾配の付いた梁と水平の梁で異なるタグを配置することができます。

  1. 勾配用と水平用のタグを作成してプロジェクトにロードします。
  2. 注釈タブ>タグパネル>梁注釈
  3. ダイアログボックスで水平と勾配のタブで適切なタグを設定します。
    梁の注釈:伏図の水平梁
    梁の注釈:伏図の傾斜梁
    OKでタグが水平梁と傾斜梁に異なるタグが配置されます。
    水平梁と傾斜梁で異なるタグを配置できる

構造フレーム同士の結合を留め継ぎにしたい

構造フレーム同士が端部で結合されている場合、結合の勝ち負けを設定できます。

修正タブ>ジオメトリパネル>梁接合/柱接合をクリックすると、調整可能な梁の端部に矢印が表示されます。
矢印をクリックすると勝ち負け、留め継ぎへの変更ができます。


小梁を大梁のウエブにぶつけたい

普通に小梁を配置すると、梁のフランジの範囲でトリムされます。

小梁を選択して、修正|構造フレームタブ>接合ツール>参照を変更 を使えば小梁端部ををウエブ表面に移動することができます。

構造柱に斜めに取りつく構造フレームの端部を斜めに切り落としたい

構造柱と構造フレームが次のような関係にあるとき
構造柱に構造フレームが斜めに取りついている

構造柱と構造フレームを選択し、 鉄骨タブ>パラメトリックの切断▼>のこぎり切断-フランジ を選択すると構造フレームを斜めに切断できます。
この時注意することは、構造フレームのパラメータから「始終端カットバック」と「始終端延長」のパラメータがなくなってしまうことです。
つまり、一般的なモデリングの領域を離れて鉄骨加工モデリングになってきていますので、構造フレームの反対側にも同様の処置が必要になります。
寸法の調整は、作成されたサブ接合を選択して、パラメータを修正します。
サブ接合のダイアログボックス